ホームページの制作やリニューアルで、デザインはできたのに原稿がそろわず、公開日が延びることはよくあります。原稿の担当者は通常業務と兼任で、何をどこまで書けばよいか分からないまま締切が来る。部署ごとに集めた文章の書き方がばらばらで、まとめ直すのに時間がかかる。こうした状況に心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
Contents
ホームページの原稿は誰が書くか:3つの分担パターン 事実は発注者、構成と文章は制作会社 ページ別の原稿シート 原稿シートの記入例 原稿の書き方のルール AI で下書きするときの注意 社内で原稿を集める進め方 よくある遅れ方と対策 よくあるご質問 原稿は制作会社にすべて任せられますか? 今のサイトや会社案内のパンフレットの文章を使ってもよいですか? 原稿は Word とスプレッドシートのどちらで用意すればよいですか? 1ページの文字数はどのくらい必要ですか? まとめ
原稿が遅れる最大の原因は「誰が書くか」「何を書くか」が決まっていないことで、ページごとに「目的・読む人・必ず入れる情報・担当者・締切」を1枚のシートにまとめ、事実は発注者、構成と文章は制作会社と分担すると遅れにくくなります。
この記事では、原稿の分担パターンの比較と費用・期間への影響、ページ別の原稿シート、書き方のルールと AI で下書きするときの注意、社内で原稿を集める進め方と、よくある遅れ方の対策を、発注する側の立場で解説します。
ホームページの原稿は誰が書くか:3つの分担パターン
原稿の分担は「発注者がすべて書く」「制作会社がヒアリングして下書きし、発注者が事実を確認する」「ライターが取材して書く」の3つに分けられ、事実を知る人と文章にする人の役割を分けるほど遅れにくくなります。
分担パターン 発注者の作業 制作会社・ライターの作業 向いているケース 費用・期間への影響
発注者がすべて書く 全ページの原稿の執筆と社内確認 文字量の指示、流し込み、表記の調整 使える原稿がすでにある。専門性が高く、社内に書ける人と時間がある 原稿作成の費用はかからないが、社内の作業が最も多い。原稿が遅れると公開日がそのまま延びる
制作会社がヒアリングして下書き → 発注者が事実を確認 ヒアリングへの参加、資料の提供、下書きの事実確認と承認 構成、下書き、表記の統一、修正 社内に書く時間がない。伝え方から整理したい 原稿作成の費用が見積もりに加わる。社内の作業は確認が中心になり、日程を組みやすい
ライターが取材して書く 取材相手(社員・顧客)の日程調整、取材への同席、確認 質問の設計、取材、執筆 導入事例や社員インタビューなど、人の言葉が中心になるページ 取材と執筆の費用がかかる。取材の日程が期間を左右する
当社のコーポレートサイト制作では、ヒアリングをもとに当社が原稿の下書きを作り、貴社に事実確認をお願いする2つ目の進め方を標準にしています。原稿を貴社で用意するか、ヒアリングから当社が作成するかは、見積もり金額が変わる4つの要因(ページ数と構成、ブランディング設計の深さ、原稿・写真・図解の用意、機能と連携)の一つで、原稿作成の費用は料金表の金額とは別にお見積りします(料金プラン )。導入事例は、当社のコンテンツ制作で取材込み1本8万円〜(税別)でもお受けしています。
事実は発注者、構成と文章は制作会社
原稿に必要なもののうち、数字・固有名詞・制度・顧客とのやり取りといった事実は、社内の人しか知りません。一方で、事実を読み手に伝わる順番と言葉に組み立てる作業や、検索で探される言葉とページの役割を合わせる作業は、制作会社のほうが慣れています。分担するときも、次の3つは発注者が責任を持ちます。
数字・固有名詞・制度・許認可などの事実が正しいこと
顧客名・事例・社員の写真や声を載せる許可を取ること
公開してよいかを最終的に承認すること
原稿を誰が用意するかは、契約前の要件定義の段階で決めて文書に残しておくと、後から「原稿は誰が書く約束だったか」で揉めずに済みます。要件定義書に書く項目は要件定義書とは?Webサイト制作で書く項目と発注者の確認ポイント で解説しています。
ページ別の原稿シート
原稿は、ページごとに「目的・読む人・必ず入れる情報・文字量の目安・用意する素材・担当者・締切」を1枚のシートにしてから書き始めると、何を書けばよいかで迷わず、確認もしやすくなります。
