ホームページを https にするとき、サーバーの管理画面には無料の証明書と、年に数万円かかる「企業認証」「EV」の証明書が並んでいます。会社のサイトなら有料のほうが信用されるのではないか、取引先から「企業認証のSSLを使っていますか」と聞かれた、といった疑問を持つ方もいるでしょう。
Contents
SSL証明書の3つの種類:DV・OV・EV の違い ブラウザでの見え方:鍵のマークは「安全なサイト」の印ではない 無料の DV 証明書で足りる会社サイト OV・EV を選ぶ価値がある場合 2026年3月からの有効期間の短縮と影響 エックスサーバーで証明書を選ぶときの確認点 証明書の切れ・設定の漏れを防ぐチェックリスト よくあるご質問 無料のSSL証明書を会社のサイトに使っても問題はありませんか? 有料の証明書にすると、Google の検索順位で有利になりますか? 有効期間が短くなると、証明書の費用は上がりますか? エックスサーバーで、ほかで購入したSSL証明書を使えますか? まとめ
結論から言うと、SSL証明書の DV・OV・EV は「発行の前にだれを確認したか」が違うだけで暗号化の強さは同じなので、問い合わせフォームのある一般的な会社のサイトは、無料のドメイン認証(DV)証明書で足りる場合が多いです。 OV・EV は、取引先や調達の条件で求められる、決済や会員情報を扱う、証明書で運営組織を確かめてもらう必要がある、といった理由がはっきりしているときに選びます。
この記事では、3種類の違い、ブラウザでの見え方、無料で足りる場合と有料を選ぶ場合の判断基準、2026年3月から始まった証明書の有効期間の短縮の影響、エックスサーバーでの選び方を、2026年10月時点の公式情報にもとづいて解説します。サイト全体を https にする手順はhttpをhttpsにする方法 で扱っています。
SSL証明書の3つの種類:DV・OV・EV の違い
3種類の違いは、認証局が発行の前に「ドメインを使う権利」だけを確かめるか、「申し込んだ組織が実在するか」まで確かめるか、さらに厳しい基準で確かめるかにあります。
SSL は暗号化の仕組みの古い名前で、現在使われているのは TLS ですが、証明書は今も「SSL証明書」と呼ばれるのが一般的です。
項目 DV(ドメイン認証) OV(企業認証・組織認証) EV
確認すること 申請者がドメイン名を使う権利を持っていること DV の内容に加え、組織の法的な実在と、申請者の在籍・申請の意思 業界の EV 用の基準にもとづく、OV より厳しい確認
確認の方法の例 メール・DNS・ファイルによる確認(自動のものが多い) 公的書類やデータベースでの実在確認、第三者のデータベースに載った電話番号への電話確認 OV の確認に加え、定款などの書類
発行までの目安(エックスサーバーの例) 無料の証明書は即時〜1日 最短1営業日(通常1〜4営業日) 最短10営業日(通常2〜4週間)
年間の費用(エックスサーバーの例・税込) 無料。有料は880円〜 33,000円〜 83,600円〜
暗号化の強さ 同じ 同じ 同じ
.jp のレジストリで認証局でもある JPRS の認証方法の説明 では、DV はドメイン名の利用権を確認して発行し、OV はそれに加えて、国や自治体の公的書類・データベースで組織の法的な実在を、第三者のデータベースに登録された電話番号への電話で申請者の在籍と申請の意思を確かめるとしています。EV は、業界団体 CA/Browser Forum の統一基準にもとづく厳格な認証を経て発行される証明書です(JPRS のコラム )。エックスサーバーの別サービスであるXServer SSL の説明 でも、認証レベルが違っても暗号化の強度は同じで、レベルが高いほど審査が厳しくなると書かれています。
ブラウザでの見え方:鍵のマークは「安全なサイト」の印ではない
現在の Chrome では、DV・OV・EV のどれを使っても、アドレスバーの見た目はほとんど変わりません。
Chrome は2019年の Chrome 77 で、EV 証明書の組織名をアドレスバーから外し、アイコンを押して開く画面へ移しました。表示の違いが利用者の安全な行動につながっていなかったことを理由に挙げています(Chromium の告知 )。さらに2023年の Chrome 117 からは、アドレスバーの鍵のアイコンを、設定を示すアイコンに置き換えました。Chrome の調査で鍵の意味を正しく理解していた人は11%にとどまり、フィッシングサイトのほとんども HTTPS を使って鍵を表示していたためです(Chromium Blog )。一方、http のままのページには、引き続き安全でない接続であることが表示されます。
https が示すのは「通信が暗号化されていること」で、「運営者が信頼できること」ではありません。OV・EV の組織名は、証明書の詳細を開くと確かめられます。証明書の種類の違いは、訪問者の目に入りやすい場所ではなく、詳細の画面に表れると考えてください。
