コーポレートサイト制作

コーポレートサイトのリニューアル事例:自社サイトを作り直した記録と判断の理由

公開 読了 約14分

コーポレートサイトのリニューアルを検討するとき、ほかの会社の事例を参考にしたいと考える方は多いはずです。ただ、公開されている事例の多くは完成したデザインの紹介が中心で、何を残して何をやめたのか、どの順番で何を判断したのかまでは書かれていません。

当社が2026年10月に行った自社サイトのリニューアルは、デザインを作る前に現状を監査し、事業とサービスを絞り、料金と進め方を公開し、記事を整理し、計測と AI 検索の土台を整える、という順番で進めたもので、発注する側が参考にしやすいのは、作り直す前に「やめるもの・残すもの・公開するもの」を決めた点です。

この記事では、リニューアルの概要、監査から AI 検索の対応までの7つの段階で行ったことと判断の理由、発注者の立場で参考になる点、やってよかったことと注意点を、実際に行った事実に絞って紹介します。リニューアルの一般的な進め方は「コーポレートサイトのリニューアルの進め方:8つの手順と失敗しないポイント」で解説しています。

当社サイトのリニューアルの概要

今回のリニューアルは、2026年10月1日に現状を監査して改善計画を作り、経営者の承認を得たうえで、同じ月のうちにテスト環境で確認しながら順次本番に反映したものです。

項目行ったこと
期間と進め方2026年10月1日に監査と改善計画の作成。承認後、同月中に順次公開(テスト環境で確認してから本番へ反映)
事業とサービス事業を WEB 制作に特化し、動画制作・パンフレット制作のサービスを終了。サービスを6つに整理
デザイン全ページのデザインとテキストを刷新し、WordPress のテーマを新しく作成。ロゴとブランドカラー(赤・黒)は維持
サイト構成別の WordPress で運用していた記事メディアを本体に統合。料金・制作の流れ・当社の特徴・考え方のページを新設
制作実績社名・URL・画面を出さず、業種・サイトの種類・構成・設計の考え方を1件ずつ公開(35件)
記事185本を棚卸しし、統合・書き直し・新規公開を行い、公開中の記事は142本に
計測タグマネージャーと GA4 を1つに統一し、キーイベントを3つ設定
検索・AI 検索会社情報の表記と構造化データをそろえ、robots.txt と llms.txt を整備

アクセス数などの成果は、公開から日が浅いためこの記事では扱いません。紹介するのは、行ったことと、その判断の理由です。

監査から AI 検索の対応までの7つの段階

行ったことを順番に並べると、監査・方針・構成・デザイン・記事の整理・計測・検索と AI 検索の7つの段階になります。

  1. 監査:サイト構成・記事・表示速度・計測・検索での見え方を確認し、改善計画を作る
  2. 方針:事業を WEB 制作に絞り、サービスを6つに整理する
  3. 構成:料金・制作の流れ・特徴・考え方のページを新設し、記事メディアを本体に統合する
  4. デザイン:全ページを刷新し、表示速度を落としていた要素を外す
  5. 記事の整理:185本を棚卸しし、統合・書き直し・新規公開を行う
  6. 計測:タグと GA4 を統一し、キーイベントと除外のルールを決める
  7. 検索・AI 検索:会社情報を公的な登録とそろえ、AI クローラーとサイトマップの設定を見直す

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段階ごとに行ったことと判断の理由

各段階では、何を作るかと同時に、何をやめて何を残すかを決めています。

1. 監査:5つの観点で現状を一覧にした

最初に、サイト構成・記事・表示速度・計測・検索での見え方の5つを確認し、改善計画にまとめました。デザインの案を作る前に、この計画を経営者が承認してから作業に入っています。

観点確認して直すと決めたこと対応した段階
サイト構成記事メディアが別の WordPress にある。終了するサービスのページが残る2. 方針、3. 構成
記事記事の約7割が Google に登録されていない。内容の重なり、古い情報、ランダムに変わる関連記事5. 記事の整理
表示速度日本語の Web フォントの読み込みが、スマートフォンの表示速度を大きく悪化させている4. デザイン
計測タグマネージャーと GA4 が、本体と記事メディアで分かれている6. 計測
検索での見え方会社概要の所在地の表記を公的な登録とそろえる。AI クローラーとサイトマップの設定を見直す7. 検索・AI 検索