コーポレートサイトの主なページについて、シートに書く内容の例をまとめました。文字量は、ページの役割から考えた目安で、決まりではありません。必要な情報が入っているかを優先して判断します。
ページ 目的 読む人 必ず入れる情報 文字量の目安 用意する素材
トップ 何の会社かを短時間で伝え、各ページへ案内する 初めて訪れた見込み客、社名で検索した人 キャッチコピー、会社を1文で説明する文、強み3つ、事業ごとの入口、実績の抜粋、問い合わせへの入口 短文の合計で300〜800字 ロゴ、メインの写真、実績の数字(集計した時点)
事業内容・サービス 自社の課題に合うかを判断してもらい、問い合わせにつなげる 比較検討中の担当者 対象の顧客と課題、提供内容、進め方、対応範囲、費用の目安、よくある質問 1事業あたり1,500〜3,000字 営業資料、製品カタログ、工程表、よく受ける質問の一覧
強み(選ばれる理由) 他社との違いを根拠つきで示す 比較中の担当者、決裁者 強み3〜5つと、それぞれの根拠(数字・設備・資格・事例) 800〜2,000字 設備の一覧、資格の一覧、実績の件数(集計した時点)
実績・事例 自社に近い事例で、依頼した後の姿を想像してもらう 比較の最終段階にいる人 顧客の業種・規模、課題、取り組み、結果、顧客の声 1事例あたり800〜2,000字 掲載の許可、写真、結果の数字、取材の記録
会社概要 実在し、取引してよい会社かを確かめてもらう 取引先、求職者 正式名称、所在地、設立、代表者、資本金、事業内容、登録番号 表と、事業内容の文章300〜600字 登記事項証明書、名刺、許可証
採用 応募するかどうかの判断材料を渡す 求職者 仕事内容、1日の流れ、働く人、制度、募集要項、選考の流れ 職種ごとに2,000〜5,000字 社員の声、職場の写真、制度の資料
お問い合わせ 迷わずに送信してもらう 問い合わせると決めた人 受け付ける内容、返信の目安、送信後の流れ、入力項目、プライバシーポリシーへの同意 200〜400字 入力項目の一覧、自動返信メールの文面
表の「必ず入れる情報」は、読む人が問い合わせや応募の前に確かめたいことから決めています。営業や採用の担当者に「問い合わせの前によく聞かれること」を尋ね、足りない項目を書き足すと、自社に合ったシートになります。
原稿シートの記入例
1ページ分のシートは、次のように書きます(製造業のサービスページを想定した例です)。
シートの項目 記入例
ページ名 例:サービス詳細「精密板金加工」
目的(読んだ人にしてほしいこと) 例:図面を添えて見積もりを依頼してもらう
読む人 例:産業機械メーカーの購買担当者・設計担当者
必ず入れる情報 例:対応できる材質と板厚、加工の範囲、ロット数、納期の目安、品質管理の方法、見積もりの流れ
文字量の目安 例:2,000字前後
用意する素材 例:設備の一覧、加工品の写真、検査の手順書
事実を確認する人 例:製造部長
締切 例:◯月◯日(ページ構成の確認から2週間後)
シートを作ると、書く人は「何を書けば終わりか」が分かり、確認する人は「必ず入れる情報が入っているか」で判断できます。好みで言い回しを直す修正が減り、確認の往復も少なくなります。
Service
コーポレートサイト制作のご相談はフェニックスデザインへ ナレッジベースを運営するフェニックスデザインが、今のサイトの数字を見るところから対応します。URLを入れるだけの無料簡易診断から。
原稿の書き方のルール
ホームページの原稿は、結論から書く・一文で一つのことを書く・専門用語を言い換える・数字と固有名詞で書く・見出しで要点が分かるようにする、の5つを守ると、読む人にも確認する人にも伝わりやすくなります。
ルール 直す前の例 直した例
結論から書く 当社は創業以来、お客様のさまざまなご要望にお応えしながら技術を磨き、その結果として試作にも対応できる体制を整えてまいりました。 当社は、図面1枚から試作品を製作します。創業以来、少量の依頼に応えるなかで整えてきた体制です。
一文で一つのことを書く 受注から出荷まで自社で行っており、品質管理も徹底していますので、短納期のご依頼にも対応可能で、お見積りは無料です。 受注から出荷までを自社工場で行います。そのため、短い納期のご依頼にも対応できます。お見積りは無料です。
専門用語を言い換える SUS304 の TIG 溶接に対応しています。 ステンレス(SUS304)の溶接に対応しています。溶接の方法は TIG 溶接(薄い板やステンレスの溶接によく使われる方法)です。
