会社のホームページやメールのサーバーを新しく契約するとき、または今のサーバーの更新を前に見直すとき、料金表に並ぶ容量や速度の数字を比べても、会社として何を確かめればよいかは分かりにくいものです。個人のブログと違って、会社のサーバーは担当者が替わっても使い続け、請求や障害の連絡も社内で受け取れる必要があります。
結論から言うと、法人のレンタルサーバーは、性能の数字よりも、名義、サポート窓口、バックアップ、稼働率の保証(SLA)、セキュリティ、メール、移転のしやすさ、請求の8つの基準を、公式ページと契約の条件で確かめて選びます。
この記事では、8つの基準ごとの確認方法と判断の目安、申し込みまでの進め方、当社がXServerビジネスをお勧めすることが多い理由と、そうでない場合を解説します。サーバーの役割や種類(共用サーバー・VPS・クラウドなど)の基礎はホームページのサーバーの選び方で扱っているため、ここでは会社として契約するときの判断に絞ります。
法人がレンタルサーバーで確認する8つの基準
8つの基準は、「会社の資産として持ち続けられるか」(名義・請求・移転のしやすさ)と、「止まったときに戻せるか・相談できるか」(サポート窓口・バックアップ・SLA・セキュリティ・メール)の2つに分けて確認すると、抜けが出にくくなります。
| 基準 | 確認すること | 確認する場所 | 判断の目安 |
| 1. 名義 | 会社名で契約できるか。ログインIDや通知の届け先を会社の共有アドレスにできるか | 申し込みフォーム、利用規約、マニュアル | 会社名で契約し、請求書の宛名も会社名になる |
| 2. サポート窓口 | 電話・メール・チャットの受付時間、法人向けの専用窓口の有無、障害情報を公開する場所 | 料金ページ、問い合わせページ、障害・メンテナンス情報 | 平日の業務時間に電話かチャットで相談でき、障害情報が公開されている |
| 3. バックアップ | 自動バックアップの頻度・保持期間・対象、自分で復元できるか、費用、別の場所への保存の有無 | 機能ページ、バックアップのマニュアル | 毎日のバックアップを1〜2週間分保持し、管理画面から自分で戻せる |
| 4. SLA | 保証する稼働率、対象(Web・メールなど)、止まった時間の数え方、返金の割合と申請の方法 | SLAのページ、利用規約 | 返金の基準が公開されている。「実績」の表示と「保証」を区別して読む |
| 5. セキュリティ | WAF、WordPressのログイン保護、改ざん検知・脆弱性診断、無料SSLの自動更新、新しいPHPへの対応 | 機能ページ、マニュアル | 標準の機能として使え、管理画面で有効・無効を切り替えられる |
| 6. メール | アカウントの数と容量、送信数の上限、迷惑メール対策、SPF・DKIM・DMARCの設定 | 機能ページ、メールの仕様のマニュアル | 必要なアドレス数を作れ、送信ドメイン認証を管理画面で設定できる |
| 7. 移転のしやすさ | 他社からの移転の機能や代行、切り替え前の動作確認の方法、データの取り出し方、解約の条件 | 移転の手順のページ、代行サービスのページ、マニュアル | 入るときの代行と、出るときのデータの取り出しの両方が用意されている |
| 8. 請求 | 支払い方法(前払いか後払いか)、請求書・見積書の発行、宛名、自動更新、契約期間 | 料金ページ、支払い方法のマニュアル | 社内の経理の流れ(見積書・稟議・請求書)に合う |
候補のサーバーごとにこの表を埋め、確認した公式ページのURLと確認した日を残しておくと、稟議や次の更新の見直しにそのまま使えます。料金・機能・回数は変わることがあるため、申し込む直前にもう一度確かめます。
基準ごとの見方とつまずきやすい点
8つのうち、契約の後から変えにくいのは名義と請求、トラブルのときに差が出るのはバックアップ・SLA・サポート窓口なので、この5つは公式の記載を読み込んでから決めます。以下は、2026年10月時点のエックスサーバー・XServerビジネスの公式情報を例にした見方です。
名義と請求:契約名義がそのまま請求書の宛名になる
エックスサーバーとXServerビジネスでは、請求書はXServerアカウントからPDFでダウンロードでき、書面での発行は手数料220円(税込)です。どちらの場合も宛名はXServerアカウントの契約名義で、任意の宛名には変えられません(XServerビジネス 請求書・受領書・見積書)。支払いは契約期間分の一括前払いで、銀行振込・ペイジー・コンビニ払いを選べば、支払いの前に請求書を発行できます。担当者の個人名や制作会社の名義で契約すると、請求書の宛名もそのままになるため、最初から会社名で契約し、ログインと通知には会社の共有アドレスを使います。名義と日々の管理を誰が持つかは、ドメイン・サーバーは自社と制作会社のどちらで管理するかで詳しく解説しています。
バックアップ:「何日前まで戻せるか」と「別の場所にあるか」を見る
