今のサーバーの契約更新が近い、表示が遅い、制作会社との契約を終えるのでサーバーも自社で持ちたい。こうした理由で他社のサーバーからエックスサーバーへ移ろうとすると、サイトだけでなくメールやSSLも絡むため、どの順番で何をすれば止まらずに済むのかが分からなくなりがちです。
結論から言うと、他社のサーバーからエックスサーバーへ移るときは、今のサーバーの契約を残したまま新しいサーバーにサイトとメールを用意し、SSLを先に設定して動作を確かめてから、最後にネームサーバーを切り替えれば、サイトとメールを止めずに移行できます。
この記事では、エックスサーバーの公式の移転手順(2026年10月時点)に沿って、移行前の確認、Webサイトの移し方(WordPress簡単移行・手動・サーバー移転代行)、SSLの事前設定、切り替え前の動作確認、メールの移し方、ネームサーバーの切り替えと切り替え後の確認を解説します。XServerビジネスにも、WordPress簡単移行とサーバー移転代行があります。サーバー会社を問わないWordPressの引っ越しの一般的な手順は、WordPressのサーバー移転(引っ越し)手順で扱っています。
移行の全体の流れと期間の目安
公式の手順は「移転前の確認→サーバーの申し込み→ドメインの設定→Webサイトの移行→メールアカウントの設定→ネームサーバーの変更→移転の完了」の7段階で、表示やメールを止めないために、移転元の契約を残したまま期間を重ねて進めます(エックスサーバー サーバー移転の手順)。
| 段階 | やること | 今のサイト・メールへの影響 |
| 1. 移転前の確認 | 移転元の契約期限、移す内容(サイト・メール)、ネームサーバーの変え方を確かめる | なし |
| 2. サーバーの申し込み | 「WordPressクイックスタート」を使わずに申し込む。10日間のお試し期間が始まる | なし |
| 3. ドメインの設定 | サーバーパネルの「ドメイン設定」で独自ドメインを追加する | なし(ネームサーバーは切り替わらない) |
| 4. Webサイトの移行 | WordPress簡単移行・手動・移転代行のいずれかで移し、SSLを設定して動作を確かめる | なし |
| 5. メールアカウントの設定 | 本契約の後、同じメールアドレスを作り、メールソフトに追加する | なし |
| 6. ネームサーバーの変更 | ドメインの管理会社で、エックスサーバーのネームサーバーに変える | 数時間〜24時間程度は、新旧どちらのサーバーにつながるか分からない |
| 7. 移転の完了 | サイトの表示とメールの送受信を確かめ、問題がなければ移転元を解約する | 移転元を解約しても影響がないことを確かめてから行う |
期間の目安は、移転前の作業にかかる時間に、ネームサーバーの反映を待つ約1日を足したものです。作業の遅れや確認のやり直しに備えて、公式の手順でも、移転元の契約に1か月以上の余裕がある状態で始めることを勧めています。
移行の前に確認すること
移行の前に、移す内容、ドメインの管理会社とネームサーバーの変え方、WordPressとPHPのバージョン、移転元の契約期限を確かめ、今の設定を控えておきます。
- 移す内容:サイトとメールの両方か、どちらか一方か。メールアドレスの一覧、転送の設定、問い合わせフォームの通知先も控える
- ドメインの管理会社:ネームサーバーはドメインの管理会社で変えるため、今の管理会社での変更の方法を確かめる。変更できない場合は、ドメインの移管も検討する
- WordPressとPHPのバージョン:WordPress簡単移行を使えるのは、WordPress 4.2〜7.1、PHP 7.2以上の場合(後述)。移行先で使うPHPのバージョンもあわせて決めておく
- 移転元の契約期限:1か月以上の余裕があるか。足りない場合は、移転元の契約を延ばしてから始める
- 過去のメール:サーバー間で過去の受信メールは引き継げないため、必要なメールはパソコンのメールソフトなどに保存する
- DNSの設定:移転元のネームサーバーに、外部サービスの認証用のレコード(例:TXTレコード)などを追加している場合は、内容を控えて移行先で設定し直す
サーバーの移転とドメインの移管を両方行う場合は、順番に注意します。ドメインの移管には7〜10日程度かかり、移管の申請中はネームサーバーを変えられないため、ドメインの期限に余裕があればサーバーの移転を先に済ませます。移管の進め方はドメイン移管の手順で解説しています。
