ホームページの制作やリニューアルが始まると、原稿のファイル、社員や工場の写真、ロゴのデータ、会社案内の PDF など、制作会社に渡すものが一気に増えます。メールに添付したら容量が大きくて送れなかった、無料の転送サービスで送ったら期限が切れていた、どれが最新の原稿か分からなくなった、公開後に写真の元データがどこにもない。データの受け渡しは、こうした小さなつまずきが重なりやすい作業です。
Contents
制作会社と受け渡すデータの種類 受け渡し方法の比較:メール添付・転送サービス・クラウドストレージ 最初に決める受け渡しのルール XServerドライブで受け渡す場合の考え方 アカウントのない相手には共有リンク やり取りが続く相手はユーザーとして追加する あとから確かめられる記録と安全のための機能 制作後の保管:公開したら元データを自社に移す よくあるご質問 写真をチャットアプリで送ってもよいですか? パスワード付きの ZIP ファイルで送ってはいけませんか? 制作会社が用意した共有フォルダーを使っても問題ありませんか? XServerドライブの無料プランで足りますか? まとめ
結論から言うと、制作会社とのデータの受け渡しは、案件ごとに共有の置き場所を1つ決め、フォルダーの分け方・ファイル名・権限・リンクの期限を最初に合意し、公開後は元データを自社の保管場所に移して共有を止める流れにすると、混乱と情報の漏れを防ぎやすくなります。 写真やロゴの元データが多い案件や、やり取りが何度も続く案件ほど、メール添付よりクラウドストレージでの共有が向いています。
この記事では、受け渡すデータの種類と注意点、メール添付・無料の転送サービス・クラウドストレージの比較、最初に決めるルール、XServerドライブを使う場合の共有リンクとユーザー追加の考え方、制作後の保管を、2026年10月時点の情報で解説します。原稿の分担と書き方はホームページの原稿の書き方 、写真の撮影と権利はホームページの写真撮影と素材写真の使い方 で扱っています。
制作会社と受け渡すデータの種類
受け渡すデータは、原稿・写真・ロゴや図版・資料・確認用のデータの5つに分けると、容量と扱いの注意点を整理しやすくなります。
種類 例 容量の傾向 注意すること
原稿 文書作成ソフトや表計算ソフトのファイル、共有のドキュメント 小さい 版が増えやすい。どれが最新か分かる名前にする
写真 スマートフォンで撮った写真、カメラマンの納品データ、今のサイトの写真 1枚で数MB、撮影一式では数GBになることがある 縮小せず元の画質で渡す。写っている人の掲載の同意を確かめてから渡す
ロゴ・図版 ロゴの元データ(AI・EPS・SVG・PDF などの形式)、図面、イラスト 小〜中 PNG や JPEG の画像しかないと、拡大したときに粗くなることがある。元データを持っている人を確かめる
資料 会社案内や製品カタログの PDF、営業資料 中〜大 社外秘の情報が含まれていないか、載せてよい範囲に印を付ける
確認用のデータ デザインの PDF や画像、テスト環境の URL 中 社内で回覧するときに社外へ転送しない。テスト環境の ID とパスワードは別の経路で伝える
採用の応募者の情報や顧客の名簿など、サイトの制作に必要のない個人情報は渡しません。管理画面やサーバーのパスワードも、ファイルと同じ場所に置かないようにします。
受け渡し方法の比較:メール添付・転送サービス・クラウドストレージ
少量の原稿ならメール添付でも足りますが、写真やロゴの元データをまとめて渡す、何度もやり取りする、公開後も保管する、という条件が重なるほど、権限と期限を管理できるクラウドストレージが向いています。
方式 送れる容量 期限・取り消し 見られる人・記録 向いている使い方
メール添付 送る側と受け取る側のメールの上限で決まる 送ったら取り消せない 宛先の人。転送されると追えない 原稿など小さなファイルを1回送る
パスワード付き ZIP のメール添付 同上 同上 パスワードを同じメールの経路で送ると守りになりにくい おすすめしない(後述)
