運用保守・集客改善

レンタルサーバーとVPSの違い:会社のサイトでVPSが必要になる場合

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ホームページの作り直しやサーバーの見直しの相談の中で、「VPS のほうが自由に設定できる」「VPS なら月1,000円台から使える」と聞き、共用のレンタルサーバーとどちらにすべきか迷う担当者は少なくありません。料金表を並べると、VPS が法人向けのレンタルサーバーより安く見えることもあります。

結論から言うと、会社案内・採用情報・お知らせ・問い合わせフォームで構成する中小企業のコーポレートサイトの多くは共用のレンタルサーバーで足り、VPS は、共用サーバーでは動かせない独自のアプリや常に動かすプログラム、Windows の業務アプリなどがあり、OS やソフトウェアの更新を担う人か会社を決められるときに選びます。VPS は料金が安く見えても、共用サーバーならサーバー会社が行う更新やバックアップを、契約者が自分で行う前提のサービスです。

この記事では、共用のレンタルサーバーと VPS の違い(管理者の権限・OS・保守の責任・料金)、2026年10月の PHP の脆弱性で起きたこと、共用サーバーで足りる場合と VPS が必要になる場合、自社で保守できないときの注意を、2026年10月時点の公式情報で解説します。サーバーの役割や種類の全体像はホームページのサーバーの選び方で扱っているため、ここでは共用サーバーと VPS の選び分けに絞ります。

共用のレンタルサーバーと VPS の違い

共用のレンタルサーバーと VPS のいちばん大きな違いは、サーバーの OS やソフトウェアを「サーバー会社が管理するか」「契約者が管理するか」です。

共用のレンタルサーバーは、1台のサーバーを複数の契約者で使い、サーバー会社が用意した環境(PHP・データベース・メールなど)の範囲でサイトを動かします。VPS(仮想専用サーバー)も物理的なサーバーを複数の契約者で分けて使いますが、契約者ごとに仮想のサーバーが割り当てられ、管理者の権限(root 権限)で OS やソフトウェアを自由に入れられます。XServer VPS のよくある質問でも、VPS は OS やアプリケーションを自分で選んで構成したい場合に、レンタルサーバーはサーバー管理の手間を省いて Web サイトやメールを運用したい場合に向くと説明しています。

項目共用のレンタルサーバーVPS
管理者の権限サーバー全体の権限はなく、管理画面で決められた項目を設定するroot 権限があり、サーバーの設定を自分で変えられる
OSサーバー会社が選んで管理する契約者が選ぶ(XServer VPS では AlmaLinux、Ubuntu、Debian など)
入れられるソフトウェア用意された PHP・データベースなどの範囲OS の上に必要なものを自分で入れる
OS・PHP などの更新サーバー会社が行う(PHP の版を選ぶのは契約者)契約者が行う
通信の制限・WAFサーバー会社が用意し、管理画面で有効にする契約者が設定する(XServer VPS にはポートと接続元を制限するパケットフィルターがある)
バックアップ自動バックアップが付くことが多い(エックスサーバーは14日分)プランによる(XServer VPS の通常プランには自動バックアップがない)
独自ドメインのメール管理画面でアドレスを作れるメールサーバーも自分で構築・運用する
料金の例(税込・通常料金の月額)エックスサーバー スタンダード:990〜1,320円XServer VPS 2GB:1,265〜1,980円

料金はエックスサーバーの料金とXServer VPS の料金で2026年10月27日に確認した通常料金で、月額は契約期間分を前払いしたときの1か月あたりの金額です(期間が長いほど安くなります)。金額は近く見えますが、VPS の料金には、OS やソフトウェアを更新する人の作業は含まれていません。

また、共用サーバーだから性能が足りないとは限りません。たとえばエックスサーバーは、sv13001 以降のサーバーでスタンダードプランに仮想6コア・メモリ8GBのリソース保証を設けています(サーバー番号により異なります。サーバー仕様)。

VPS では保守の責任がどこまで契約者に移るか

VPS では、共用サーバーならサーバー会社が行う OS・サーバーソフトの更新、通信の制限、監視、バックアップの多くが契約者の作業になります。

作業共用のレンタルサーバーVPS
OS の更新と脆弱性の修正サーバー会社契約者
Webサーバー・PHP・データベースの更新サーバー会社(版の切り替えの判断は契約者)契約者
通信の制限、管理用の接続(SSH)の保護サーバー会社契約者
WAF・不正アクセスへの備えサーバー会社が仕組みを用意し、契約者が有効にする契約者が導入して設定する
バックアップサーバー会社の自動バックアップに加え、自社でも保存する契約者が仕組みを作る(プランやオプションによる)
WordPress・プラグインの更新契約者契約者
障害の復旧サーバー側はサーバー会社機器と基盤はサーバー会社、OS から上は契約者