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サーバーの申し込みとドメインの設定
申し込みは「WordPressクイックスタート」を使わずに行い、ドメインの設定を追加してもネームサーバーは切り替わらないため、この段階では今のサイトとメールに影響はありません。
エックスサーバーは申し込みから10日間が無料のお試し期間で、期限までに料金を支払うと本契約になります。お試し期間中もWebサイトのデータのアップロードや動作確認はできますが、メールアカウントの作成とプログラムからのメール送信はできないため、メールの設定と問い合わせフォームの送信テストは本契約の後に行います。「ドメイン設定」で独自ドメインを追加すると、サーバー上にドメイン名のフォルダが作られますが、DNSは切り替わりません。
エックスサーバーとXServerビジネスのどちらに移るかは、設定作業を誰が行うかで決めます。サイトの移転やメールアドレスの作成をサーバー会社に任せたい場合は、サーバーパネルの設定の代行が無料・回数無制限で、移転代行も1つのサーバーアカウントにつき10件まで無料のXServerビジネスが向いています。サービスごとの違いはエックスサーバーとXServerビジネスの違いで比べています。
Webサイトの移し方:3つの方法
WordPressのサイトは「WordPress簡単移行」、WordPress以外のサイトや簡単移行の条件に合わないサイトは手動、作業を任せたい場合は「サーバー移転代行」で移します。
| 方法 | 向いているサイト | 費用(税込)・期間 | 注意すること |
| WordPress簡単移行 | WordPressのサイト(WordPress 4.2〜7.1、PHP 7.2以上) | サーバーパネルから自分で実行 | マルチサイト、データベースが2GBを超えるサイト、WordPress.comからの移行は使えない。.htaccessなど移らないものがある |
| 手動での移行 | WordPress以外のサイト、簡単移行でエラーになるサイト | 自分で作業するか、保守会社などに依頼 | ファイルをFTPなどで移す。WordPressはデータベースのエクスポートとインポート、wp-config.phpの書き換えも必要 |
| サーバー移転代行(エックスサーバー) | 作業を任せたいサイト | 1件33,000円(ビジネスプランは初回無料)、5営業日 | サイトの動作確認とネームサーバーの変更は対象外 |
| サーバー移転代行(XServerビジネス) | 作業を任せたいサイト | 10件まで無料、11件目から1件16,500円、5営業日程度 | 同上 |
移転代行で移るのは、申し込みのときに伝える「移転用FTP情報」で移転元にアクセスしたときに見えるWebサイトのファイルで、WordPressはデータベースも移します(サーバー移転代行)。移転元の環境やサイトの内容によっては移せない場合もあるため、申し込む前にサイトの構成を確かめておきます。
WordPress簡単移行の手順と注意点
WordPress簡単移行は、移行元のURL、WordPressのユーザー名とパスワードを入力して、ファイルとデータベースをまとめて移す機能です(WordPress簡単移行のマニュアル)。
- サーバーパネルの「ドメイン設定」で、移行先のドメインを追加しておく
- サーバーパネルの「WordPress簡単移行」で「WordPressを移行」を選ぶ
- 移行元のURL(管理画面の「設定」→「一般」にある「WordPress アドレス(URL)」)、ユーザー名、パスワードを入力して実行する。httpとhttpsの取り違えに注意する
- 完了したら、表示されたサイトのURLと管理画面のURLを控える。ネームサーバーの変更は、移行の作業が終わってから行う
- 移るもの:/wp-contentのデータ(画像・プラグイン・テーマなど)と、データベースの内容(記事や各種設定)
- 移らないもの:移行元の.htaccess、バックアップ用プラグインが作ったデータ、/wp-content以外に置いたデータやプラグインの設定、本体の構造を変えている場合のカスタマイズ。.htaccessに書いていたリダイレクトやアクセス制限は、移行後に設定し直す
- 移行元にBasic認証やロボット認証をかけているとログインに失敗するため、一時的に解除する。wp-config.phpに「DISALLOW_FILE_MODS」をtrueにする記述があると、移行用のプラグインを入れられない
