制作会社に GA4 を入れてもらったものの、問い合わせが何件計測されているのか分からない。古い解説記事の「コンバージョン設定」の手順どおりに進めようとしても、同じ名前の画面が見つからない。GA4 を担当することになった広報・営業の方から、こうしたご相談をよくいただきます。
GA4 のキーイベントは、問い合わせの送信完了など「成果として数えたいイベント」に印を付ける設定で、送信後に完了ページ(サンクスページ)が表示されるフォームなら GA4 の管理画面だけで設定でき、完了ページがないフォームは Google タグ マネージャーなどで送信完了のイベントを送ってからキーイベントにします。
この記事では、キーイベントと以前のコンバージョンの関係、キーイベントにするもの・しないもの、サンクスページ型とイベント型の違いと設定手順、カウント方法の選び方、関係者のアクセスの除外、当社サイトで設定している 3 つのキーイベントを、2026年10月時点の GA4 の公式ヘルプにもとづいて解説します。
GA4 のキーイベントとは:以前の「コンバージョン」
キーイベントとは、GA4 で収集したイベントのうち、問い合わせや資料請求など事業の成果にとって特に重要な行動を測るために指定したイベントのことです。
GA4 では、以前「コンバージョン」と呼ばれていた設定が、現在は「キーイベント」という名称になっています。今の GA4 で「コンバージョン」は、キーイベントをもとに作り、Google 広告のキャンペーンの効果測定や入札の最適化に使うもので、作成には Google 広告のアカウントとのリンクが必要です(アナリティクス ヘルプ:Google アナリティクスのコンバージョンとキーイベント)。
| 用語 | 意味 | 広告を出していない企業サイトでの扱い |
| イベント | ページの表示、クリック、ファイルのダウンロードなど、GA4 が記録するすべての操作 | 自動で記録されるものと、自分で追加するものがある |
| キーイベント | イベントのうち、成果として数えるために印を付けたもの | 問い合わせ・資料請求・応募の送信完了を設定する |
| コンバージョン | キーイベントをもとに Google 広告側で使うもの | 広告を出していなければ設定しなくてよい |
キーイベントは、標準のプロパティで最大 30 個まで設定でき、設定したキーイベントが標準のレポートに表示されるまでには最大 24 時間かかります(アナリティクス ヘルプ:イベントにキーイベントとしてマークを付ける)。なお、すべてのページの表示を表す page_view そのものはキーイベントにできないため、完了ページの表示を数えたいときは、page_view をもとに別のイベントを作ります(アナリティクス ヘルプ:チュートリアル:キーイベントを設定する)。
キーイベントにするもの・しないもの
キーイベントには、見込み客が連絡先を入力して送るなど事業の成果に直結する「完了」の行動だけを選び、途中の行動は通常のイベントのまま見ます。
途中の行動までキーイベントにすると、キーイベントの数とキーイベント率が実際の成果より大きく見え、毎月の判断を誤る原因になります。BtoB の中小企業のサイトでの判断の例は次のとおりです。
| 行動 | キーイベントにするか | 理由・注意点 |
| 問い合わせフォームの送信完了 | する | サイトの成果の基本 |
| 資料請求・資料ダウンロードのフォームの送信完了 | する | 比較・検討の段階の見込み客の数が分かる |
| 採用の応募フォームの送信完了 | する(応募をサイトで受ける場合) | 問い合わせとは別のイベント名にして分ける |
| 見積もり依頼・無料相談の予約の完了 | する | 問い合わせと分けると、検討の深さが分かる |
| 電話番号のタップ | 電話での受付が中心の会社はする | タップしてかけなかった人も数えるため、実際の通話より多く出る |
| 外部の応募ページ・予約サイトへのクリック | 応募や予約を外部で受ける場合は検討する | 「移った数」であり、応募や予約が完了した数ではない |
| フォームの入力開始、料金ページの閲覧、スクロール | しない | 途中の行動として、通常のイベントやページの表示回数で見る |
何を成果として数えるかは、サイトの目的によって変わります。目的ごとに見る指標の決め方と月次の記録表はホームページの効果測定のやり方で解説しています。
Service
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サンクスページ型とイベント型の比較
