鍛造・鋳造を手がける上場メーカーのコーポレートサイトです。製造業のコーポレートサイトは「取引先が技術力を確かめる場所」になりがちですが、上場企業では投資家向けのIR情報と、人手不足に対応する採用情報も同じサイトに求められます。この事例では、取引先・投資家・求職者という3種類の閲覧者が、トップページから迷わず自分の入口に進めることを最優先に構成しました。
制作の背景
金属加工・素形材の分野では、発注側の設計者や購買担当者が「どの工法で、どの大きさ・材質まで対応できるか」を事前に調べてから問い合わせます。一方で、IR情報は決算短信や有価証券報告書を正確に、時系列で探せることが条件になり、採用情報は工場の雰囲気や働く人が見えることが応募の決め手になります。閲覧者ごとに求める情報の性質が違うため、1つのサイトで3つの役割を同時に果たす情報設計が課題でした。
情報設計:3種類の閲覧者に3つの入口
グローバルナビは「当社の強み/事業紹介/会社案内/IR情報/お知らせ/採用情報」の6項目に絞り、右端に「お問い合わせ」ボタンと英語版への切り替えを置いています。取引先は「当社の強み」から「事業紹介」へ、投資家は「IR情報」へ、求職者は「採用情報」へ、それぞれ1クリックで到達できます。
- 当社の強み:工法・設備・品質管理・一貫体制など、見積もり依頼の前に確認される項目をまとめ、事業紹介の各ページへ送る
- 事業紹介:製品分野ごとに、対応できる工法・サイズ・材質・納入先の業界を同じ型で記載し、比較しやすくする
- IR情報:決算資料・適時開示・株主情報を年度別に整理し、PDFは発行日と文書名で探せるようにする
- 採用情報:職種・働く環境・先輩社員を独立したセクションで扱い、新卒と中途で入口を分ける
- English:海外の取引先に向け、事業紹介と会社案内を中心に英語版を用意する
ファーストビューとデザイン
ファーストビューは、暗い工場内で赤熱した素材が光る写真を全面に使い、その上に縦書きの短いコピーを置きました。製造業のサイトで最も説得力があるのは、言葉よりも現場の写真です。あえて明るさを落とした写真にすることで、火と金属の質感が際立ち、「技術で支える会社」という印象が一目で伝わります。
写真の直下には、企業グループの理念を青い帯で短く示し、そのまま事業紹介(Business)に続けています。コーポレートカラーの青を帯とボタンに限定して使うことで、写真の迫力を損なわずにブランドの統一感を保っています。
導線と問い合わせ設計
「お問い合わせ」はヘッダー右端にアイコン付きのボタンとして常時表示し、どのページからでも1クリックで届くようにしています。製造業では電話よりもフォームでの図面添付や仕様確認が多いため、フォームには用件の種別(見積もり・技術相談・採用・IR)を設け、社内の担当部署に振り分けやすくする設計が有効です。
SEO・運用の考え方
製造業のコーポレートサイトで検索されるのは「工法名+メーカー」「製品分野+地域」といった、事業紹介のページが受け皿になるキーワードです。事業紹介の各ページには、工法・材質・サイズ・対応業界といった名詞を見出しと本文に自然に含め、1ページ1テーマで構成します。IR情報は検索流入より正確性と更新の速さが重要なため、投稿形式でPDFを登録すれば自動で一覧に並ぶ仕組みにし、担当部署が自分で更新できるようにしています。
多言語版は、日本語版の全ページを翻訳するのではなく、海外の取引先が必要とする事業紹介・会社案内・お問い合わせに絞ることで、翻訳と更新の負担を抑えています。
よくあるご質問
製造業のコーポレートサイトに、IR情報と採用情報を同居させても問題ありませんか?
問題ありません。グローバルナビの段階で入口を分け、各セクションの中では他の閲覧者向けの情報を混ぜないことが条件です。IRは正確性と更新性、採用は雰囲気と人、取引先向けは技術の具体性と、求められる書き方が違うため、デザインの共通ルールは保ちつつ、文章の型はセクションごとに変えています。
工場の写真がない場合、どうすればよいですか?
撮影をおすすめします。製造業のサイトでは現場写真の有無で説得力が大きく変わるため、当社では構成を決める段階で撮影日を押さえ、工程ごとに必要なカットを一覧にしてから撮影に臨みます。撮影が難しい場合は、設備や製品の静物写真と図版で代替する構成を提案します。
この規模のコーポレートサイトの制作期間と費用の目安は?
日英2言語・IR・採用を含む構成では、ヒアリングから公開まで4〜6か月が目安です。費用は料金ページのコーポレートサイト制作の範囲で、多言語とIRの投稿機能を加えた見積もりになります。詳しくは料金と制作の流れをご覧ください。
この事例から学べること
- 閲覧者の種類が複数あるサイトは、グローバルナビの段階で入口を分けると、どの閲覧者にも「自分向けのサイト」に見える
- 製造業のファーストビューは、言葉を減らして現場の写真を主役にするほうが技術力が伝わる
- IRや採用のように更新頻度の高い情報は、担当部署が自分で更新できる仕組みを最初から組み込む