- 移行元には移行用のプラグイン「XServer Migrator」が入り、正常に終わると自動で削除される。移行後のWordPressは、マイナーバージョンが最新に更新される
- wp-contentの容量が大きいとタイムアウトすることがあり、目安は2GB以下。不要なバックアップファイルなどを消してから実行する
- 「ログイン試行回数制限」がオンのまま続けて実行するとエラーになるため、30分以上空けるか、設定をオフにして実行する
SSLは切り替えの前に設定する
httpsで公開しているサイトは、ネームサーバーを変える前に、エックスサーバー側で無料独自SSLを設定しておきます。公式のマニュアルには、SSLを設定する前にネームサーバーを変えると、一時的にサイトが正しく表示されない期間が出るおそれがあると書かれています(無料独自SSL設定)。事前の設定は、サーバーパネルで無料独自SSLを追加し、「他社サーバーでのWeb認証」(移転元のサーバーに認証用のファイルを置く)か、「他社ネームサーバーでのDNS認証」(移転元のネームサーバーに認証用のレコードを追加する)で行います。サーバー移転代行を使う場合は、移転元でSSLを使っていることが確認できれば、無料独自SSLの設定も代行に含まれます。
切り替え前の動作確認
WordPressのサイトは、エックスサーバーの「動作確認URL」では正しく確かめられないため、パソコンのhostsファイルを編集して新しいサーバーのサイトを表示し、主なページ・管理画面・設定を確かめます。
動作確認URLは、サーバーパネルでオンにすると「example-com.check-xserver.jp」のような確認用のURLが発行される機能で、反映には1時間程度かかります。設定したURLでリンクを作るWordPressなどのプログラムでは正しく確認できないため、公式のマニュアルではhostsファイルの編集で確かめるよう案内しています(動作確認について)。hostsファイルはパソコンごとの設定なので、確認する人のパソコンすべてで編集し、確認が終わったら元に戻します。
| 確認すること | 見るポイント |
| 主なページの表示 | トップ、サービス、会社概要、お知らせなどが崩れていないか。画像が欠けていないか |
| 記事やページのURL | 404になる場合は、管理画面の「設定」→「パーマリンク」で何も変えずに「変更を保存」を押す |
| 管理画面 | 移行元と同じユーザー名とパスワードでログインできるか |
| PHPのバージョン | サーバーパネルの「PHP Ver.切替」で、使っているテーマ・プラグインが対応する版になっているか |
| 問い合わせフォーム | 送信できるか、通知メールが届くか(お試し期間中はメールを送れないため、本契約の後に確認) |
| 海外からの利用 | エックスサーバーのWordPressセキュリティ設定では、国外からのダッシュボードやREST APIへのアクセスの制限が初期状態でオン。海外から更新する人や、海外のクラウドから接続する外部サービスがある場合は設定を確かめる |
メールの移し方
メールは、エックスサーバーに同じメールアドレスを作り、メールソフトには今の設定を残したまま新しいアカウントを追加しておくと、切り替え中のメールを取りこぼさずに移せます。
- 過去のメールを保存する:サーバー間で過去の受信メールは引き継げないため、必要なものはメールソフトなどに保存する
- 本契約の後、サーバーパネルで今と同じメールアドレスを作る
- メールソフトに、エックスサーバーのアカウントを「追加」する。今のアカウントの設定は上書きせず、削除もしない
- ネームサーバーを変えた後の数時間〜24時間程度は、新旧どちらのサーバーにメールが届くか分からないため、両方で受信できる状態を保つ
- 切り替えが終わったら、社内と社外の両方から送受信を試し、移転元のアカウントにメールが届かなくなったことを確かめてから、旧アカウントを外す
エックスサーバーでは、ドメイン設定で独自ドメインを追加すると、SPFのレコードが自動で追加されます。DKIMとDMARCはサーバーパネルでドメインごとに設定するため、切り替えにあわせて設定を確かめます。設定の意味と手順は会社のメールが迷惑メールになる原因とSPF・DKIM・DMARCで解説しています。また、メールの送信(SMTP認証)は初期状態では国内からの接続だけを受け付けるため、海外出張中などに送信できない場合は「SMTP認証セキュリティ設定」を見直します。