無料のファイル転送サービス 大きなファイルを送れるものが多い 期限が来ると消え、あとから取り出せない URL を知っている人。ダウンロードの記録はサービスによる 撮影データなどを1回だけ渡す(社内のルールで認められている場合)
クラウドストレージの共有リンク 契約の容量と1ファイルの上限の範囲 パスワードと有効期限を付けられるものが多い。リンクを止めれば見られなくなる リンクを知っている人。設定を誤るとだれでも見られる アカウントを持たない相手に、決まったファイルを渡す
クラウドストレージのアカウント追加 同上 権限を外す・アカウントを止めれば使えなくなる 招いた人だけ。操作の記録を残せるものがある 制作期間中に何度もやり取りし、相手からも受け取る
制作会社が用意する共有の場所 制作会社の契約による 制作会社の運用に従う 制作会社が管理する 制作会社のやり方に合わせる。公開後は自社へ移す
メールの送信サイズには、サーバーごとに上限があります。たとえばエックスサーバーのメールは1通100MBが送信の目安ですが(メールの仕様 )、受け取る側のメールサーバーがもっと小さい上限を設けていることもあり、撮影一式のような大きなデータには向きません。
ZIP ファイルにパスワードを付けて送り、パスワードを続けて別のメールで送る方法は、2通とも同じメールの経路を通るため、途中で盗み見られた場合の守りになりにくい方法です。IPA(情報処理推進機構)は、ウイルスの Emotet をパスワード付き ZIP ファイルで添付した攻撃メールについて、添付ファイルが暗号化されているためメールの経路上のセキュリティ製品による検知をすり抜けやすいと注意を呼びかけています 。こうした理由から、受け取る側がパスワード付き ZIP の受信を制限していることもあります。
無料の転送サービスやクラウドストレージを担当者の判断で使うことにも注意が必要です。総務省のクラウドの設定ミス対策ガイドブック (2024年4月)は、会社の許可なく使われるサービス(シャドーIT)で個人が設定を誤り、情報が漏れた例があること、テレワークの広がりで増えていることを挙げています。同じガイドブックには、ファイル共有サービスの公開範囲の設定を誤り、顧客や取引先の情報が「リンクを知っているインターネット上のすべての人」に見られる状態になっていた2023年の事例も載っています。どのサービスを使い、公開範囲をどう設定するかは、会社として決めておきます。
Service
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最初に決める受け渡しのルール
受け渡しのルールは、置き場所・フォルダーの分け方・ファイル名・権限・期限・パスワードの伝え方の6つを、制作を始める段階で制作会社と1枚にまとめておきます。
ルール 決めること 例
置き場所 案件ごとに1つ。自社と制作会社のどちらの契約の場所にするか 例:自社のクラウドストレージに案件のフォルダーを作り、制作会社の担当者を招く
フォルダーの分け方 データの種類と工程で分ける 例:01_原稿/02_写真/03_ロゴ・図版/04_資料/05_確認用/99_旧版
ファイル名 日付・ページ・内容・版を入れる。半角の英数字とハイフンを基本にする 例:20261105_recruit_interview-01_v2.docx
権限 だれがファイルを追加・変更・削除でき、だれが社外へ共有できるか 例:制作会社は追加と変更まで。削除と社外への共有は自社の担当者だけ
期限 共有リンクの有効期限、制作会社のアカウントを止める日 例:共有リンクは発行から2週間、アカウントは公開の1か月後に停止
パスワードの伝え方 共有リンクとパスワードを別の経路で伝える 例:リンクはメール、パスワードは電話か打ち合わせで伝える
ファイル名には「最新」「最終」「修正版」といった言葉を使わず、版の番号(v1、v2)と日付で区別します。「最終」のあとにまた修正が入り、どれが本当の最新か分からなくなるためです。写真やロゴのファイル名は、WordPress に載せたときに画像の URL の一部になるため、半角の英数字にしておくと扱いやすくなります。写真は、撮影日・写っている人・掲載の同意の有無を一覧にして、写真と同じフォルダーに置きます。
