ホームページの制作やリニューアルを外注しようと制作会社を探しはじめると、どの会社も「デザインが得意」「SEOに強い」と書いていて、何を基準に選べばよいのか分からなくなります。費用も数十万円から数百万円まで幅があり、安さや実績の見た目だけで決めて、公開後に後悔するケースも少なくありません。
Web制作会社は、依頼前に目的・予算・担当を社内で決めて同じ条件で相談し、「得意分野が目的に合うか」「提案が目的から始まっているか」「見積もりの範囲が明確か」「公開後の体制があるか」の4点を比べて選ぶと失敗しにくくなります。
この記事では、制作会社に依頼するメリット・デメリット、依頼前に社内で決めておくこと、制作会社のタイプ、比較する8つのポイントと打ち合わせで使える質問、相見積もりの進め方、費用の目安、依頼から公開までの手順を、発注する側の視点で解説します。
制作会社に依頼するメリット・デメリット
コーポレートサイトのように会社の信用と営業に関わるサイトは、設計から公開後の運用までを担える制作会社に依頼したほうが、成果と社内の負担の両面で有利です。
制作会社に依頼する主なメリットは次のとおりです。
- 目的から逆算した設計:誰に何を伝え、どの検索語句で見つけてもらい、どこで問い合わせてもらうかを、他社での経験を踏まえて設計してもらえます。
- 品質の安定:スマートフォン表示、表示速度、フォーム、SEOの基本設定、セキュリティなど、自社で作ると見落としやすい項目を工程として管理してもらえます。
- 社内の負担の軽減:担当者は確認と判断に集中でき、本業の時間を大きく削らずに済みます。
- 公開後の相談先ができる:更新方法の引き継ぎ、保守、数字を見た改善まで続けて相談できます。
一方で、制作費がかかること、自社に合う会社を探して比べる手間がかかることがデメリットです。依頼先ごとの違いは次のとおりです。
| 比較項目 | 自社で作る(ツールを含む) | フリーランス | 制作会社 |
| 費用 | ツールの利用料のみ(月数千円〜) | 10万〜50万円程度が中心 | 50万円〜(規模と内容による) |
| 設計・提案 | 自社で行う | 人による。作る内容が決まっている依頼に向く | 目的のヒアリングから設計まで任せられる会社が多い |
| 品質の安定 | 担当者のスキル次第 | 個人のスキル次第 | 工程と複数人の確認で安定しやすい |
| 体制・継続性 | 担当者の異動で止まりやすい | 1人のため、不在時や廃業時の備えが必要 | 担当者が不在でも引き継げる体制の会社を選べる |
| 社内の負担 | 大きい | 中程度(原稿や進行管理を発注側が担うことが多い) | 小さい(確認と判断が中心) |
依頼前に社内で決めておく6つのこと
制作会社を探す前に次の6つを社内で決めておくと、各社の提案を同じ基準で比べられます。
- 目的と数値目標:「中途採用の応募を増やす」「サービスの資料請求を月10件にする」など、具体的に決めます。
- ターゲット:見込み客(業種・役職)、求職者、取引先や株主など、誰に向けたサイトかを決めます。
- サイトの種類:コーポレートサイト、採用サイト、サービスサイト、LP(ランディングページ)、オウンドメディアなど。目的によって適した種類が変わり、得意な制作会社も変わります。
- 予算の幅と公開希望時期:「100〜150万円」「◯月の展示会まで」のように、幅と理由をつけて決めます。
- 原稿・写真の担当:社内で用意するか、制作会社に依頼するかを決めます。
- 最終決定者と公開後の担当:誰がデザインや設計を承認し、公開後に誰が更新するかを決めます。
決めた内容は、提案依頼書(RFP)として1〜数枚にまとめ、すべての候補に同じものを渡します。途中で社内の意見が割れて大きな修正が必要になると、追加費用と遅れの原因になるため、方向性はこの段階で社内でそろえておきます。記載する項目と書き方は、提案依頼書とは?重要な理由や作成ポイントを解説をご覧ください。
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制作会社のタイプと向いている依頼
制作会社は得意分野でいくつかのタイプに分かれ、どれが良い悪いではなく「何を頼みたいか」で合う会社が変わります。
| タイプ | 向いている依頼 | 注意したい点 |
| デザイン重視の制作会社 | ブランドイメージの刷新、見た目の印象を大きく変えたい | 文章は発注側が用意することが多い。計測やSEOは別契約のことがある |
| SEO・広告の代理店 | 短期間で広告からの獲得を増やしたい | サイト自体の改修は別の会社になりがち |
| テンプレート・格安の制作サービス | 早く、安く、名刺代わりのサイトがほしい | 構成の自由度が低く、追加費用が多いことがある |
| 設計から運用まで一貫して担う制作会社 | 問い合わせや応募を増やすために、伝え方と集め方の両方を直したい | 個別見積もりが多く、費用は中程度以上 |