Service
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無料の DV 証明書で足りる会社サイト
会社案内・採用・サービス紹介が中心で、フォームで受け取るのが問い合わせや応募の情報であるサイトは、無料の DV 証明書で足りる場合が多いです。
次の条件に当てはまるなら、無料の証明書を自動更新で使い続けるのが現実的です。
サイト上で決済やカード情報の入力を受け付けていない(決済は外部の決済サービスの画面で行う場合を含む)
取引先・官公庁・親会社のセキュリティの基準で、証明書の種類が指定されていない
証明書が自動で更新される環境で、期限切れの心配が少ない
運営者の情報は、会社概要・所在地・適格請求書発行事業者の登録番号などの掲載で示せる
無料の DV 証明書でも、通信の暗号化は有料の証明書と同じで、フォームの入力内容を通信の途中で読まれにくくする役割を果たします。会社のサイトの安全性を大きく左右するのは、証明書の種類よりも、CMS の更新、パスワードの管理、バックアップです。全体の対策はWebサイトのセキュリティ対策 で解説しています。
OV・EV を選ぶ価値がある場合
OV・EV は、証明書に組織の確認結果が入っていること自体が求められる場面で選びます。
場面 選ぶ候補 理由
取引先・官公庁・親会社の基準やセキュリティチェックシートで、企業認証以上の証明書を求められている OV(EV の指定があれば EV) 条件を満たさないと、取引や受注の審査に影響するため
ネットショップ・予約・会員サイトで、決済や会員の情報を扱う OV・EV を検討 運営組織を証明書でも確かめられるようにするため
自社をかたる偽サイトが確認された、金融・医療など信頼が特に重視される業種 OV・EV を検討 証明書の詳細で正規の組織かを確かめてもらえる。ただし偽サイト対策は、メールの送信ドメイン認証や利用者への周知と組み合わせる
サイトシールを掲載したい 有料の DV 以上 エックスサーバーの無料の証明書にはサイトシールがない
自社をかたるメールへの対策は会社のメールが迷惑メールになる原因とSPF・DKIM・DMARC で扱っています。
OV・EV を選ぶ場合は、発行と更新の手続きにかかる手間も費用に含めて考えます。エックスサーバーの企業認証SSL・EV SSL では、申請のときにDUNSナンバー (企業を識別する9桁のコード)が必要で、DUNS に登録された会社名・所在地・電話番号が申請の内容と一致しないと発行されません。EV の申請 では、さらにローマ字の商号が書かれた定款(代表取締役名義の原本証明付き)か弁護士意見書が必要です。
2026年3月からの有効期間の短縮と影響
証明書の最長の有効期間は、2026年3月15日以降に発行されるものから200日に短くなり、2029年3月15日以降は47日になるため、手作業での更新は続けにくくなります。
これは、ブラウザの開発元と認証局でつくる CA/Browser Forum が2025年4月に可決したBallot SC-081v3 によるもので、業界の基準(Baseline Requirements )に日付と日数が定められています。
証明書の発行日 最長の有効期間 ドメインの確認結果を使い回せる期間
2026年3月14日まで 398日 398日
2026年3月15日から 200日 200日
2027年3月15日から 100日 100日
2029年3月15日から 47日 10日
OV・EV で使う組織の確認結果を使い回せる期間も、2026年3月15日から398日になりました。証明書の種類ごとの影響は次のとおりです。
無料の DV 証明書:エックスサーバーの無料独自SSL は、有効期間90日の証明書を有効期限の30日前に自動更新 しており、後述の2026年2月5日のお知らせでも、無料独自SSLは引き続き自動で更新されるとしています。発行元の Let’s Encrypt は、2027年2月10日から標準の有効期間を64日 に、2028年2月16日からは45日にする予定です
有料の DV 証明書:エックスサーバーの2026年2月5日のお知らせ では、契約期間中に有効期限が来る場合、原則として自動で再発行し、追加の費用はかからないとしています(自動の再発行に失敗した場合は案内があります)
OV・EV:同じお知らせで、自動では延長されず利用者自身の再発行の手続きが必要で、有効期限の35日前を目安に案内メールを送るとしています。有効期間が200日以下になったため、1年の契約でも期間中に少なくとも1回の手続きが必要になり、2027年3月15日からは回数がさらに増えます
証明書を手作業で入れ替えている場合:自動で更新できる仕組みへの切り替えを検討します
期限が切れると、ブラウザに警告が出て訪問者がページを開きにくくなり、フォームも使えなくなります。OV・EV を選ぶなら、再発行の案内を受け取る担当とアドレスを決めておくことが欠かせません。