発注する側の立場では、制作会社に相談する前か、制作の最初の工程で、同じ観点の現状を一覧にしておくと、各社の提案や見積もりを同じ基準で比べられます。

2. 方針:事業を WEB 制作に絞り、終了したサービスのページは転送した

動画制作・パンフレット制作のサービスを終了して事業を WEB 制作に特化し、サービスをコーポレートサイト制作/採用サイト制作/サービスサイト・LP 制作/運用保守・集客改善/コンテンツ制作/SEO・AI 検索対策の6つに整理しました(WEB サイト制作に伴う写真・動画・資料の制作は、提携先と連携して対応しています)。

終了したサービスの旧ページは削除して終わりにせず、関連するページへ301転送しました。終了した事業のページが残っていると、それを見た人や AI 検索に古い事業内容が伝わり続けるおそれがあります。リニューアルは、事業の説明そのものを見直す機会でもあります。やめた事業、名前を変えたサービス、移転した拠点のページは、転送先を決めてから新しいサイトに切り替えます。

3. 構成:料金・進め方・考え方のページを新設し、記事メディアを本体に統合した

料金ページで料金を公開し、制作の流れ、当社の特徴、ブランディングとマーケティングについての考え方のページを新設しました。当社は、料金・期間・進め方を先に公開し、見積もりの内訳まで説明する方針をとっています。発注者が比較や社内の稟議に使う情報を、問い合わせの前に確認できるようにするためです。

  • 記事メディア:それまで別の WordPress で運用していたナレッジベースを、本体の WordPress に移して1つにしました。URL は /column/ のままにしたため、移行による記事の URL の変更はありません
  • 制作実績:掲載許諾の方針により社名・URL・画面は出さず、業種とサイトの種類、構成、設計の考え方を1件ずつ公開しました(35件)
  • 資料ダウンロード:料金表・リニューアルのチェックリスト・採用サイトのワークシートの3点を、フォームに入力したあとでダウンロードできる形にしました
  • 無料簡易診断:URL を入れると自動で診断し、数分で結果をメールで送る仕組みを10月下旬に自動化しました。電話での営業はしません

社名を出せない実績でも、業種・サイトの種類・構成の考え方を書けば、発注者は自社に近い事例かどうかを判断できます。実績の見せ方に悩む会社には、参考になる方法です。

4. デザイン:全ページを刷新し、ロゴと色は残し、表示を遅くする要素を外した

全ページのデザインとテキストを刷新し、WordPress のテーマを新しく作りました。ロゴとブランドカラー(赤・黒)は変えていません。ロゴや色を変えると、名刺・資料・看板などほかの媒体も作り直すことになるため、変えるかどうかはサイトの課題とは別に判断できます。

表示速度については、次の2つを変えました。

  • 日本語の Web フォントの読み込みをやめ、端末に入っているフォントで表示するようにしました。スマートフォンの表示速度を大きく悪化させていたためです。日本語を含む CJK のフォントは1万字を超える文字を含むことがあり、ファイルが大きくなりやすい一方、端末に入っているシステムフォントはダウンロードが要りません(web.dev:フォントのベスト プラクティス)
  • 計測タグ(Google タグマネージャー)を、最初の操作か、読み込みが終わってから数秒後に読み込むようにしました

デザインの確認では、見た目だけでなく、スマートフォンでの表示速度もあわせて確かめることをおすすめします。

5. 記事の整理:185本を棚卸しし、142本にした

公開していた185本を1本ずつ棚卸ししました。Search Console では記事の約7割が Google に登録されていない状態で、「クロール済み – インデックス未登録」「検出 – インデックス未登録」が多く見られました。