フォームを送信したあとに別の URL の完了ページが表示されるならサンクスページ型、同じページのまま「送信しました」と表示されるならイベント型で計測します。
どちらに当てはまるかは、実際にフォームをテスト送信し、送信後にブラウザのアドレスバーの URL が変わるかどうかで確かめられます。
| 項目 | サンクスページ型 | イベント型 |
| 仕組み | 完了ページの表示(page_view)をもとにイベントを作る | フォームが送信を完了した合図を受け取り、イベントとして GA4 に送る |
| 設定する場所 | GA4 の管理画面だけ | Google タグ マネージャー(またはサイトのコード)と GA4 |
| 向いているフォーム | 送信後に /contact/thanks/ などに移るフォーム | 送信後もページが変わらないフォーム |
| 注意点 | 完了ページを再読み込みやブックマークで開くと数えられる。完了ページは検索結果に出す必要がないため noindex にしておく | フォームの仕組みに合った合図を選ぶ必要がある。フォームのプラグインを入れ替えると動かなくなることがある |
WordPress でよく使われる Contact Form 7 は、送信の処理をページを切り替えずに行い、メールの送信に成功したときに wpcf7mailsent という合図(DOM イベント)を出します。入力エラーやスパム判定の場合も含め、送信の処理が終わるたびに出る wpcf7submit という合図もあるため、問い合わせ完了として数えるのは wpcf7mailsent のほうです(Contact Form 7:DOM events)。
GA4 の拡張計測機能にも、フォームを送信したときに記録される form_submit というイベントがあります(アナリティクス ヘルプ:拡張計測機能イベント)。ただし、これはフォームを送信する操作を記録するもので、メールが送られたかどうかまでは区別しません。フォームの仕組みによっては記録されないこともあるため、問い合わせ完了のキーイベントには、完了ページの表示か、フォームの送信完了の合図を使うほうが確実です。
サンクスページ型の設定手順(GA4 の管理画面)
完了ページがある場合は、GA4 の管理画面で、完了ページの URL を条件に page_view から新しいイベントを作り、作るときにキーイベントとして印を付けます。
- フォームをテスト送信し、完了ページの URL を控えます(例:https://www.example.co.jp/contact/thanks/)。
- GA4 の「管理」を開き、「データの表示」の「イベント」をクリックします。
- 「+ イベントを作成」をクリックします。
- イベント名を入力します。問い合わせなら、Google の推奨イベント名である generate_lead が使えます。あわせて「キーイベントとしてマークを付ける」をオンにし、デフォルトのキーイベント値とカウント方法を選びます。
- イベントの作成方法で「コードなしで作成」を選びます。
- 元になるイベントに page_view を選び、URL の欄に完了ページの URL を入力して「作成」をクリックします。
- もう一度テスト送信し、「リアルタイム」レポートで、作ったイベントがキーイベントとして記録されるかを確かめます。
この手順は、Google のチュートリアルで、確認ページの URL と page_view を使って generate_lead をキーイベントにする例として紹介されています。操作には管理者または編集者の権限が必要で、設定が反映されるまでに数分から数時間かかることがあります(アナリティクス ヘルプ:チュートリアル:キーイベントを設定する、キーイベントを作成または変更する)。
画面の表示がこの手順と違う場合は、「イベントを作成」の画面で「一致する条件」を指定する方法を使います。event_name が page_view と等しいことと、page_location が完了ページの URL と一致することを条件にすると、同じように完了ページの表示だけを数えるイベントを作れます。既存のイベントをもとに作ったイベントは過去のデータには適用されず、有効になるまでに 1 時間以上かかります(アナリティクス ヘルプ:イベントの名前を変更して新しいイベントを生成する)。
問い合わせ・資料請求・採用応募など、フォームが複数ある場合は、フォームごとに完了ページを分け、イベント名も分けて作ります。1 つのイベントにまとめると、どのフォームの成果かが後から分からなくなります。