エックスサーバーで証明書を選ぶときの確認点
エックスサーバーでは、無料独自SSL(DV)を基本にし、必要な場合だけオプション独自SSL(有料)の DV・OV・EV を追加する選び方ができます。
サービス名 認証 年間料金(税込) 主な特徴
無料独自SSL DV 無料 Let’s Encrypt。有効期間90日を自動更新。www あり・なしの両方で使える。サイトシール・セキュリティ診断はなし
クラウドSSL DV 1年契約 1,100円、5年契約 880円 サイトシールあり
クラウドセキュア スピード認証SSL DV 1年契約 19,800円、5年契約 15,400円 セキュリティ診断・サイトシール付き
クラウドセキュア 企業認証SSL OV 1年契約 41,800円、5年契約 33,000円 セキュリティ診断・サイトシール付き。DUNSナンバーが必要
クラウドセキュア EV SSL EV 1年契約 105,600円、5年契約 83,600円 発行は通常2〜4週間
料金は独自SSLの一覧 と各サービスのページ(クラウドSSL ・企業認証SSL ・EV SSL )に載っている2026年10月時点のものです。このほかの認証局ブランドの証明書も一覧から選べます。選ぶ前に、次の点を確かめます。
証明書を使えるのは、エックスサーバーで運用している独自ドメイン・サブドメインだけで、ほかで取得した証明書は持ち込めない。グループで認証局と一括契約した証明書を使う決まりがある会社には向かない
初期ドメイン(xsrv.jp)や、64文字以上のコモンネームには申し込めない(利用条件 )
多数のサブドメインを1枚でまかなうワイルドカード証明書は、オプション独自SSLの一覧に載っていない。必要な場合は申し込む前にサポートへ確認する
料金表の「1年」は契約の単位で、実際の証明書は200日以下のため、契約期間中に再発行される
PR CloudSecure(クラウドセキュア)のSSL証明書
企業認証(OV)・EVを含む有料のSSL証明書。マルウェアやフィッシングURLの自動診断が付きます。
公式サイトで詳しく見る
料金・キャンペーンは公式サイトでご確認ください。
証明書の切れ・設定の漏れを防ぐチェックリスト
証明書は、種類を選ぶことよりも、すべての URL で有効になっていて、期限の前に更新されていることのほうが大切です。
www あり・なしの両方と、使っているサブドメイン(採用サイト・ブログなど)が https で開けるか
http の URL から https へ転送されるか
ページ内の画像やスクリプトが http のまま読み込まれていないか
自動更新が有効か。有料の証明書は、契約の期限と証明書の期限の両方を把握しているか
再発行や更新の案内を受け取るアドレスが、退職者や以前の制作会社のものになっていないか
サーバーを移すときに、移転先で証明書を先に用意したか(手順はWordPressのサーバー移転手順 )
証明書の種類・期限・担当者を管理台帳に載せているか
よくあるご質問
無料のSSL証明書を会社のサイトに使っても問題はありませんか?
多くの場合、問題ありません。無料の DV 証明書でも暗号化の強さは有料の証明書と同じです。取引先や親会社の基準で証明書の種類が指定されていないか、決済などの扱いがないかを確かめ、当てはまらなければ無料の証明書を自動更新で使います。
有料の証明書にすると、Google の検索順位で有利になりますか?
Google は2014年にHTTPS をランキングの要素として使う と発表し、当時はごく軽い要素だと説明しましたが、DV・OV・EV で扱いを変えるとは書いていません。検索順位を理由に有料の証明書を選ぶ必要はないと考えられます。
有効期間が短くなると、証明書の費用は上がりますか?
エックスサーバーのオプション独自SSLでは、契約期間中の再発行に追加の費用はかからないと案内されています。費用よりも、OV・EV で再発行の手続きの回数が増える手間のほうが大きな変化です。
エックスサーバーで、ほかで購入したSSL証明書を使えますか?
使えません。エックスサーバーは、ほかで取得した証明書の持ち込みに対応していません。特定の認証局の証明書を使う必要がある場合は、サーバーを選ぶ段階で確かめてください。
まとめ
SSL証明書の DV・OV・EV は、発行の前に確認する範囲が違うだけで、暗号化の強さは同じです。問い合わせや応募を受け付ける一般的な会社のサイトは、無料の DV 証明書を自動更新で使えば足りる場合が多く、OV・EV は取引先の基準、決済や会員情報の扱い、偽サイトへの対策など理由がはっきりしているときに選びます。2026年3月から証明書の有効期間が段階的に短くなっているため、自動更新の設定と、OV・EV の再発行の担当を決めておくことが大切です。
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