  • 内容が重なっていた58本を36本の記事にまとめ、まとめた側の URL は統合先へ301転送しました。記事は削除せず下書きに戻しています
  • 45本を全面的に書き直し、終了したツールや改正前の制度などの古い情報を直しました。事実は公式情報で確認して出典をリンクする方針にしました
  • 記事末尾の関連記事が表示のたびにランダムに変わり、どこからもリンクされない記事が出ていたため、同じカテゴリの記事を公開日順に前後でつなぐ固定のリンクに変えました
  • ほかの会社のサービスの評判記事など、テーマと関係のない記事を整理しました
  • 2026年10月23日に新しい記事を15本公開し、公開中の記事は142本になりました

判断の基準と手順は「古い記事のリライト・統合の進め方」で詳しく解説しています。お知らせや記事が多いサイトをリニューアルするときは、移行の前に残す記事を決めておくと、新しいサイトに古い情報を持ち込まずに済みます。

6. 計測:タグと GA4 を1つにし、キーイベントを3つに決めた

Google タグマネージャーと GA4 を、本体とナレッジベースで1つに統一しました。そのうえで、成果として数える行動を、問い合わせ完了・無料簡易診断の申し込み・資料ダウンロードの3つのキーイベントに決めています。キーイベントは、ビジネスの成果にとって特に重要な行動を測るために指定するイベントです(アナリティクス ヘルプ)。

  • 社内(関係者)のアクセスを計測から除外する仕組みを加えた
  • 営業メール・名刺などのリンクに UTM パラメータを付けるルールを決めた

リニューアルでは、公開前に成果の定義と計測を決めておくと、公開の前と後を同じ指標で比べられます。設定の手順は「GA4のキーイベントの設定方法」で解説しています。

7. 検索・AI 検索:会社情報を公的な登録とそろえ、AI の巡回を許可した

会社概要の所在地の表記を、法人番号公表サイトに載っている本店所在地と一致させました。法人番号公表サイトでは、法人の商号・本店所在地・法人番号の3つの情報が公表されています(国税庁法人番号公表サイト)。あわせて、会社情報の構造化データ(Organization)を、会社概要の表と同じ値にしました。Google は Organization の構造化データを、トップページか会社概要のような組織を説明する1つのページに置くよう案内しており、必須の項目はなく、住所や税番号などを推奨項目に挙げています(Google 検索セントラル:組織の構造化データ)。

  • robots.txt で主な AI クローラーを許可し、拒否するのは管理画面と非公開の結果ページだけにした
  • サイトの要約と主要なページを AI 向けに示す llms.txt を設置した。作る手間が小さく、サイトの情報を整理する役にも立つため当社では標準で設置していますが、これだけで AI に引用されるわけではなく、構造化データや本文の改善と組み合わせて使います
  • Search Console でサイトマップを再送信し、主要なページの登録をリクエストした。リクエストには上限があるため、数日に分けて行った

Google は、URL 検査での登録リクエストには上限があり、多くの URL を知らせるにはサイトマップを送信するよう案内しています。クロールには数日から数週間かかることもあります(Google 検索セントラル:再クロールのリクエスト)。

発注者の立場で参考になる6つの点

当社の自社サイトでのやり方がそのまま他社に当てはまるとは限りませんが、次の6点はどの会社のリニューアルでも確かめる価値があります。

参考になる点当社で行ったこと自社で応用するとき
作る前に現状を一覧にする5つの観点で監査し、改善計画の承認を得てから着手制作会社に相談する前に、今のサイトの課題と数字を一覧にしておく
やめるもの・残すものを先に決める終了したサービスのページは301転送。ロゴと色は維持終了した事業・旧商品・旧拠点のページと、変えない要素を書き出す
比較される情報を公開する料金・制作の流れ・特徴・実績の考え方を公開料金の目安、進め方、事例を、出せる範囲で載せる
記事は増やす前に整理する185本を棚卸しし、重なる記事をまとめ、古い記事を書き直したお知らせや記事が多いサイトは、移行の前に残す記事を決める
成果の定義を公開前に決めるキーイベント3つ、関係者の除外、UTM のルール問い合わせ・資料請求・応募など、数える行動を決めて計測を設定してから公開する
会社情報を公的な登録とそろえる所在地を法人番号公表サイトと一致させ、構造化データも同じ値に登記・名刺・求人・Google ビジネスプロフィールと表記をそろえる

