制作会社に任せていたドメインを自社で管理したい、サーバーと同じ会社でまとめて管理したい。こうした理由でドメインの「移管」を調べると、AuthCode、レジストラロック、指定事業者変更といった言葉が並び、手続きの途中でサイトやメールが止まらないかが心配になります。
ドメイン移管は、ドメインを管理する会社(更新料の支払先)を変える手続きで、サイトやメールの行き先を変える「ネームサーバーの変更」とは別物です。移管ではDNSの設定が引き継がれない場合があるため、今のDNSの設定を控えたうえで、有効期限まで1か月以上ある時期に、AuthCode(認証コード)を受け取って申し込みます。
この記事では、移管とネームサーバーの変更の違い、移管の前に確かめること、AuthCode、.comと.jp・.co.jpの手続きの違い、co.jpの注意点、期間と費用の目安、メールとサイトを止めない段取りを解説します。ドメインを誰の名義で持つかはドメイン・サーバーは自社と制作会社どちらの名義で管理するかで、制作会社を変えるときの全体の流れはホームページの制作会社を変更・移管する手順で扱っています。
ドメイン移管とネームサーバーの変更の違い
移管で変わるのは「ドメインをどの会社で管理し、更新料をどこに払うか」で、サイトやメールがどのサーバーで動くかは、ネームサーバーとDNSのレコードで決まります。
| 手続き | 変わるもの | 変わらないもの | サイト・メールへの影響 |
| ドメインの移管 | ドメインの管理会社(JPドメイン名では指定事業者)、更新料の支払先、管理画面 | ドメイン名、サイトやメールのデータ | DNSの設定が引き継がれれば通常は止まらない。今の管理会社のDNSを使っていた場合は止まるおそれがある |
| ネームサーバーの変更 | どこのDNSを使うか | 管理会社、更新料の支払先 | 新しいDNSに同じレコードがないと、サイトやメールが止まる |
| DNSレコードの変更 | サイト(Aレコード)やメール(MXレコード)などの行き先 | 管理会社、ネームサーバー | 書き換えた項目だけが切り替わる |
| 登録者の変更 | ドメインの名義(登録者・組織名) | 管理会社、DNS | 通常は止まらない |
サーバーを移すだけであれば、移管は必須ではありません。ICANN(.comなどのルールを定める団体)の登録者向けのFAQも、管理会社を変える代わりに、ネームサーバーの変更などで済む場合があると説明しています。エックスサーバーのサーバー移転の案内でも、サーバーだけを移して使えるため移管は必須ではないとしたうえで、今の管理会社でネームサーバーを変更できない場合や、サーバーとドメインの契約をまとめたい場合に移管を検討するよう案内しています。
移管の前に確認すること
移管の前に、有効期限、登録や変更からの日数、ロック、登録者の連絡先、DNSの提供元の5点を確かめておくと、申し込んだ後に手続きが止まることを防げます。
| 確認すること | 見るポイント | 注意点 |
| 有効期限 | 期限まで1か月以上あるか | .comなどは期限まで2週間以内か失効していると移管できない。JPドメイン名は期限の月に申請できない(例外あり)。1か月未満なら、今の管理会社で更新してから移管する |
| 登録や変更からの日数 | .comなどは、登録や前回の移管から60日以内ではないか | 60日以内の移管は断られる場合がある。登録者の名前・組織・メールアドレスを変えた後の60日間も、移管できないことがある |
| ロック | レジストラロック、指定事業者変更ロック、レジストリロックがかかっていないか | 今の管理会社で事前に解除する |
| 登録者の連絡先メール | .comなどは、Whoisに登録されている登録者のメールアドレスで受信できるか | 移管の承認メールがこのアドレスに届く。退職者や前の制作会社のアドレスになっていないかを見る |
| DNSの提供元 | ネームサーバーが、今の管理会社のDNSを向いているか | 今の管理会社のDNSを使っている場合は、移管で使えなくなることがあるため、レコードを控えて移す準備をする |
| 名義と管理画面 | 登録者が自社か、自社で管理画面に入れるか | 制作会社の名義・管理なら、先に名義と管理の情報をそろえる |
期限と移管できない条件は、XServerドメインの.comなどの移管の手順とJPドメイン名の移管の手順で、60日の制限はICANNのFAQで確認した内容です。条件の細かい部分は移管先と移管元で違うことがあるため、両方の案内を確かめてください。
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AuthCode(認証コード)とは
AuthCodeは、移管を申し込む人が登録者本人(または登録者から任された人)であることを確かめるための、ドメインごとのパスワードのような文字列で、今の管理会社から受け取り、移管先への申し込みで入力します。