エックスサーバーとXServerビジネスは、Web・メールのデータとデータベースを1日1回自動でバックアップし、14日分を保持していて、取得と復元は無料です。XServerビジネスは、これに加えて別の場所にもバックアップを保存する遠隔地バックアップを備えています。一方で、エックスサーバーのバックアップの説明には、サーバー会社のバックアップはデータの確実な保全を保証するものではなく、利用者自身でのバックアップを強く勧めると書かれています。サーバーのバックアップは「直近の事故から戻すためのもの」と考え、自社でも別の場所に保存します。保存のルールの決め方はサーバーのバックアップと復元で解説しています。
SLA:「実績」の表示と「保証」を分けて読む
「稼働率99.99%以上の実績」は過去の結果の表示で、「99.99%以上を保証」は下回ったときの返金の約束です。XServerビジネスのSLA(品質保証制度)は全プランが対象で、Web・メール・FTP・データベースの各サーバーについて月間稼働率99.99%以上を保証しています。完全に利用できない状態だけを1分単位で数え、表示の遅れや不安定な状態は含みません。返金は止まっていた時間に応じて月額利用料の10%〜100%で、たとえば30日の月に60分止まった場合は稼働率が約99.86%になり、返金は月額利用料の15%です。なお、99.99%は30日の月で止まってよい時間が約4分という水準です。返金で補われるのは月額利用料までなので、SLAは「サーバー会社が品質に責任を持つ範囲」の目安として読み、止まったときの備えは別に用意します。
サポート窓口:障害のときに、誰がどこへ連絡するかまで決める
受付時間と方法は、問い合わせページで確かめます。XServerビジネスのサポート窓口は、オペレーターのチャットと電話が平日10:00〜18:00、チャットボットが24時間365日、ほかにメールフォームがあり、エンタープライズとマネージド専用サーバーには専用窓口(平日10:00〜17:00、電話・メール・ビデオ通話)があります。契約したら、障害・メンテナンス情報のページを社内で共有し、サイトやメールが止まったときに連絡する人(社内の担当者か保守会社か)を決めておきます。
移転のしやすさ:入るときと出るときの両方を見る
移転のしやすさは、他社から移ってくるときの機能や代行だけでなく、将来ほかへ移るときにデータを取り出せるかでも判断します。エックスサーバーでは、自動バックアップのデータをサーバー上に取り出してFTPでダウンロードでき(取り出したデータは24時間で自動的に削除)、データベースは管理画面から手動でダウンロードできます(1つ5GBまでが目安)。契約が有効でない状態ではバックアップデータの申し込みができないため、解約や契約の期限が来る前に取り出しておきます。他社のサーバーから移るときの手順は、他社サーバーからエックスサーバーへの移行手順で解説しています。
セキュリティとメール:標準で使えるかを確かめる
セキュリティは、WAF、WordPressの管理画面への国外からのアクセス制限やログイン試行回数の制限、無料SSLの自動更新が標準の機能として使えるかを見ます。メールは、作れるアドレスの数のほか、送信数の上限(エックスサーバーは全プラン共通で1時間1,500通・1日15,000通が目安)と、SPF・DKIM・DMARCを管理画面で設定できるかを確かめます。Gmailは2024年2月1日以降、個人用のGmailアカウントに送るすべての送信者に、SPFかDKIMの設定を求めています(Gmail のメール送信者のガイドライン)。会社のメールが届かなくならないよう、これらの設定を自社や保守会社で行えるサーバーを選びます。
Service
運用保守・集客改善のご相談はフェニックスデザインへナレッジベースを運営するフェニックスデザインが、今のサイトの数字を見るところから対応します。URLを入れるだけの無料簡易診断から。
申し込みまでの進め方
申し込みは、要件を書き出してから候補を比べ、無料お試しで操作を確かめ、見積書で社内の決裁を取ってから、会社名義で本契約する順に進めます。
- 要件を書き出す:サイトの数、メールアドレスの数と使う人、必要な保証(SLA・別の場所へのバックアップ)、社内の支払いの流れ
- 候補を2〜3に絞り、8つの基準の表を埋める:公式ページのURLと確認した日も記録する
- 無料お試しで管理画面と表示を確かめる:エックスサーバーのお試し期間(10日間)はメールアカウントの作成とプログラムからのメール送信ができないため、メールの確認は本契約の後に回す
- 見積書を発行して稟議に回す:エックスサーバーとXServerビジネスは、料金ページでプランと契約期間を選び、宛名を入れて新規契約の見積書を発行できる
- 会社名義・共有アドレスで本契約し、支払い方法と更新月を社内の管理表に記録する
- 複数人で管理できる機能がある場合は、制作会社や保守会社に必要な範囲の権限だけを渡し、契約者のアカウントのログイン情報は渡さない
- サイトとメールを移し、表示・フォーム・メールの送受信を確かめてから切り替える
当社がXServerビジネスをお勧めすることが多い理由