ネームサーバーの切り替えと切り替え後の確認
ここまでの準備が済んだら、サイトやメールの利用が少ない時間帯に、ドメインの管理会社でネームサーバーをエックスサーバーのものに変え、丸1日程度は新旧どちらにつながるか分からない前提で様子を見ます。
他社でドメインを管理している場合は、管理会社の画面でネームサーバーを「ns1.xserver.jp」〜「ns5.xserver.jp」に変えます。設定できる数が少ない管理会社では、ネームサーバー1から順に、設定できる数だけ入れます。一部の古い契約では値が異なるため、サーバーパネルの「サーバー情報」で確かめます。反映には数時間〜24時間程度かかります(ネームサーバーの設定)。反映を待つ間は、両方のサーバーで同じ内容が表示されるよう、サイトの更新を止めておくと混乱がありません。
- httpsで表示され、証明書のエラーが出ないか
- 問い合わせフォームから送信し、通知メールが届くか
- 社内と社外の両方で、メールを送受信できるか
- Search Consoleにエラーが出ていないか、アクセス解析の計測が続いているか
- 反映を待つ間に、移転元のサイトで受け付けた問い合わせや投稿が残っていないか
移転元のサーバーは、すべて問題がないことを確かめてから解約します。解約の前に移転元のデータをもう一度バックアップしておくと、移し忘れに気づいたときに取り出せます。
よくあるご質問
移行の途中で、サイトが表示されない時間はありますか?
移転元の契約を残したまま進め、SSLを事前に設定してからネームサーバーを変えれば、通常はサイトを止めずに移れます。反映を待つ間は、見る人によって移転元か移行先のどちらかのサイトが表示されます。SSLを設定する前にネームサーバーを変えると、一時的に正しく表示されない期間が出るおそれがあります。
サーバー移転代行を頼めば、すべて任せられますか?
代行の対象は、WebサイトやWordPressのデータの移行(WordPressはデータベースを含む)と、移転元でSSLを使っている場合の無料独自SSLの設定です。サイトの動作確認とネームサーバーの変更は対象外なので、自社か保守会社が行います。メールアドレスの作成は「設定おまかせサポート」の作業で、エックスサーバーでは100アカウントまでの作成が5,500円(税込、ビジネスプランは毎月3回まで無料)、XServerビジネスでは無料です(設定おまかせサポート)。
ドメインもエックスサーバーに移したほうがよいですか?
必須ではありません。今のドメインの管理会社でネームサーバーを変えられれば、サーバーだけを移せます。移管を考えるのは、今の管理会社でネームサーバーを変えられない場合や、サーバーとドメインの契約を1か所にまとめたい場合です。移管の申請中はネームサーバーを変えられないため、両方行うときは期限に余裕があればサーバーの移転を先にします。
移行元のPHPが古い場合、そのまま移しても動きますか?
WordPress簡単移行の動作要件はPHP 7.2以上です。移行先で新しいPHPを選ぶと、古いテーマやプラグインが動かないことがあるため、hostsファイルで確かめる段階で表示と管理画面を確認し、不具合が出たらPHPのバージョンを移行元に近い版にして原因を切り分けます。古いPHPのまま使い続けることには別のリスクがあるため、移行の後にPHPの更新も計画します。
まとめ
他社のサーバーからエックスサーバーへの移行は、移転元の契約を残したまま、申し込み→ドメインの設定→Webサイトの移行→SSLの事前設定と動作確認→メールアカウントの設定→ネームサーバーの変更の順に進め、問題がないことを確かめてから移転元を解約します。WordPressは簡単移行か移転代行で移せますが、.htaccessの設定など移らないものがあり、移転代行も動作確認とネームサーバーの変更は対象外です。メールは同じアドレスを作ってメールソフトに追加し、切り替え中は新旧の両方で受信できるようにしておきます。
当社のサーバー移転・PHP更新の代行では、事前の確認、移転、SSL、DNSの切り替え、動作確認までを一式で行います(88,000円〜・税別。不具合の修正は別途お見積り)。保守プラン(月2万円〜・税別)と同時にお申し込みの場合は半額です。
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