取引先の多くが法人で、ホームページから見積もり依頼や相談を増やしたい。そう考えてサイトを作り直したのに、問い合わせは月に数件のまま、という声は少なくありません。原因の多くはデザインではなく、法人の買い方に合った情報がそろっていないことにあります。
BtoBサイトは、複数の検討者が他社と比較し、社内で説明して決めることを前提に、製品・サービスの説明、導入事例、料金または見積もりの目安、資料ダウンロード、会社情報、よくある質問をそろえ、問い合わせ以外の入口も用意して作ります。
この記事では、BtoCとの違い、必要なページと載せる情報、従業員10〜300名の会社向けのチェックリスト、問い合わせ以外の受け皿、制作の進め方、既存サイトを直す順番を、発注する側の立場で解説します。1ページごとの書き方はBtoBの製品・サービスページの書き方、広告用のページはBtoBのLPの構成で詳しく扱います。
BtoBサイトとBtoCサイトの違い
BtoBサイトがBtoCサイトと大きく違うのは、決める人が複数いて、検討に時間がかかり、必ず他社と比べられることです。
| 項目 | BtoC(消費者向け) | BtoB(法人向け) | サイトで必要になること |
| 決める人 | 購入する本人(家族と相談する程度) | 利用部門の担当者、上長、決裁者。情報システム・購買・法務が確認することもある | 担当者が上長に説明できる材料(料金の目安・事例・導入の流れ) |
| 検討期間 | 短いことが多い | 数週間から数か月かかることがあり、予算の時期にも左右される | 何度来ても必要な情報が見つかる構成と、持ち帰って読める資料 |
| 比較 | 口コミや価格比較サイトで比べる | 複数社の資料を並べ、社内で比較表を作る | 比べられる項目(対応範囲・期間・費用・サポート)を先に書く |
| 価格 | 表示価格で買う | 見積もりで決まることが多い | 最低価格、規模別の目安、費用が決まる要因 |
| 成果 | 購入・予約 | 資料請求・問い合わせ → 商談 → 受注 | 件数だけでなく、商談になったかまで記録する |
| 主な入口 | SNS、広告、ECモール | 課題やサービス名での検索、紹介、展示会、営業メールや名刺に載せたURL | 初めて来る人と、営業の後に確かめに来る人の両方に答える |
営業担当に会う前に、Webで候補を絞る買い方も広がっています。米Gartnerが2025年8〜9月にB2Bの購買担当者646人に行った調査では、67%が営業担当者を介さない購買体験を好むと答え、45%が直近の購入でAIを使ったと回答しています(Gartner、2026年3月9日発表)。比較の時点でサイトに判断材料がなければ、問い合わせの前に候補から外れてしまいます。
もう一つの特徴は、営業の後に確かめに来る人が多いことです。展示会で名刺を交換した人や、紹介を受けた人は、社名で検索してトップページと会社概要を見に来ます。会社の基本情報と実績がすぐ見つかるかどうかは、営業の成果にも影響します。
BtoBサイトに必要なページと載せる情報
BtoBサイトの軸になるのは、製品・サービス、導入事例、料金または見積もりの目安、資料ダウンロード、会社情報、よくある質問の6つで、これを選ばれる理由・導入の流れ・問い合わせのページで検討の順番につなぎます。
| ページ | 主に確認する人 | 載せる情報 | 出せない・書けないときの代わり |
| 製品・サービス | 利用部門の担当者 | 対象の顧客と課題、解決の方法、特徴、仕様・対応範囲、導入の流れ | 仕様を公開できない場合は、対応できる範囲と条件(例:対応ロット、対応エリア) |
| 導入事例 | 担当者・上長 | 業種、規模、導入前の課題、選んだ理由、取り組み、結果 | 社名を出せない場合は、業種・規模・課題・変化で書く |
| 料金・見積もりの目安 | 上長・決裁者・購買 | 最低価格、規模別の目安、含まれるもの・含まれないもの、継続してかかる費用 | 費用が決まる要因と、事例ごとの価格帯 |
| 資料ダウンロード | 検討初期の担当者 | サービス資料、事例集、料金表、チェックリストのPDF | 既存の営業資料や会社案内を、ダウンロード用に整える |
| 会社情報 | 購買・法務・決裁者 | 会社概要、所在地、設立、資本金、許認可・認証、拠点、取引実績(許諾を得たもの) | 取引先名を出せない場合は、業種別の取引実績 |