- .comなど:AuthInfo、EPPキー、トランスファーコードとも呼ばれます。ICANNのFAQによると、管理会社は依頼から5日(暦日)以内にAuthCodeを渡す決まりです。
- .jp・.co.jpなどのJPドメイン名:2022年11月13日から、指定事業者の変更にAuthCodeが使われています。JPRSの説明によると、AuthCodeはJPRSが作り、作られた日の翌日から数えて35日後の23時59分59秒が有効期限で、移管が承認されると使えなくなります。期限が切れた場合は、今の管理会社への確認からやり直します。
AuthCodeは、第三者に知られるとドメインを移される手がかりになるため、受け渡す相手を絞り、社内でも扱う人を決めておきます。
.comと.jp・.co.jpの手続きの違い
.comなどは登録者のメールに届く承認メールで承認し、.jpや.co.jpなどのJPドメイン名は、今の管理会社(指定事業者)からの意思確認に登録者が「承認」を返す、という点が大きな違いです。
| 項目 | .com・.netなど | .jp・.co.jpなど |
| 手続きの呼び方 | レジストラの移管(トランスファー) | 指定事業者の変更(XServerドメインでは、汎用JP・都道府県型JPは「ドメイン名移転申請」、属性型JPは「指定事業者変更」として受け付け) |
| 必要なこと | AuthCode、ロックの解除、登録者のメールで受信できること | AuthCode、ロックの解除、移管することを今の管理会社に伝えておくこと |
| 承認の方法 | 登録者のメールに届く承認メールのURLから承認する(XServerドメインでは申し込みから1〜12時間程度で届く) | 今の管理会社から登録者に意思確認があり、「承認」を回答する |
| 完了までの目安(XServerドメインの例) | 承認後1〜7日程度 | 承認後1〜7日程度(最大10日) |
| 移管できない主な例 | 期限まで2週間以内・失効、登録から60日未満、ロック中、登録者のメールで受信できない | 今の管理会社に移管を伝えていない、期限の月の申請(例外あり)、ロック中、廃止の申請中・失効 |
一般的な流れは次のとおりです。
- 移管先を決め、移管の料金と、移管後に有効期限がどう延びるかを確認する
- 今のDNSのレコード(A、MX、TXT、CNAMEなど)を一覧に控える
- 今の管理会社でロックを解除し、AuthCodeを受け取る(JPドメイン名は、移管することもあわせて伝える)
- 移管先にAuthCodeを入力して申し込み、料金を支払う
- 承認する(.comなどは登録者のメールの承認URL、JPドメイン名は今の管理会社からの意思確認に回答)
- 完了の通知を受け取ったら、移管先の管理画面で、ネームサーバー、自動更新、連絡先のメールアドレス、登録者の情報を確かめる
- サイトとメールが動いていることを確かめてから、今の管理会社のDNSやメール転送などの付帯サービスを解約する
移管先によっては、申し込みの前に登録者情報などの設定が必要な場合があるため、移管先のマニュアルを先に読んでおきます。
co.jpを移管するときの注意点
.co.jpなどの属性型JPドメイン名は、指定事業者の変更で手続きし、移管先で担当者の情報(JPNICハンドル)を新しく作る必要があるなど、.comにはない注意点があります。
- 担当者の情報は引き継げない:JPRSによると、2022年11月13日から、属性型・地域型JPドメイン名の指定事業者を変えるときは、変更先で担当者情報(JPNICハンドル)を新しく作る必要があり、変更元で使っていた担当者情報は変更後に使えません。登録担当者・技術連絡担当者に前の制作会社などが入っている場合は、この機会に見直します。
- 期限の月を避ける:XServerドメインは、JPドメイン名の期限の月の移管申請はできない(例外は移管元に確認)としています。期限の前月までに申請が終わる日程にします。
- 意思確認を受け取れるようにする:意思確認は今の管理会社から登録者に届くため、連絡先が退職者や前の制作会社のものになっていないかを確かめます。
- 料金と期限の延び方を確かめる:たとえばXServerドメインの.co.jpの移管料金は4,136円(税込)で、.co.jpの説明では、移管時に1年分の更新料を払う代わりに有効期限が1年延びると案内されています。
移管にかかる期間と費用の目安
移管にかかる期間は、AuthCodeの受け取りから完了まで1〜2週間ほどを目安に見ておき、費用は移管先の移管料金と、移管後に有効期限がどう延びるかで確かめます。
| ドメイン | XServerドメインの移管料金(税込) | 補足 |
| .com | 1,721円 | 料金は1年目に適用され、2年目以降は更新料金 |
| .net | 1,992円 | 同上 |