当社が中小企業の会社サイトでXServerビジネスをお勧めすることが多いのは、サイトとメールを1つの契約で持ち、社内にサーバーの担当者がいない会社にとって、8つの基準のうちSLA、バックアップ、サポートと代行、複数人での管理が、最も安いプランから揃っているためです(XServerビジネス 料金・機能、2026年10月時点)。当社の自社サイトもエックスサーバーで運用しています。
- SLA:全プランで月間稼働率99.99%以上を保証し、返金の基準を公開している
- バックアップ:14日分の自動バックアップに加えて、遠隔地バックアップがある
- 代行:サーバーパネルの設定の代行が無料・回数無制限で、他社からのサイトの移転代行も1つのサーバーアカウントにつき10件まで無料。担当者が替わっても、メールアドレスの追加などを頼める
- 複数人での管理:管理者ユーザー設定が全プランにあり、制作会社や保守会社に権限を分けて渡せる
- 診断:XServer サイトセキュリティ(脆弱性診断・改ざん検知)の50ページ毎日診断が無料で付く
- メール:アカウント数は無制限で、DKIM・DMARCを管理画面で設定できる
その分、費用はエックスサーバーより上がります。XServerビジネスのスタンダードは12か月契約で月額4,180円(税込・通常料金)、初期費用は通常16,500円で、1年目は合わせて66,660円です。同じ12か月契約のエックスサーバー スタンダード(月額1,100円、初期費用0円)の5倍ほどになるため、上の機能が自社に必要かどうかで判断します。
XServerビジネスでなくてもよい場合
サーバーの設定を社内や保守会社が担える場合、メールを別のサービスで持つ場合、独自のシステムを動かす場合などは、XServerビジネス以外が合うこともあります。
- 設定は保守会社や社内で行い、費用を抑えたい:エックスサーバーのスタンダード(月額990円〜)で足りることが多い。管理画面の権限を分けたい場合は、管理者ユーザー設定のあるビジネスプランを選ぶ
- メールは別のメールサービスで運用し、WordPressのサイトだけを置く:WordPress専用のXServer for WordPressが候補になる。メールアカウントは作れない
- 独自のシステムを動かす、OSやミドルウェアを選びたい:VPSやクラウドが候補になる。OSやソフトウェアの更新を行う人か会社が必要
- 社内の規程で、月ごとの請求書払いや掛け払いが必要:エックスサーバーとXServerビジネスは契約期間分の一括前払いのため、前払いの手続きが取れるかを経理と確かめる
- 今のサーバーが8つの基準を満たしていて、困っていない:移転には作業と費用がかかるため、無理に移る必要はない
- すでにエックスサーバーを使っていて、SLAなどが必要になった:解約して申し込み直す必要はなく、公式の「XServerビジネスへの変更」で契約期間とデータを引き継いだまま切り替えられる
よくあるご質問
SLAのないサーバーは、法人では使わないほうがよいですか?
使えないわけではありません。SLAが重要になるのは、取引先への説明や社内の規程で稼働率の保証が求められる場合です。SLAがないサーバーを選ぶときは、障害情報を公開しているか、バックアップから自分で戻せるか、困ったときに相談できる窓口があるかを確かめ、自社でもバックアップを別の場所に保存して備えます。
請求書払い(後払い)で契約できますか?
エックスサーバーとXServerビジネスの支払いは契約期間分の一括前払いで、支払い方法の一覧に請求書による後払いはありません(あと払いのペイディは選べます)。銀行振込・ペイジー・コンビニ払いなら支払いの前に請求書をPDFで発行でき、宛名は契約名義になります。
稟議のための見積書は出せますか?
出せます。エックスサーバーとXServerビジネスは、料金ページの「料金シミュレーション・お見積り」で、プランと契約期間を選び、宛名を入れて新規契約の見積書をダウンロードできます。キャンペーンを適用しない金額の見積書が必要な場合は、サポートに依頼するとPDFで送ってもらえます。
契約期間は何か月にすればよいですか?
契約期間が長いほど月額は下がりますが、契約期間分を前払いします。たとえばXServerビジネスのスタンダードは、3か月契約で月額5,016円、36か月契約で月額3,762円(いずれも税込・通常料金)です。数年以内にサイトのリニューアルやサーバーの見直しを予定している場合は、その時期に合わせて期間を選びます。
まとめ
法人のレンタルサーバーは、名義、サポート窓口、バックアップ、SLA、セキュリティ、メール、移転のしやすさ、請求の8つの基準で選びます。契約の後から変えにくい名義と請求、トラブルのときに差が出るバックアップ・SLA・サポート窓口は、公式の記載を読み込んでから決め、確認したページと日付を残しておきます。サイトとメールを1つの契約で持ち、社内にサーバーの担当者がいない会社にはXServerビジネスが合うことが多く、設定を担える人がいる、メールを別に持つ、独自のシステムを動かすといった場合は、ほかの選択肢と比べます。
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