| よくある質問 | 全員 | 費用、期間、契約、対応エリア、サポート、セキュリティなど、商談で必ず出る質問 | 営業担当に、初回の商談でよく受ける質問を挙げてもらう |
| 選ばれる理由 | 担当者・上長 | 他社との違いと、その根拠(数字・設備・体制・事例) | 顧客に「なぜ選んだか」を聞いた言葉を使う |
| 導入の流れ | 担当者 | 問い合わせから利用開始までの手順、期間、顧客に用意してもらうもの | 標準的な流れと、期間が延びる条件 |
| 問い合わせ | 全員 | 用件別のフォーム、返信までの目安、送信後の流れ | — |
当社のコーポレートサイト制作のスタンダードプラン(10ページ前後、120万円〜・税別)も、トップ、会社案内、選ばれる理由、お知らせ、サービス一覧、サービス詳細(3〜4ページ)、導入事例・実績、よくあるご質問、お問い合わせ、資料ダウンロード、採用情報、プライバシーポリシーを標準の構成にしています。ページごとの役割と業種別に追加するページは、関連記事の「コーポレートサイトに必要なページ構成一覧」で、料金を載せるかどうかの判断は「サービスサイトの料金ページの作り方」で解説しています。
製品・サービスのページは1つずつ分ける
複数のサービスを1ページにまとめると、どれが誰向けのサービスかが伝わらず、サービス名や課題の言葉で検索している人にも届きにくくなります。主力のサービスごとに1ページを用意し、各ページの最後に資料請求や相談の入口を置きます。サービスの顧客が会社全体の顧客と違う、サービス名で検索されている、広告を出す、という場合は、独立したサービスサイトに分けることも検討します。
事例は「自社に近い会社か」を判断できる項目で書く
BtoBの検討者が事例で探しているのは、業種・規模・課題が自社に近い会社です。事例は同じ項目(業種、従業員規模、導入前の課題、選んだ理由、取り組み、結果)で書きそろえ、業種やサービスで絞り込めるようにします。当社の制作例では、納入先の業界が幅広い紙器・包装資材メーカーのサイトで「製品から探す」「業界から探す」の2つの入口を設け、提案事例を「課題 → 提案 → 納品物」の順に書く型にしました。営業担当が写真と3項目を入力すれば1本公開できる形にして、公開後も事例が増えるようにしています。
Service
コーポレートサイト制作のご相談はフェニックスデザインへナレッジベースを運営するフェニックスデザインが、今のサイトの数字を見るところから対応します。URLを入れるだけの無料簡易診断から。
従業員10〜300名の会社向けチェックリスト
従業員10〜300名のBtoB企業では、規模によって「絞るべきこと」と「分けるべきこと」が変わるため、自社の規模に近い列で次の項目を確認します。
| 確認項目 | 10〜50名程度の会社 | 50〜300名程度の会社 |
| トップの最初の1文 | 主力の1〜2事業で「誰の・どんな課題を・どう解決するか」を書く | 会社全体を1文で表し、すぐ下に事業ごとの入口を並べる |
| 製品・サービスのページ | 主力サービスを1ページずつ。小さな事業は一覧にまとめる | 事業ごとに一覧と詳細ページ。必要ならサービスサイトを分ける |
| 導入事例 | まず3件を目安に。社名を出せなければ業種・規模・課題で書く | 事業別・業種別に絞り込める一覧にする |
| 料金の目安 | 最低価格と、その金額に含まれる範囲 | サービスごとの料金ページと、稟議に使える料金表のPDF |
| 資料ダウンロード | 会社案内か主力サービスの資料を1点 | サービス資料・事例集・料金表を目的別に |
| 会社情報 | 会社概要・許認可・アクセスを、登記や名刺と同じ表記で | 拠点一覧、品質・セキュリティの体制、認証、グループ会社 |
| 問い合わせの受け方 | 用件を3〜4つから選ぶフォーム。返信する人を決める | 用件ごとに担当部署へ振り分け、返信の期限を決める |
| 更新の担当 | お知らせと事例を更新する人を1人決める | 部署ごとの担当者と、公開前の承認の流れを決める |
| 計測 | 問い合わせ・資料請求をGA4のキーイベントにする | 経路別・事業別に件数を見て、商談になったかを営業と共有する |