IPA(情報処理推進機構)の安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条は、OS やサーバーソフトウェアの更新、不要なサービスやアカウントの削除、ファイアウォールでの通信の絞り込みをWebサーバーの対策として挙げ、ホスティングなどを使う場合は、事業者の作業範囲を把握したうえで足りない対策を自分たちで行うよう求めています。VPS では、この表の右側に並ぶ作業のほとんどが「足りない対策」にあたります。

総務省のクラウドの設定ミス対策ガイドブック(2024年4月)も、サービスの提供者と利用者が責任を分け合う「責任共有モデル」の考え方と、サービスの種類によって分担の範囲が変わることを説明しています。同じガイドブックは、システム開発会社が行った設定でも最終的な責任は利用者が負うとしているため、VPS の構築を制作会社に任せた場合も、設定と保守の範囲は自社で把握しておく必要があります。

XServer VPS の初期セキュリティ対策のガイドは、契約直後の VPS は多くの設定が初期状態のままで、安全にサービスを公開する準備が整っていないとし、OS やソフトウェアの更新、安全なリモート管理(SSH)の環境づくり、パケットフィルターの設定を最初に行うよう案内しています。またサポートの範囲では、サーバーの構築方法や UNIX コマンドの使い方、自分で入れたミドルウェアのチューニングや自分で入れたプログラムの動作は対象外とされています。

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2026年10月の PHP の脆弱性で起きたこと

2026年10月の PHP の重大な脆弱性では、共用サーバーはサーバー会社が修正を当てた一方、VPS の利用者は自分で PHP を更新する必要があり、保守の責任の違いがそのまま表れました。

10月21日、PHP の開発元は、認証なしで外部からプログラムを実行されるおそれのある重大な脆弱性2件(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)を修正した 8.5.12、8.4.27、8.3.36、8.2.35 を公開し、すべての利用者にすぐ更新するよう呼びかけました(php.net のお知らせ)。8.1 以前は開発元からの更新の対象外で、OS の配布元などが修正を提供している場合があるとし、今回は深刻度を考えて 7.4・8.0・8.1 向けの最小限の修正も例外的に用意されました。

エックスサーバー株式会社の告知によると、エックスサーバー・XServerビジネス・XServer for WordPress では、修正版の公開前の21日12時までに緩和策を実施し、日本時間の21日23時ごろの公開後に 8.2〜8.5 を同じ系列の修正版へ更新、5.1〜8.1 には修正パッチを当て、26日6時20分までにすべての対象サーバーで完了しました。利用者が急いで PHP の版を変える必要はないと案内されています。一方で XServer VPS(ビジネスプランを含む)と XServer VPS クラウドは、OS や PHP を利用者が管理するため修正パッチは当てておらず、利用者が自分で PHP の版を確かめて更新するよう求めています。

VPS の利用者が行う必要があった作業は、たとえば次のとおりです。

  1. サーバーで動いている PHP の版と、どの方法で入れたか(OS のパッケージか、自分で組み立てたか)を確かめる
  2. 修正版(8.5.12・8.4.27・8.3.36・8.2.35 など)へ更新する。8.1 以前なら、OS の配布元が修正を出しているかを確かめ、サポート中の版への切り替えを急ぐ
  3. Webサーバーなどを再起動して、更新を反映させる
  4. サイトの表示、管理画面、問い合わせフォームが動くかを確かめる
  5. 同じ VPS で動いているほかのシステムにも同じ作業を行い、記録を残す

修正版は夜に公開され、緩和策も修正もその日のうちに必要になりました。VPS では「公表から何時間以内に、だれが対応するか」を決めていないと、修正が済むまでのあいだ無防備な状態が続きます。PHP の版そのもののサポート期限については、PHP 8.2のサポート終了への対応で解説しています。

共用のレンタルサーバーで足りるサイト

WordPress などで作る一般的なコーポレートサイト、採用サイト、サービスサイトと、問い合わせフォーム、独自ドメインのメールは、多くの場合、共用のレンタルサーバーで運用できます。