| 大手の制作会社 | 大規模なサイト、多部署やグループ会社をまたぐサイト | 小規模な案件では割高になりやすい |
表は一般的な傾向を整理したもので、個々の会社によって異なります。候補を探すときは、自社の目的に近いタイプから2〜3社に絞ります。
Web制作会社の選び方:比較する8つのポイント
候補を2〜3社に絞ったら、次の8つのポイントを同じ基準で比べます。
1. 得意分野と実績が、自社の目的・業種に近いか
実績は見た目の好みではなく、「自社と近い業種・規模・目的のサイトを作っているか」「どんな課題に、どんな構成で応えたか」で見ます。掲載許諾の関係で社名を出していない制作会社もあるため、気になる場合は打ち合わせで近い事例の説明を求めます。制作会社自身のサイトの分かりやすさや、発信している記事の内容も、その会社の考え方と運用の力を判断する材料になります。
2. 提案が目的から始まっているか
良い提案は、デザインの話より先に「誰に何を伝え、どう問い合わせにつなげるか」の話をします。こちらの要望をそのまま受け入れるだけでなく、目的に合わない要望には理由を添えて別の案を出してくれるかどうかも見ておきます。
3. 見積もりの内訳と範囲が明確か
「一式」ではなく工程ごとの内訳があるか、原稿・写真・デザインの修正回数・公開後の修正・保守が、含まれるのか含まれないのかを確認します。金額の根拠を質問したときに説明できない会社は注意が必要です。項目ごとの読み方は、ホームページ制作の見積書の見方で解説しています。
4. 工程・スケジュールと、発注側の作業が示されているか
契約前に、工程ごとの期間、各工程で受け取る成果物、発注側にお願いされる作業(確認、素材の提供など)が示されていると、公開までの見通しが立ちます。「納品日」と「公開日」の意味も会社によって違うことがあるため、確認しておきます。
5. 担当者と体制
打ち合わせに出てくる営業担当と、実際に設計・制作する担当が別の部署や外部の会社の場合、要望が伝言で薄まることがあります。誰が窓口で誰が作るのか、担当者が変わる予定はないか、不在のときはどう対応するかを確認します。専門用語をかみ砕いて説明してくれるか、こちらの業界を理解しようとしているかも、数か月続くやり取りでは大切な判断材料です。
6. SEO・計測・表示速度・セキュリティへの理解
「SEO対策込み」の中身が、title・description・構造化データ・サイトマップといった技術的な設定までなのか、キーワード調査やコンテンツ制作まで含むのかを確認します。GA4・Search Consoleの設定と、問い合わせの計測が制作に含まれるかも重要です。検索順位は検索エンジンが決めるものなので、「必ず1位にする」といった順位の保証をうたう提案には注意が必要です。
7. 公開後の運用保守・改善の体制
公開後に自社で更新できる仕組みか、更新方法を教えてもらえるか、WordPressの更新やバックアップなどの保守をどこまで月いくらで頼めるかを確認します。制作だけを請け負い、公開後は対応しない会社もあります。数字を見て改善を提案してくれるかどうかで、公開後の成果は大きく変わります。
8. 契約条件(権利・名義・支払い)
成果物の著作権の扱い(譲渡か利用許諾か)、デザインデータや写真の引き渡し、ドメイン・サーバーの契約名義(自社名義が基本)、支払い条件、保守契約の期間と解約条件を確認します。制作範囲・納期・納品物を書面に残しておくと、後のトラブルを防げます。
打ち合わせで使えるチェックリスト
候補の制作会社との打ち合わせでは、次の質問への答え方を比べると違いが分かりやすくなります。
| 確認したいこと | 質問の例 | 注意したい答え |
| 実績 | 当社に近い業種・規模の事例で、どんな課題にどう対応しましたか? | 見た目の説明だけで、目的や公開後の話が出ない |
| 提案 | この目的なら、どのページを優先して作りますか? | どの要望にも「できます」とだけ答え、理由がない |
| 見積もり | 原稿・写真・修正回数・保守は含まれますか? | 「一式」で、含まれない作業の説明がない |
| 工程 | 公開までの工程と、当社にお願いしたい作業は何ですか? | 工程表が出ない。期間の根拠が説明されない |
| 体制 | 実際に設計・制作を担当するのはどなたですか? | 制作は外部に任せていて、担当者が分からない |
| SEO・計測 | 公開時にどんな設定を行い、何の数字で成果を確認しますか? | 順位を保証する。計測の話が出ない |
| 公開後 | 公開後の更新や修正はどこまで頼めて、費用はいくらですか? | 保守の範囲と料金が決まっていない |
| 契約 | 著作権、データ、ドメイン・サーバーの名義はどうなりますか? | ドメインが制作会社の名義で、移管の条件が決まっていない |