受け取る時期も決めておきます。当社の制作の流れでは、写真・ロゴなどの素材のご提供をデザインの工程(2〜4週)でお願いしており、原稿はヒアリングをもとに当社が下書きを作って、事実の確認をお願いしています。素材の締切を工程に合わせて決めておくと、置き場所に何がそろっていないかを双方が同じ画面で確かめられます。
XServerドライブで受け渡す場合の考え方
XServerドライブは、エックスサーバー株式会社が提供する国内運営の法人向けクラウドストレージで、アカウントを持たない相手にはパスワードと有効期限を付けた共有リンクで渡し、何度もやり取りする制作会社はユーザーとして追加してフォルダーを共有する、という使い分けができます(2026年10月時点)。
公式サイト の説明では、ブラウザと、パソコン・スマートフォンのアプリからファイルの保管・共有・編集ができ、データは国内のデータセンターに保管されます。社内ですでにクラウドストレージを使っていて、社外との共有のルールも決まっている場合は、新しく契約する必要はありません。
アカウントのない相手には共有リンク
「URLリンク共有 」は、XServerドライブのアカウントを持たない社外の人と、ファイルやフォルダーを共有する URL を発行する機能です。共有のアイコンから URL を有効にしてコピーし、共有メニューでパスワードと有効期限を設定できます。フリープランを含むすべてのプランで使えます。公式のマニュアルには有効期限の上限や初期値の記載が見当たらないため、発行するたびに期限を自分で設定し、使い終わったリンクは止めます。
やり取りが続く相手はユーザーとして追加する
定額のプランはユーザー数に制限がなく、取引先と一時的に共有する場合や外部のスタッフが一時的に使う場合も、追加の費用はかからないと案内されています。そのため、制作期間中は制作会社の担当者をユーザーとして追加し、案件のフォルダーだけを共有する使い方ができます。共有の範囲はユーザーごと・グループごとに設定できます。
定額のスモールビジネス・ビジネス・ビジネスプラスでは「グループフォルダー 」を作れ、グループごとに「書き込み(作成・アップロード・移動)」「共有(グループ外への共有や共有用 URL の発行)」「削除」の3つの権限を分けて与えられます。例:制作会社のグループには書き込みだけを与え、削除と社外への共有は自社の担当者に限ります。
注意したいのは、ユーザーを削除すると、そのユーザーの領域にあるデータもすべて削除されることです(ユーザーの追加・削除 )。制作会社の担当者には自分の領域ではなく案件のフォルダーにファイルを置いてもらい、契約が終わったら、再び使う可能性があるうちは削除ではなく「ユーザーを無効」にします。
あとから確かめられる記録と安全のための機能
バージョン機能:30日前までの過去のデータを残すため、誤って上書きした原稿を戻せる
ユーザー操作ログ:ログイン、ファイルの作成・変更・削除、共有と共有の解除、共有のパスワードや期限の変更などを記録し、過去30日分を日別に残す(フリープランは7日分)
アクティビティ:ファイルの作成・削除や、共有したファイルのダウンロードなどの履歴を確かめられる
2段階認証とパスワードのルール、指定した IP アドレスやホストからだけ使えるようにするアクセス制限。社外からの接続元を限るときは、WordPressの管理画面をIPアドレスで制限する で紹介した固定 IP のサービスと組み合わせられる
プラン 月額(税込・通常料金) 容量と1ファイルの上限 ユーザー数
フリー 0円 SSD 2GB、1ファイル100MBまで 1名
スモールビジネス(定額) 2,970円(36か月)〜3,960円(1か月) HDD 1TB または SSD 500GB、1ファイル5GBまで 無制限
ビジネス(定額) 5,940円(36か月)〜7,920円(1か月) HDD 2TB または SSD 1TB、1ファイル5GBまで 無制限
ビジネス(ユーザー単位) 1人あたり693円(36か月)〜924円(1か月) 1人あたり HDD 1TB または SSD 200GB、1ファイル2GBまで 1名から