やってよかったことと注意点

成果の数字はこれから確認しますが、進め方として良かった点と、事前に知っておくとよい注意点は次のとおりです。

やってよかったこと

  • 改善計画を最初に文書にした:作業の優先順位を、承認を得たうえで決められた
  • テスト環境で確認してから、同じ月のうちに順次公開した:すべてを一度に切り替えず、確認できたものから本番に反映できた
  • まとめた記事を削除せず下書きに戻した:元の本文が手元に残り、判断を後から見直せる
  • 料金と進め方を公開ページにした:問い合わせの前に確認できる情報を、ページとして用意できた

注意点

  • Search Console の登録リクエストには上限がある。主要なページから優先し、日を分けて行う
  • 端末のフォントで表示すると、OS やそのバージョンによって文字の見え方が変わる
  • 計測タグの読み込みを遅らせる場合は、タグが読み込まれる前に離れた訪問が計測から漏れる可能性も踏まえて決める
  • 関連記事のランダム表示のように、テーマの機能が原因の問題は、画面を見ているだけでは気づきにくい
  • 記事の統合や URL の転送は、検索に反映されるまで時間がかかる。成果は数か月後に、同じ指標で確認する

よくあるご質問

リニューアルにはどのくらいの期間がかかりましたか?

2026年10月1日に監査を行い、同じ月のうちに順次公開しました。自社のサイトのため、お客様からお受けする制作とは進め方が異なります。当社がお受けするコーポレートサイト(スタンダードプラン)は、ヒアリングから公開まで2.5〜4か月が標準です。

リニューアルで URL は変えましたか?

記事の URL は /column/ のままで、記事メディアを本体のサイトに移しました。終了したサービスの旧ページは関連するページへ、まとめた記事は統合先の記事へ、それぞれ301転送しています。

リニューアルの成果はどう確認しますか?

公開から日が浅いため、まだ数字で示せる段階ではありません。キーイベントに設定した問い合わせ完了・無料簡易診断の申し込み・資料ダウンロードの数と、Search Console の登録状況・表示回数を、数か月後に同じ指標で確認します。

ロゴやブランドカラーも変えたほうがよいですか?

必ずしも変える必要はありません。当社はロゴと赤・黒のブランドカラーを残し、デザインとテキストを全ページで刷新しました。ロゴや色を変えるとほかの媒体の作り直しも伴うため、サイトで解決したい課題とは分けて判断します。

まとめ

当社の自社サイトのリニューアルは、監査で現状を一覧にし、事業とサービスを絞り、料金と進め方を公開し、記事を整理し、計測と AI 検索の土台を整える順番で進めました。発注する側が参考にしやすいのは、デザインより先に「やめるもの・残すもの・公開するもの」を決めたこと、記事を増やす前に整理したこと、公開前に成果の定義と会社情報をそろえたことです。

当社のコーポレートサイト制作でも、リニューアルはヒアリングと現状診断から始め、URL の引き継ぎと計測の設定を含めて進めます。作り直す前に、今のサイトのどこを直すべきかを数字で知りたい場合は、SEO・AI検索 診断レポート(20万円・税別、納期2週間)で、優先順位つきの改善ロードマップをお渡しします。

関連記事:サイトリニューアルで検索順位を落とさないURL変更とリダイレクトの手順/AIクローラーをrobots.txtで許可すべきか/ホームページの会社概要の書き方

フェニックスデザイン株式会社WEB制作会社が運営するナレッジベース編集部

コーポレートサイト・採用サイト・サービスサイトの制作と、公開後の運用保守・集客改善の現場で得た知見をもとに、発注する側の視点で記事を制作・更新しています。運営会社の所在地・事業内容は会社案内、制作の考え方はブランディング×マーケティング論をご覧ください。

この記事は 2026年10月26日 に公開し、2026年10月26日 に内容を確認・更新しました。