イベント型の設定手順(完了ページがないフォーム)
完了ページがないフォームは、Google タグ マネージャー(GTM)でフォームの送信完了の合図を受け取って GA4 のイベントとして送り、GA4 に届いたイベントにキーイベントの印を付けます。
- フォームが送信完了のときに出す合図を確かめます。Contact Form 7 なら wpcf7mailsent です。ほかのフォームは、プラグインの説明書や制作会社に確認します。
- GTM で、その合図を受け取るトリガーを作ります。Contact Form 7 の場合は、合図を受け取ってデータレイヤーにイベントを送る仕組みを入れ、そのイベント名のカスタム イベントをトリガーにする方法が一般的です。
- タグの種類で「Google アナリティクス: GA4 イベント」を選び、測定 ID とイベント名(例:generate_lead)を入れて、手順 2 のトリガーを指定します。
- GTM のプレビュー(Tag Assistant)でテスト送信し、送信が完了したときだけタグが動くことを確かめてから公開します。
- GA4 の「管理」→「データの表示」→「イベント」で、届いたイベントの名前の横にあるスターのアイコンをクリックし、キーイベントにします。
イベントがまだ GA4 に届いていない段階でも、「+ イベントを作成」から同じイベント名で先にキーイベントを作っておけます(アナリティクス ヘルプ:イベントにキーイベントとしてマークを付ける)。GTM のタグ・トリガーの仕組みと、電話番号のタップやボタンのクリックを計測する設定例はGoogle タグ マネージャーの使い方とGA4の設定手順で解説しています。
テストでは、GA4 の DebugView も使えます。「管理」→「データの表示」→「DebugView」で、デバッグ モードにした自分のブラウザから送られたイベントを順番に確認できます。デバッグ モードは、Tag Assistant や GTM のプレビューを使うと有効になります(アナリティクス ヘルプ:DebugView でイベントをモニタリングする)。
カウント方法:「イベントごとに 1 回」と「セッションごとに 1 回」
キーイベントの数え方は、1 回の訪問で起きた回数をすべて数える「イベントごとに 1 回」(推奨)と、何回起きても 1 件と数える「セッションごとに 1 回(従来版)」から選べます。
| カウント方法 | 数え方の例 | 向いている場面 |
| イベントごとに 1 回(推奨) | 1 回の訪問で問い合わせを 2 回送ると 2 件 | 送信の回数や、資料を何点ダウンロードしたかを正確に数えたい |
| セッションごとに 1 回(従来版) | 1 回の訪問で何回送っても 1 件 | 「問い合わせのあった訪問の数」を見たい、二重送信を数えたくない |
ユニバーサル アナリティクス(UA)の目標から移行して作られたキーイベントは「セッションごとに 1 回」、それ以外は「イベントごとに 1 回」が最初の設定です。変更は「管理」→「データの表示」→「イベント」の「キーイベント」タブで、対象の行の右端のメニューから「カウント方法を変更」を選んで行います。変更は設定したあとのデータにだけ適用され、過去のデータには適用されません(アナリティクス ヘルプ:キーイベントのカウント方法)。
GA4 のキーイベントの数を社内で受け付けた問い合わせの数と比べるときは、どちらの数え方になっているかを先に確かめます。UA の時代からサイトを運用している会社では、問い合わせのキーイベントだけが「セッションごとに 1 回」のまま残っていることがあるため、一覧で確認しておくと安心です。
関係者のアクセスを除外する
社員や制作会社の閲覧・テスト送信がキーイベントに混ざらないよう、内部トラフィックの定義とデータ フィルタで除外し、テストはデバッグ モードで行って、デベロッパー トラフィックのフィルタで除外します。
社内からの IP アドレスが決まっている場合の手順は次のとおりです(アナリティクス ヘルプ:内部トラフィックの除外)。
- 「管理」→「データの収集と修正」→「データ ストリーム」でウェブのストリームを開き、「タグ設定を行う」→「すべて表示」→「内部トラフィックの定義」→「作成」の順に進みます。
- ルールの名前を入れ、traffic_type の値(初期値は internal)を確かめ、社内の IP アドレスを条件に指定します。条件は「等しい」「範囲内」などから選べ、複数の条件はいずれかに当てはまれば対象になります。