| 採用 | コーポレートサイト内の採用ページ | 職種が多い、新卒と中途を採る場合は採用サイトを分ける |
表の項目で迷ったら、「営業担当が初回の商談で毎回説明していることが、サイトに書かれているか」を確かめてください。毎回口頭で説明している内容は、検討者が問い合わせの前に知りたい内容でもあります。
問い合わせ以外の受け皿を用意する
検討の途中にいる人の多くは「お問い合わせ」のボタンを押さないため、資料ダウンロード・無料相談・見積もり依頼など、検討の段階に合わせた入口を2〜3種類用意します。
| 入口 | 向いている検討段階 | 入力してもらう項目の例 | 受け取った後の対応 |
| 資料ダウンロード(サービス資料・事例集・料金表) | 情報収集、比較の初期 | 会社名、氏名、メールアドレス | 資料の内容に沿った案内を送る。すぐに電話をかけない |
| 無料相談・オンライン面談 | 自社に合うか確かめたい | 上記+相談内容、希望日時 | 日程の調整と、事前に聞きたいことの確認 |
| 見積もり依頼 | 具体的な検討 | 上記+見積もりに必要な条件(数量、規模、希望時期) | 約束した期限内に見積もりを出す |
| サンプル・デモ・無料診断 | 候補を絞る段階 | 対象(製品の種類、サイトのURLなど) | 結果を送り、次の相談の入口を案内する |
| セミナー・ウェビナー | 課題を感じ始めた段階 | 会社名、氏名、メールアドレス | 開催後に資料を送り、個別相談を案内する |
| 電話 | 急ぎの相談、電話での相談が多い業界 | — | 受付時間と窓口をページに明記する |
入口を増やしすぎると、どれを押せばよいか迷わせます。ページの目的に合う入口を1つ主役にし、もう1つを控えめに添える程度にします。また、入口ごとに「誰が、何日以内に、どう対応するか」を制作の前に決めておかないと、資料をダウンロードした人に何日も連絡しない、反対にすぐ営業電話をかけて警戒される、ということが起きます。
当社のサイトでは、「お問い合わせ」「無料簡易診断」「資料ダウンロード」の3つを入口にし、GA4ではそれぞれの完了をキーイベントとして数えています。無料簡易診断は、サイトのURL・会社名・メールアドレスとプライバシーポリシーへの同意だけを必須にし、電話番号は聞かず、結果はメールで送る形にしました。資料ダウンロードでは、料金表、リニューアルのチェックリスト、採用サイトのワークシートの3点を用意しています。
BtoBサイト制作の進め方
BtoBサイトの制作は、ヒアリングで「誰が何を確認して決めるか」を整理し、設計・デザイン・実装・計測設定の順に、工程ごとに合意しながら進めます。
| 工程 | 期間の目安 | 主な内容 | 発注者が用意するもの(BtoBで特に大事なもの) |
| 1. ヒアリング・現状診断 | 1〜2週 | 事業・顧客・競合、現サイトの数値の確認 | GA4・Search Consoleの閲覧権限、営業資料、よく受ける質問、失注した理由 |
| 2. ブランディング設計 | 2〜3週 | コンセプト、トーン&マナー、キャッチコピー、求める顧客像 | 顧客に選ばれている理由、設計書の確認 |
| 3. 情報設計・ワイヤーフレーム | 2週 | サイトマップ、ページ構成、CTA・フォーム項目、計測の定義 | 事例・料金をどこまで載せるかの社内合意、掲載許諾の確認 |
| 4. デザイン | 2〜4週 | トップ → 下層の2段階で確認。原稿・写真もそろえる | 写真・ロゴ、原稿の事実確認 |
| 5. 実装・SEO・計測設定 | 2〜4週 | WordPress実装、構造化データ、GA4・Search Console、表示速度 | テスト環境での確認、問い合わせの通知先と返信担当の決定 |
| 6. 公開・運用改善 | 継続 | 公開30日後のレビュー、月次の改善 | 問い合わせの内容と、商談になったかの記録 |
期間は当社のコーポレートサイト制作(スタンダードプラン)の目安で、並行して進む工程があるため、ヒアリングから公開まで2.5〜4か月が標準です。原稿はヒアリングをもとに当社が下書きを作り、貴社に事実確認をお願いする進め方を標準にしています。
BtoBサイトの制作で時間がかかりやすいのは、デザインよりも「事例」と「料金」の社内調整です。事例は顧客の掲載許諾が必要で、料金をどこまで載せるかは営業と経営の合意が要ります。どちらも情報設計の工程で必要になるため、制作の依頼と同時に社内で動き始めると、公開の時期が遅れにくくなります。