数字と固有名詞で書く 豊富な実績があり、迅速に対応します。 2025年度は◯◯件の部品を製作しました。お問い合わせには2営業日以内に返信します。
見出しで要点が分かるようにする 当社の特徴 試作1個から量産まで、同じ工場で対応
これらは Web に限った工夫ではありません。文化審議会の「公用文作成の考え方」(2022年1月建議) も、一文を短くし論点を一つにすること、結論を早めに示してから理由や詳細を続けること、専門用語は言い換えるか説明を添えること、見出しで論点を示すことを挙げています。
あわせて、次のような表記のルールを1枚にまとめ、書く人全員に共有します。複数の部署で書くほど、表記のゆれが増えるためです。
社名・サービス名・製品名の正式な表記(略称を使うかどうか)
数字・英字を半角にするか全角にするか、金額に税込・税別を書くか
「お問い合わせ」「お問合せ」など、よく使う言葉の表記
です・ます調にそろえること
「業界No.1」「地域一番」など、根拠を示せない表現を使わないこと
最後の点について、消費者庁は、合理的な根拠のない「No.1」表示は景品表示法の不当表示にあたるおそれがあるとしています(No.1表示に関する実態調査報告書の公表について(2024年9月) )。
AI で下書きするときの注意
生成 AI は、ヒアリングのメモを整理したり、言い回しを見直したりするのには役立ちますが、事実の確認、入力する情報の管理、そのまま使わないことの3点は人が責任を持ちます。
事実を確認する:AI は、事実と違う内容をもっともらしく書くことがあります。Google も、生成 AI を使って作った内容は公開前に事実確認と見直しを行うよう案内しています(Google 検索における生成 AI コンテンツに関するガイダンス )。数字・制度・固有名詞は、元の資料と1つずつ照らし合わせます。
機密情報・個人情報を入力しない:未発表の製品、取引先名、見積金額、社員や顧客の個人情報は入力しません。個人情報保護委員会は、個人情報をプロンプトに入力する場合は利用目的の範囲内か、入力した情報が機械学習に使われないかを確認するよう注意を呼びかけています(生成AIサービスの利用に関する注意喚起等(2023年6月) )。使うサービスの利用規約を確かめ、社内のルールを決めておきます。
そのまま使わない:AI の文章は、どの会社にも当てはまる内容になりがちです。自社の事例・数字・社員の言葉を足して書き直します。文化庁のチェックリストも、生成したものを使う前に、既存の著作物と似ていないかを検索などで確かめることを挙げています(AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス(2024年7月) )。
当社も AI を調査や下書きの補助に使いますが、貴社に固有の情報の取材、事実確認、公開後の見直しは人が行っています。
社内で原稿を集める進め方
社内の原稿集めは、ページごとに担当と締切を割り振り、確認する人を絞って「担当者 → 窓口担当 → 最終決定者」の順に一度で回すと、差し戻しが減ります。
原稿シートを全ページ分作る:ページ構成(サイトマップ・ワイヤーフレーム)が決まった時点で、ページごとのシートを作ります。
事実を出す担当を割り振る:例として、事業内容は営業部門、採用は人事、会社概要は総務、事例は案件を担当した人、のようにページごとに1人決めます。
締切を工程から逆算する:公開日とデザイン・実装の工程から、原稿の提出日と確認日を決めます。
ヒアリング・取材・撮影の日程を先に押さえる:人の予定が最も動かしにくいため、最初に決めます。
確認の順番と期間を決める:担当者が事実を確認し、窓口担当が表記とページ間の重なりを整え、最終決定者が承認します。各段階の確認期間(例:5営業日)も決めておきます。
修正は1つのファイルに集める:共有のドキュメントにコメントで書き込み、版が複数できないようにします。
当社の制作工程では、原稿は次のように進みます。
工程(期間の目安) 貴社にお願いすること 原稿の進み方
01 ヒアリング・現状診断(1〜2週) ヒアリング(1〜2時間)への参加、現サイトの GA4・Search Console・サーバーの閲覧権限の共有 事業・顧客・競合を伺い、原稿の材料を集める
02 ブランディング設計(2〜3週) ヒアリングシートの記入、設計書の確認・承認 コンセプト、トーン&マナー(配色・書体・写真・言葉づかい)、キャッチコピーが決まり、文章の判断基準になる