次の項目にあてはまるなら、まず共用サーバーを前提に考えます。

  • サイトは WordPress などの CMS か HTML で作り、PHP とデータベースの範囲で動く
  • 問い合わせフォーム、資料のダウンロード、採用の応募フォームなど、機能がサイトの中で完結している
  • 独自ドメインのメールを、サイトと同じ契約で使いたい
  • 社内にサーバーの OS を管理できる人がいない
  • 表示が遅いと感じていても、原因が画像の大きさやプラグインの多さなど、サイト側にある可能性が残っている

会社として稼働率の保証(SLA)や別の場所へのバックアップ、設定の代行が必要なら、VPS ではなく法人向けの共用サーバーで解決できることがあります。会社として確認する基準は法人のレンタルサーバーの選び方にまとめています。

VPS が必要になる場合

VPS が必要になるのは、共用サーバーの決められた環境では動かせないものを動かす理由がはっきりしていて、そのサーバーを管理する人を決められる場合です。

必要になる場面例あわせて確かめること
独自のアプリや業務システムを動かす例:自社向けに開発した受発注や予約の仕組みが、共用サーバーにない言語やミドルウェアを使う開発した会社が、OS とミドルウェアの更新まで保守するか
常に動かすプログラムを置く例:24時間応答するチャットボット、外部サービスとの自動連携、定期的にデータを集める処理止まったときに気づく監視と、再起動の手順
OS やソフトウェアの種類・版を指定される例:導入するソフトウェアの動作条件で、OS やデータベースの版が決まっているその版のサポートがいつまで続くか
Windows の業務アプリをサーバーで動かす例:Windows でしか動かない業務ソフトを、事務所の外から使うWindows の更新とライセンスの費用(後述)
社内向けのツールを自社で運用する例:ファイル共有やプロジェクト管理のソフトウェアを自社のサーバーに置く社外からの接続の制限とバックアップ
開発・検証の環境を作る例:公開前のシステムを本番と同じ構成で試す使い終わったら止めるか、残すなら誰が更新するか

反対に、次のような場合は VPS でなくても解決できることがあります。

  • 性能やほかの契約者の影響が心配なだけ:サーバー会社が管理・保守まで行う専用サーバーという選択肢があります。たとえば XServerビジネスのマネージド専用サーバーは、エックスサーバー株式会社がサーバーの管理・保守を行う形で、仮想タイプは36か月契約で月額19,800円(税込)から、初期費用は通常55,000円です
  • 使いたい業務アプリがインターネット上のサービス(SaaS)として提供されている:サーバーを持たずに使えます
  • サイトの一部だけに特別な機能が要る:サイトとメールは共用サーバーに置いたまま、その機能だけを別のサーバーやサービスに分けられます

自社で保守できない場合の注意

社内にサーバーを管理できる人がいないまま VPS を使う場合は、OS から上の保守をだれが行うかを契約で決め、緊急の脆弱性に何時間で対応するかまで取り決めてから始めます。

  1. 保守を担う会社を決める:構築した会社と保守する会社が違うと、責任の境目があいまいになります
  2. 保守の範囲を書面にする:OS とミドルウェアの更新の頻度、緊急の脆弱性への対応時間、監視、バックアップと復元テスト、障害時の連絡先と受付時間
  3. 契約直後の初期設定を確かめる:OS の更新、SSH の保護、パケットフィルターの設定が済んでいるか
  4. バックアップをサーバーの外にも置く:自動バックアップがないプランもあるため、何をどこに何日分残すかを決めます(決め方はサーバーのバックアップと復元)
  5. 管理情報を会社で持つ:root のパスワードや接続用の鍵、管理パネルのアカウントを、担当者個人や制作会社だけが持つ状態にしない
  6. 費用を比べる:サーバー代に保守の費用を足した金額を、共用サーバーと WordPress の保守を組み合わせた場合と比べる

制作会社が構築したまま保守の契約がなく、数年動き続けている VPS では、OS や PHP が古いまま残っていることがあります。心当たりがあれば、まず OS と PHP の版、最後に更新した日、管理情報を持っている人を確かめてください。

XServer VPS を会社で使う場合のプランの選び方

会社で XServer VPS を使うなら、稼働率の保証(SLA)と自動バックアップ、電話・メールのサポートが追加料金なしで付くビジネスプランが候補になります(2026年10月時点)。