既存のBtoBサイトを改善する順番
作り直しを決める前に、問い合わせの数を「訪問数 × 問い合わせ率」に分けて、どちらが足りないのかを数字で確かめてから直します。
- 計測を確かめる:問い合わせと資料請求がGA4のキーイベントとして数えられているか、フォームの通知メールが社内に届いているかを確認します。
- 検索で見つかっているかを見る:Search Consoleで、サービス名や課題の言葉での表示回数とクリック数を確認します。社名以外でほとんど表示されていなければ、訪問数の問題です。
- 来た人が読んでいるかを見る:サービス・事例・料金のページが見られているか、そこから問い合わせのページに進んでいるかを確認します。
- 入口とフォームを直す:ボタンの位置と文言、フォームの項目数、送信後の案内を見直します。
- 足りないページを足す:検討者が確認したいのに載っていない情報(事例、料金の目安、よくある質問)を追加します。
上から順に確かめると、作り直さなくても直せる部分が見つかることがあります。症状ごとの原因と直し方はホームページから問い合わせが来ない原因と改善策で詳しく解説しています。
よくあるご質問
BtoBサイトは何ページくらい必要ですか?
BtoB企業の標準的な構成は10ページ前後で、主力サービスの詳細、事例、よくある質問、資料ダウンロードを含みます。設立間もない会社や事業が1つの会社なら、トップ・サービス・会社概要・お問い合わせを中心にした5ページ前後から始め、事例が増えた段階でページを足す方法もあります。当社の料金は、5ページ前後のライトが60万円〜、10ページ前後のスタンダードが120万円〜(いずれも税別)です。
コーポレートサイトとは別に、製品・サービスのサイトを作るべきですか?
サービスの顧客が会社全体の顧客と違う、サービス名で検索されている、広告を出している、のいずれかに当てはまるなら、分けるメリットがあります。迷う場合は、まず同じドメインの中にサービスごとの専用ページを作り、検索や問い合わせの数字を見てから独立させる進め方が、費用と手間を抑えられます。
料金を公開すると、価格だけで比べられませんか?
金額だけを書くと価格で比べられやすくなりますが、「その金額でできる範囲」「含まれないもの」「金額が変わる要因」を一緒に書けば、比べられるのは価格だけではなくなります。固定の価格を出せない商材でも、最低価格や事例ごとの価格帯は載せられます。
社名を出せる事例がほとんどありません。どうすればよいですか?
業種、規模、導入前の課題、取り組み、結果の項目で書けば、社名がなくても検討者は自社に近い事例かどうかを判断できます。当社の制作実績も、掲載許諾の方針により社名・URL・画面は出さず、業種とサイトの構成、設計の考え方を1件ずつ公開しています。
制作期間はどのくらいかかりますか?
当社の目安は、コーポレートサイトで2.5〜4か月、1つのサービスの専用サイトで1.5〜3か月、LP単体で1〜1.5か月です。展示会や新サービスの発表など公開日が決まっている場合は、その日から逆算して工程を組みます。
まとめ
BtoBサイトは、複数の検討者が比較し、社内で説明して決める買い方に合わせて作ります。要点は次のとおりです。
- BtoCとの違いは、決める人が複数いること、検討期間が長いこと、必ず比べられること
- 製品・サービス、導入事例、料金または見積もりの目安、資料ダウンロード、会社情報、よくある質問の6つを軸にする
- 従業員の規模によって、絞るべきことと分けるべきことが変わる
- 問い合わせ以外の入口(資料ダウンロード・相談・見積もり)を用意し、受け取った後の対応を先に決める
- 既存のサイトは、訪問数と問い合わせ率のどちらが足りないかを数字で確かめてから直す
当社へのご相談は、従業員10〜300名規模のBtoB企業・団体が中心です。会社全体のサイトはコーポレートサイト制作、製品・サービスごとのサイトや広告用のページはサービスサイト・LP制作のページで、構成例と料金、進め方をご確認いただけます。
関連記事:コーポレートサイトに必要なページ構成一覧/サービスサイトの料金ページの作り方/コーポレートサイトとサービスサイトの違い