03 情報設計・ワイヤーフレーム(2週) サイトマップ・ワイヤーフレームの確認・承認、掲載する情報(実績・数字・制度など)の提供 ページごとに載せる内容が決まる
04 デザイン(2〜4週) デザインの確認・承認、写真・ロゴなど素材の提供 写真・イラスト・原稿をそろえる
05 実装・SEO・計測設定(2〜4週) テスト環境での全ページ確認、原稿の事実確認、公開日の決定 テスト環境の画面で原稿を確認してから公開する
コーポレートサイト(スタンダードプラン)の場合、ヒアリングから公開までは2.5〜4か月が目安で、期間を左右する要因の一つが原稿・写真の準備です。各工程の成果物は制作の流れ に載せています。
よくある遅れ方と対策
原稿の遅れは、書く時間・確認の手順・許可と素材のどこかで止まって起きることがほとんどです。
よくある遅れ方 主な原因 対策
担当者が通常業務で手が回らず、原稿が出てこない 兼任の担当者に、全ページの執筆を任せている 下書きを制作会社に任せ、社内は事実の確認に絞る
確認者が多く、意見がまとまらない 原稿を部署横断で同時に回覧している 最終決定者を1人にし、確認の順番を決める
事例の掲載許可が取れない 公開直前に顧客へ依頼している ページ構成が決まった時点で依頼する。許可が出ない場合は社名を出さず業種で書く
写真がそろわない デザインが終わってから撮影を手配している 早い工程で既存の写真を確かめ、撮影が必要なら日程を押さえる
部署によって数字が違う 集計の時点や数え方がそろっていない 原稿シートに数字の出典と時点を書く
公開直前に内容が変わる 組織変更や新サービスが進行中 公開時に載せる範囲を決め、決まっていない内容は公開後に追加する
工程ごとの期間と、公開日から逆算したスケジュールの立て方はコーポレートサイト制作の期間とスケジュール で解説しています。
よくあるご質問
原稿は制作会社にすべて任せられますか?
下書きは任せられますが、事実の確認と最終的な承認は発注者が行う必要があります。数字・固有名詞・制度などの正しさは、社内の人にしか判断できないためです。当社では、ヒアリングをもとに当社が下書きを作り、貴社に事実確認をお願いする進め方を標準にしています。
今のサイトや会社案内のパンフレットの文章を使ってもよいですか?
事実を確かめる材料として役立ちます。ただし、紙のパンフレットの文章は、結論が後ろにある、見出しが少ないなど、Web で読むには向かないことが多いため、ページの目的に合わせて組み直します。数字や制度が古くなっていないかも確認します。外部の会社が作ったパンフレットの場合は、文章や写真の権利の扱いを契約で確かめておきます。
原稿は Word とスプレッドシートのどちらで用意すればよいですか?
形式はどちらでも構いません。大切なのは、ページごとにファイル(またはシート)を分け、見出し・本文・画像の指定を区別して書くことと、確認と修正を1つのファイルに集めて版が複数できないようにすることです。
1ページの文字数はどのくらい必要ですか?
決まった文字数はありません。原稿シートの「必ず入れる情報」がすべて入っているかで判断します。事業やサービスのページは、対象の顧客、提供内容、進め方、費用の目安、よくある質問まで入れると、結果として長くなることが多いページです。同じ内容を繰り返して文字数を増やすことはしません。
まとめ
ホームページの原稿を遅らせないためには、書き始める前に「誰が」「何を」書くかを決めることが重要です。要点は次のとおりです。
原稿の分担は「発注者がすべて書く」「制作会社が下書きし発注者が事実を確認する」「ライターが取材して書く」の3つ。事実は発注者、構成と文章は制作会社と分けると遅れにくい
ページごとに目的・読む人・必ず入れる情報・文字量の目安・素材・担当者・締切を1枚のシートにする
結論から・一文一義・専門用語の言い換え・数字と固有名詞・見出しで要点、の5つのルールと表記のルールを共有する
AI の下書きは、事実確認・機密情報を入力しない・そのまま使わない、の3点を守る
確認する人を絞り、担当者 → 窓口担当 → 最終決定者の順で一度に回す
当社のコーポレートサイト制作では、ヒアリングをもとに当社が原稿の下書きを作り、貴社には事実の確認をお願いしています。原稿の準備に不安がある方は、コーポレートサイト制作 のページで進め方と料金をご覧ください。
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