料金はXServerドライブの料金 で2026年10月27日に確認したもので、月額は契約期間分を前払いしたときの1か月あたりの金額です。1か月の契約は自動更新を設定している場合だけ選べます。スモールビジネス・ビジネス・ビジネスプラスの初期費用は通常11,000円(ユーザー単位のプランは0円)で、2027年1月14日17時までの新規申し込みは0円になるキャンペーンが行われています。有料プランには10日間の無料お試しがあり、フリープランは電話サポートの対象外です。
制作後の保管:公開したら元データを自社に移す
公開後は、原稿の最終版、写真とロゴの元データ、権利と同意の記録を自社の保管場所に移し、共有リンクと制作会社のアカウントを止めてから、受け渡しの場所を片付けます。
保管するものを決める:原稿の最終版、サイトに載せる前の写真の元データ、ロゴ・図版の元データ、撮影の契約と写っている人の同意の一覧、契約で受け取ることにしたデザインデータ
自社の保管場所へ移す:制作会社が用意した場所にある場合は、期限が来る前にダウンロードして移します
共有を止める:共有リンクを止め、制作会社のアカウントは無効にするか権限を外します
旧版を整理する:99_旧版にまとめるか、不要なものを削除します
保管場所と管理する人を社内の管理表に書く:担当者が替わっても探せるようにします
次の更新で使えるようにしておく:保守を任せる会社にも、どこに何があるかを伝えます
ここで保管するのは、サイトを作るための素材です。WordPress の記事や設定などサイトそのもののデータは、サーバーのバックアップとして別に保管します。どのデータを納品物として受け取るかは、契約の段階で決めておきます。確認する条項はホームページ制作の契約書で確認すること にまとめています。
よくあるご質問
写真をチャットアプリで送ってもよいですか?
確認のために数枚を見せる程度なら構いませんが、サイトに使う写真の受け渡しには向きません。チャットアプリは画像を小さくして送る設定になっていることがあり、元の画質のデータが届かない場合があるためです。サイトに使う写真は、元のファイルのままクラウドストレージなどで渡します。
パスワード付きの ZIP ファイルで送ってはいけませんか?
おすすめしません。パスワードを同じメールの経路で送ると守りになりにくく、暗号化された添付ファイルは受け取る側のセキュリティ製品で中身を確かめにくくなります。パスワードと有効期限を付けた共有リンクで渡し、パスワードは電話など別の経路で伝える方法に切り替えます。
制作会社が用意した共有フォルダーを使っても問題ありませんか?
使って構いません。ただし、公開後や契約を終えるときに見られなくなることがあるため、元データは期限の前に自社へ移します。制作会社の共有フォルダーに社内の資料を置く場合は、だれが見られる設定になっているかを確かめます。
XServerドライブの無料プランで足りますか?
原稿など少量のファイルを渡すだけなら使えますが、フリープランは1名・2GB・1ファイル100MBまでで、写真の撮影一式やロゴの元データをまとめて扱うには小さいことが多いです。グループフォルダーも定額の有料プランの機能です。有料プランの10日間のお試しで、受け渡しの流れを確かめてから決める方法があります。
まとめ
制作会社とのデータの受け渡しは、案件ごとに置き場所を1つにし、フォルダーの分け方・ファイル名・権限・期限・パスワードの伝え方を最初に決めておくと、版の混乱と情報の漏れを防ぎやすくなります。メール添付は小さなファイルを1回送る用途にとどめ、写真やロゴの元データ、やり取りが続く案件は、パスワードと期限を付けた共有リンクや、権限を分けたアカウントで共有します。公開後は元データと同意の記録を自社に移し、共有リンクと制作会社のアカウントを止めます。
当社のWEBサイト運用保守 では、保守スタンダード(月3万円〜・税別)で、画像の差し替え・文言の変更・お知らせの投稿代行などの軽微な修正・更新作業を月2時間まで行っています。公開後の更新で素材をやり取りする場合も、置き場所とルールを決めてから進めます。
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