- 「管理」→「データの収集と修正」→「データ フィルタ」で「フィルタを作成」を選び、種類で「内部トラフィック」を選んで、「除外」を指定します。
- 最初はフィルタの状態を「テスト」にし、社内のアクセスだけが判定されているかを確かめてから「有効」にします。
有効にしたデータ フィルタで除外したデータは、後から戻せません。在宅勤務などで社員の IP アドレスが変わる場合は、IP アドレスだけでは除外しきれないため、社外から確認する担当者には、テスト送信の件名に「テスト」と入れてもらい、社内の受付記録から外すなどのルールを決めておきます。
GTM のプレビューや Tag Assistant で確認するときの通信は、デバッグ モードとして送られます。データ フィルタの種類「デベロッパー トラフィック」を「除外」で作っておくと、テストの通信を除けます。データ フィルタはプロパティごとに 10 個まで作れ、反映まで 24〜36 時間かかることがあります(アナリティクス ヘルプ:デベロッパーのトラフィックを除外する)。
当社サイトで設定している 3 つのキーイベント
当社は 2026年10月の自社サイトのリニューアルで、キーイベントを「問い合わせ完了」「無料簡易診断の申し込み」「資料ダウンロード」の 3 つに絞って設定しました。
| キーイベント | 数える行動 | この行動が示すこと |
| 問い合わせ完了 | お問い合わせフォームの送信 | 制作・保守・診断について相談を始めたこと |
| 無料簡易診断の申し込み | 無料簡易診断のフォームに、サイトの URL・会社名・メールアドレスを入れて申し込む | 自社サイトの改善に関心を持ち、当社と最初の接点を持ったこと |
| 資料ダウンロード | フォームを入力して、料金表・リニューアルのチェックリスト・採用サイトのワークシートのいずれかを受け取る | 料金や進め方を比べる、検討の段階に入ったこと |
3 つとも、見込み客が自分で連絡先を入力して送る行動です。あわせて、それまで別々だった本体のサイトと記事メディアの Google タグ マネージャーと GA4 を 1 つにまとめ、社内(関係者)のアクセスを計測から除外する仕組みを加えました。営業メールや名刺に載せるリンクには UTM パラメータを付けるルールも決め、どの接点からの訪問かを GA4 で分けて見られるようにしています。
よくあるご質問
Google 広告を出していなくても、キーイベントの設定は必要ですか?
必要です。キーイベントは GA4 のなかで成果を数えるための設定で、広告の有無に関係なく、問い合わせが何件あったか、どの流入元やページから成果が生まれたかを見るために使います。広告を出していない場合、Google 広告で使う「コンバージョン」の設定は不要です。
キーイベントを設定したのに、数字が 0 のままです。
標準のレポートに反映されるまで最大 24 時間かかるため、まずリアルタイム レポートで確かめます。それでも記録されない場合は、完了ページの URL の入力間違い、完了ページがないフォームにサンクスページ型の設定をしている、データ フィルタで自分のテストが除外されている、といった原因を確かめます。
過去のデータにさかのぼって、キーイベントを数えられますか?
既存のイベントをもとに新しく作ったイベントや、カウント方法の変更は、過去のデータには適用されません。数字は設定した日から記録されるため、キーイベントを追加・変更した日を社内の記録に残し、月次の比較で区切りが分かるようにしておきます。
問い合わせ完了のほかに、何個くらいキーイベントを設定すればよいですか?
上限は標準のプロパティで 30 個ですが、中小企業のサイトでは、問い合わせ・資料請求・採用応募など、事業の成果に直結するものを数個に絞るのがおすすめです。数を増やすほど、毎月どの数字を見ればよいかが分かりにくくなります。
まとめ
GA4 のキーイベントは、以前のコンバージョンにあたる設定で、問い合わせ・資料請求・応募などの送信完了だけを選んで印を付けます。完了ページがあるフォームは、GA4 の管理画面で page_view と完了ページの URL からイベントを作ってキーイベントにし、完了ページがないフォームは、GTM で送信完了の合図を GA4 に送ってからキーイベントにします。カウント方法を確かめ、関係者のアクセスとテストの通信を除外し、テスト送信で記録を確かめてから運用を始めます。
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