知的財産の情報提供・人材育成を担う独立行政法人のWEBサイトです。公的機関のサイトは、中小企業やスタートアップの知財担当者、研究者・学生、支援機関、報道関係者といった幅広い利用者が、それぞれ別の目的で訪れます。この事例では、利用者が目的のサービスに短い経路で到達できる情報設計、ウェブアクセシビリティへの配慮、そして多くの部署が関わる更新を安定して続けられる運用設計を軸に制作しました。
制作の背景
公的機関のサイトは、事業の数が多く、それぞれに担当部署があり、情報が組織の構造どおりに積み上がりがちです。利用者から見ると「自分が使えるサービスはどれか」が分からず、電話での問い合わせに流れてしまいます。知的財産という専門分野では用語も難しく、初めて調べる事業者が最初の一歩でつまずきやすいことも課題でした。加えて、公的機関として JIS X 8341-3 に沿ったアクセシビリティの確保が求められます。
情報設計:利用者別と事業別の2軸
グローバルナビは「法人について/事業・サービス案内/研修・セミナー/調査・刊行物/お知らせ/調達情報」とし、事業の分類で探せるようにしました。トップページには「ご利用者別」として、事業者の方・研究者・学生の方・支援機関の方・報道関係の方という入口を並べ、立場から該当サービスへ進める導線を加えています。
- 事業・サービス案内:サービスごとに、対象者・内容・利用方法・費用の有無・問い合わせ先を同じ型で記載。専門用語には短い説明を添える
- 研修・セミナー:開催予定を日付順に一覧し、対象者・形式(会場・オンライン)・申し込み方法を明記。終了分はアーカイブへ
- 調査・刊行物:年度・分野で絞り込める一覧。PDF には発行日とタイトルを明示
- お知らせ/調達情報:日付順の投稿。調達情報は公告・結果を分けて掲載
- ご利用者別:立場からサービスへ送る入口。各サービスページにも「このサービスの対象者」を表示
ファーストビューとデザイン
公的機関のサイトでは、印象的なビジュアルより、主要な入口が最初の画面に収まることを優先しました。トップページのファーストビューは、法人の役割を一文で示す見出し、ご利用者別の入口、重要なお知らせの3要素で構成し、装飾は最小限にしています。配色はロゴの緑を基調に、本文は十分なコントラストを確保し、文字サイズの変更と背景色の切り替え機能を用意しました。
導線と問い合わせ設計
問い合わせ先はサービスごとに部署が異なるため、各サービスページの末尾に担当部署・電話・受付時間・メールフォームへのリンクを記載しています。全体の「お問い合わせ」ページには、用件からの選び方(サービスの利用について/研修について/取材について/調達について)と部署一覧を置き、どちらの経路からでも正しい窓口に届くようにしました。
SEO・運用の考え方
公的機関のサイトは、「機関名+サービス名」「知財 相談 無料」「特許 セミナー」のような検索で訪れる利用者が中心です。サービスページのタイトルにサービスの正式名称と平易な言い換えの両方を含め、専門用語を知らない事業者の検索にも応えています。運用面では、各部署が自分の担当ページを共通の型で更新できる権限設計とし、お知らせ・セミナー・刊行物は投稿形式にしました。公開前に、見出し構造・代替テキスト・キーボード操作・コントラスト・PDF のアクセシビリティを確認しています。
よくあるご質問
公的機関のサイトで、アクセシビリティはどこまで対応すべきですか?
JIS X 8341-3:2016 の適合レベル AA への準拠を目標とするのが一般的です。制作段階での設計(見出し構造・コントラスト・キーボード操作・代替テキスト)に加え、公開後の更新でも守れるよう、入力時のルール(画像の説明文を必須にするなど)を管理画面側に組み込みます。
部署ごとに更新する場合、デザインや表記がばらばらになりませんか?
ページの型(見出し・項目の順番・ボタンの文言)を固定し、部署は内容だけを入力する仕組みにすれば防げます。表記ルール(日付の形式、敬語、用語の統一)を短いガイドにして管理画面に表示する方法も有効です。
公的機関のサイトの制作期間と費用の目安は?
事業数によりますが、4〜6か月が目安です。既存コンテンツの移行、アクセシビリティ検証、各部署の確認工程を含めて計画します。費用は料金をもとにページ数に応じてお見積りし、進め方は制作の流れをご覧ください。
この事例から学べること
- 事業の多い機関は、事業別のナビに加えて「利用者の立場別」の入口を用意すると、電話での問い合わせが減る
- 公的機関のサイトはアクセシビリティを制作時だけでなく、更新時にも守れる仕組みにする
- 専門用語の正式名称と平易な言い換えの両方をページタイトルに含めると、初めて調べる人の検索に届く