相見積もりとコンペの注意点
相見積もりは、2〜3社に同じ提案依頼書を渡して行い、金額だけでなく「範囲」と「進め方」を比べます。
多くの会社に声をかけると、打ち合わせと比較に時間がかかるうえ、各社の提案を十分に読み込めません。候補は実績やサイトの内容で事前に絞り、2〜3社と打ち合わせるのが現実的です。総額が近くても、原稿作成や保守が含まれるかどうかで実際の負担は変わるため、含まれる作業をそろえて比べます。
デザイン案を出してもらって選ぶコンペ形式は、見た目の好みで決まりやすく、ヒアリングと設計が不十分なまま制作が進む原因になります。コンペで選ぶリスクと、コンペをしない選び方はなぜ、Web制作会社をコンペで選ぶと失敗するのかで解説しています。
コーポレートサイト制作の依頼費用の目安
コーポレートサイトの制作費用は、BtoB企業が10ページ前後を設計から依頼する場合で100〜200万円程度が目安です。
発注データを公開している調査では、サイト制作費用の中央値は40万〜50万円前後ですが、これはテンプレート型や小規模なサイトも含んだ数字です。依頼先別では、フリーランスが10万〜50万円程度、中小の制作会社が50万〜300万円程度、大手の制作会社が300万円以上が中心になります。規模別・工程別の相場と格安制作を選ぶときの注意点は、コーポレートサイトの制作費用の相場にまとめています。
当社のコーポレートサイト制作は、ライト60万円〜(5ページ前後)、スタンダード120万円〜(10ページ前後)、ブランディング200万円〜(15ページ以上)です(いずれも税別)。
依頼から公開までの手順
制作会社への依頼は、相談・見積もり、契約、設計、制作、公開の順に進み、それぞれの段階で発注側の確認が入ります。
- 相談・ヒアリング:目的、現状のサイト、予算と時期の目安を伝えます。
- 提案・見積もり:構成案と内訳つきの見積もりを受け取り、比較します。
- 契約:制作範囲・納期・納品物・支払い条件を書面で確認します。
- 要件定義・設計:コンセプト、サイトマップ、ワイヤーフレームを確認し、承認します。
- デザイン:トップページで方向性を合わせてから、下層ページに進みます。
- 実装・テスト:テスト環境で、全ページの表示、フォームの動作、原稿の事実関係を確認します。
- 公開・運用:公開後の数字を確認し、更新と改善を続けます。
当社の場合は、30分の無料相談のあと、2〜3日で現状確認と構成案を作り、1週間以内に内訳つきのお見積りをお出しします。ご契約後は6つの工程で進め、10ページ前後のコーポレートサイトでヒアリングから公開まで2.5〜4か月が標準です。制作費のお支払いは契約時50%・公開時50%が標準で、契約書と、制作範囲・納期・納品物を明記した発注書を交わします。
よくあるご質問
地元の制作会社を選んだほうがよいですか?
対面での打ち合わせを重視する場合は近い会社が便利ですが、現在はオンラインで打ち合わせや確認を進めることが多く、地域よりも得意分野と体制を優先して選ぶのが現実的です。当社は埼玉県八潮市を拠点に、東京都内をはじめ全国の企業に対応しており、打ち合わせはオンライン・対面のどちらでも可能です。
相見積もりは何社くらいから取ればよいですか?
2〜3社が目安です。それ以上に増やすと、打ち合わせと比較の負担が大きくなり、提案の中身を比べにくくなります。事前に実績と制作会社のサイトで候補を絞り、同じ提案依頼書を渡して比べます。
小規模な制作会社に依頼しても大丈夫ですか?
規模よりも体制で判断します。同時に進める案件数、担当者が不在のときの対応、公開後の保守の窓口を確認してください。少人数の会社には、最初のヒアリングに出た担当者が設計から公開後まで見るため、意図が伝わりやすいという利点もあります。当社も少人数の社内チームで、ヒアリングから公開後のレビューまで同じ担当者が担当しています。
契約する前に確認しておくべきことは何ですか?
制作範囲と含まれない作業、デザインの修正回数、原稿・写真の担当、公開後の保守の範囲と月額、著作権とデータの扱い、ドメイン・サーバーの名義の6つです。いずれも口頭ではなく、見積書や契約書などの書面で確認します。
まとめ
Web制作会社を選ぶときは、まず目的・ターゲット・予算と時期・原稿の担当・決定者を社内で決め、提案依頼書にまとめて2〜3社に同じ条件で相談します。比べるのは、得意分野と実績、提案の出発点、見積もりの範囲、工程、担当者と体制、SEO・計測の理解、公開後の体制、契約条件の8つです。金額や実績の見た目だけで決めず、公開後も長く相談できる相手かどうかで判断してください。
当社は料金・期間・進め方を公開し、相見積もり中のご相談も歓迎しています。比較の材料として話を聞いてみたい方は、無料相談からお気軽にご連絡ください。
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