項目通常プランビジネスプラン
最も小さいプランの月額(税込・通常料金)2GB:1,265円(36か月)〜1,980円(1か月)4GB:3,830円(36か月)〜4,580円(1か月)
初期費用0円0円
SLA公式ページに保証の記載はない月間稼働率99.99%以上を保証
自動バックアップなし週1回・1世代まで無料(有料のオプションで最大3世代)
サポート電話・メール(契約・仕様・管理パネルの操作など)電話・メール
お試し無料VPS は2026年10月時点で新規受付を停止中事前の動作検証を希望する法人向けに、問い合わせで一定期間の無償提供あり

通常プランからビジネスプランへは切り替えられず、新しく申し込む必要があります。どちらもプランの変更は上位へのみで、最も短い契約期間は1か月です(XServer VPS ビジネスプラン)。いずれのプランでも、OS から上の管理は契約者の作業であることは変わりません。

Windows の業務アプリには Windows Server の VPS

Windows でしか動かない業務アプリを事務所の外から使う、社内のファイルサーバーを置く、といった用途には、Windows Server の VPS が候補になります。XServer VPS for Windows Server は Windows Server 2025・2022 の Datacenter Edition を管理者権限で使えるサービスで、2GB のプランは月額2,410円(36か月)〜2,740円(1か月、いずれも税込・通常料金)、初期費用は無料です。

注意したいのはライセンスの費用です。サーバーの管理以外の目的でリモートデスクトップ接続する人は、1人あたり月額1,210円のリモートデスクトップ SAL が人数分必要で、Microsoft Office を使う人はさらに1人あたり月額3,740円の Office SAL が必要です。例:5人が業務アプリをリモートデスクトップで使う場合、サーバー代とは別にリモートデスクトップ SAL だけで月額6,050円かかります。Windows の更新やウイルス対策も、VPS なので契約者側の作業です。

よくあるご質問

VPS にすると、ホームページの表示は速くなりますか?

速くなるとは限りません。VPS は CPU やメモリをほかの契約者と分けて使えますが、Webサーバーの設定や調整は自分で行う必要があります。表示が遅い原因は、画像の大きさや Web フォント、プラグインの多さなどサイト側にあることも少なくないため、サーバーを変える前に表示速度を計測して原因を確かめます。

VPS に WordPress を入れれば、レンタルサーバーと同じように使えますか?

WordPress は動きますが、運用の手間は同じになりません。XServer VPS には WordPress を入れた状態で始められるアプリイメージがありますが、その後の OS・PHP・データベースの更新、SSL証明書、バックアップ、メールサーバーの用意は契約者が行います。2026年10月の PHP の脆弱性のように、緊急の更新も自分で行う必要があります。

エックスサーバーでサイトを運用していますが、VPS に移るべきですか?

今のサイトとメールの運用で困っていなければ、移る必要はありません。特定のシステムだけに VPS が必要な場合は、サイトとメールは今の契約のまま、そのシステムだけを VPS に置く方法があります。何が足りないのかを先に書き出し、共用サーバーの機能や設定で解決できるかを確かめてから判断します。

制作会社から VPS を勧められました。何を確かめればよいですか?

共用サーバーでは足りない理由、OS から上の保守をだれがいくらで行うか、緊急の脆弱性への対応時間、管理情報(root のパスワードや鍵、管理パネル)を自社で受け取れるか、契約を終えるときの引き継ぎ方の5点です。回答を書面でもらい、共用サーバーと保守を組み合わせた場合の費用と比べます。

まとめ

共用のレンタルサーバーと VPS の違いは、OS やソフトウェアの管理をサーバー会社が行うか、契約者が行うかです。中小企業のコーポレートサイトとメールの多くは共用サーバーで足り、VPS は、独自のアプリや常に動かすプログラム、Windows の業務アプリなど共用サーバーでは動かせない理由があり、OS から上の保守を担う人か会社を決められるときに選びます。2026年10月の PHP の脆弱性では、共用サーバーはサーバー会社が修正を当てた一方、VPS の利用者は自分で更新する必要がありました。VPS を使うなら、保守の範囲と緊急時の対応時間を契約で決め、バックアップをサーバーの外にも置きます。

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フェニックスデザイン株式会社WEB制作会社が運営するナレッジベース編集部

コーポレートサイト・採用サイト・サービスサイトの制作と、公開後の運用保守・集客改善の現場で得た知見をもとに、発注する側の視点で記事を制作・更新しています。運営会社の所在地・事業内容は会社案内、制作の考え方はブランディング×マーケティング論をご覧ください。

この記事は 2026年10月27日 に公開し、2026年10月27日 に内容を確認・更新しました。