| .jp(ローマ字) | 3,102円 | 同上 |
| .co.jp | 4,136円 | 移管時に有効期限が1年延びる |
表は2026年10月時点のXServerドメインの料金一覧によるものです。同じページの取得料金には期間限定のキャンペーン価格が表示されている場合があるため、移管の費用と混同しないようにします。今の管理会社の規約で、移管に伴う費用や契約の終わり方も確認しておきます。
エックスサーバーを契約している場合は、条件を満たせば「独自ドメイン永久無料特典」を使って他社から移管することもできます。対象のドメインはプランによって違い、.co.jpなどの属性型JPドメイン名はビジネスプランが対象です(特典のマニュアル)。
メールとサイトを止めない段取り
移管でメールやサイトが止まるのは主にDNSが途切れたときなので、移管の前にDNSの提供元を確かめ、必要なら先にネームサーバーを移しておきます。
| 今の状態 | 移管でのリスク | 段取り |
| サーバー会社のネームサーバーを使っている | ネームサーバーの設定が引き継がれれば止まらない | 移管が終わったら、移管先の管理画面でネームサーバーが変わっていないかを確かめる |
| 今の管理会社のDNSを使っている | 移管で今の管理会社のDNSが使えなくなると、サイトとメールが止まる | 移管の前に、移管先かサーバー会社のDNSに同じレコードを登録し、ネームサーバーを切り替えて反映を待ってから移管する |
| 今の管理会社のメール転送やURL転送を使っている | 移管で転送が止まることがある | 代わりの設定を用意してから移管する |
| サーバーの移転も予定している | 移管の手続き中はネームサーバーを変えられない場合がある | 期限に余裕があれば、サーバーの移転とネームサーバーの切り替えを先に済ませる |
レコードを控えるときは、サイトのAレコード、メールのMXレコード、SPF・DKIM・DMARCなどのTXTレコード、外部サービスの認証用のTXTやCNAMEを漏れなく一覧にします。メールの認証の設定が抜けると、メールが届いても迷惑メールと判定されやすくなります。設定の意味は会社のメールが迷惑メールになる原因とSPF・DKIM・DMARCで解説しています。
エックスサーバーの案内でも、ドメインの移管には7〜10日程度かかり、移管申請中はネームサーバーを変更できないため、サーバーの移転と移管の両方を行う場合は、ドメインの期限に余裕があればサーバーの移転から行うよう勧めています。サーバーの移転の進め方はWordPressのサーバー移転(引っ越し)手順で解説しています。
よくあるご質問
移管の手続き中に、ネームサーバーやDNSを変えられますか?
管理会社によっては、移管の申請中はネームサーバーを変更できません。DNSに関わる変更は、移管を申し込む前に済ませるか、移管の完了を待ってから行う日程にします。
有効期限が近いドメインはどうすればよいですか?
期限まで1か月を切っている場合は、今の管理会社で先に更新してから移管します。期限の直前は移管を受け付けない管理会社があるためです(XServerドメインでは、.comなどは期限まで2週間以内、JPドメイン名は期限の月の申請ができません)。更新を忘れて失効すると、サイトとメールが同時に止まります。
制作会社が管理しているドメインも移管できますか?
登録者が自社であれば移管できます。AuthCodeは今の管理会社の管理画面や窓口で受け取るため、制作会社が管理画面を持っている場合は、制作会社にAuthCodeの受け取りとロックの解除を依頼します。登録者が制作会社になっている場合は、移管の前に登録者を自社に変える手続きを制作会社に依頼します。
エックスサーバーのサーバーを使うなら、ドメインも移管しなければなりませんか?
必要ありません。エックスサーバーの案内でも、サーバーだけを移して使えるため、ドメインの移管は必須ではないとされています。ドメインは今の管理会社のまま、ネームサーバーをエックスサーバーのものに変えれば使えます。
まとめ
ドメイン移管は管理会社と更新料の支払先を変える手続きで、サイトやメールの行き先を変えるネームサーバーの変更とは別物です。移管の前に、有効期限(1か月以上の余裕)、60日の制限、ロック、登録者の連絡先、DNSの提供元を確かめ、今のDNSのレコードを控えてから、AuthCodeを受け取って申し込みます。.co.jpでは担当者の情報を移管先で作り直す必要があります。今の管理会社のDNSを使っている場合は、先にネームサーバーを移してから移管すると、メールとサイトを止めずに済みます。
ドメインやSSLの期限の管理を社内で続けるのが難しい場合は、当社のWEBサイト運用保守をご検討ください。保守ライト(月2万円〜、税別)に、SSL・ドメインの期限の管理を含めています。
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