同じ内容でWebサイト制作の見積もりを依頼したのに、ある会社は50万円、別の会社は250万円だった。こうした差は珍しくありません。金額だけを見ると安い会社を選びたくなりますが、高い見積もりが割高なのか、安い見積もりに必要な作業が抜けているのか、判断に迷う担当者は多いはずです。
Webサイト制作の見積もりが会社ごとに違うのは、主に「どこまでの工程を含むか」「誰がどんな体制で作るか」「どの品質基準で仕上げるか」「公開後の対応を含むか」の4つが違うためで、この前提をそろえて比べれば、どの会社が自社の目的に合うかを判断できます。
この記事では、見積もりの差が生まれる4つの理由、Internet Explorerのサポート終了後に変わった対応範囲の考え方、高い見積もり・安い見積もりそれぞれの確認点、公開後の費用を含めた比べ方と制作会社の選び方を解説します。見積書の項目ごとの読み方と項目別の相場は、ホームページ制作の見積書の見方で詳しく解説しています。
見積もりの金額は会社によって大きく違うのが普通
Webサイト制作には定価がなく、同じ依頼でも会社によって数倍の差がつくことは珍しくありません。
Web幹事が、2022年1月〜2023年12月に同サービス経由で発注された新規サイト制作846件を集計した調査では、平均発注額は82.5万円、中央値は43.4万円でした。50万円以下の案件が57%を占める一方、301万円以上の案件も4%あり、発注額の幅が大きいことが分かります。
見積もりの金額は、基本的に作業ごとの「工数(何人が何日かかるか)」と「単価(1人1日あたりの金額)」の掛け算で決まります。会社によって、どの作業を工数に入れるか、1人あたりの単価がいくらかが違うため、同じ依頼でも金額が変わります。その違いは、次の4つに整理できます。
| 違い | 金額が高くなる側 | 金額が安くなる側 | 確認する質問 |
| 1. 工程の範囲 | 調査・設計、原稿作成、撮影、SEO・計測の設定まで含む | テンプレートを使い、原稿・写真は発注側が用意する | この金額にどの工程と成果物が含まれていますか |
| 2. 制作体制 | 専任のディレクター・デザイナー・エンジニアが分担し、進行管理や品質管理の担当もいる | 少人数または1人で担当する、作業を外部に委託する | 実際に設計・制作するのは誰ですか |
| 3. 品質基準 | 確認する端末・ブラウザが多く、表示速度・セキュリティ・アクセシビリティの基準がある | 主要な端末で表示を確認する程度 | どの端末・ブラウザで、何を確認してから公開しますか |
| 4. 公開後の対応 | 公開後のレビュー、保守、改善の提案まで含む | 公開した時点で納品完了。保守は別契約または対応なし | 公開後に必要な作業と費用はいくらですか |
理由1:工程の範囲(調査・設計をどこまで含むか)
見積もりの差が大きくなりやすいのは、完成したページからは見えない調査・設計の工程を、どこまで含むかの違いです。
Webサイトの見た目が同じように見えても、その裏でかけている作業の量は会社によって違います。代表的なのは次の作業です。
- ヒアリングと現状分析(今のサイトのアクセス数・検索順位・問い合わせの経路の確認)
- 競合サイトの調査と、顧客が検索する言葉(キーワード)の調査
- 誰に何を伝えるかを決めるコンセプト設計、サイトマップ、ワイヤーフレーム(ページの骨組み)
- 原稿の作成、取材、写真撮影、図解の作成
- title・description、構造化データ、GA4・Search Consoleなど、検索と計測の設定
- 旧サイトからのデータ移行と、旧URLからの転送(301リダイレクト)
金額を抑えた見積もりでは、デザインのテンプレートを使い回し、調査・設計を簡略化し、原稿や写真を発注側が用意する前提になっていることがよくあります。目的・掲載内容・原稿がすでに社内で決まっている場合や、会社の存在を確認してもらうための名刺代わりのサイトであれば、この進め方で十分なこともあります。
一方、問い合わせや採用応募を増やしたい場合は、誰に何を伝えるか、どの言葉で検索されるか、どこで問い合わせてもらうかの設計が成果を左右します。設計が省かれていると、公開後に「見た目は整ったが問い合わせが増えない」状態になりやすいため、安い見積もりではどの工程が含まれていないかを確認します。
Service
コーポレートサイト制作のご相談はフェニックスデザインへナレッジベースを運営するフェニックスデザインが、今のサイトの数字を見るところから対応します。URLを入れるだけの無料簡易診断から。
理由2:制作体制(誰が作り、どう管理するか)
同じ工程を含んでいても、誰がどんな体制で作るかによって人件費と管理にかかる費用が変わり、見積もりの金額に差が出ます。
| 体制の例 | 金額に影響する点 | 確認すること |
| 大手の制作会社 | 職種ごとの専任者、進行管理・品質管理の担当、社内の審査などの管理費が金額に含まれる | 大規模なサイトや多部署の調整が本当に必要か。小規模な案件で割高になっていないか |
| 中小の制作会社 | 少人数のチームで設計から実装までを担当する。会社ごとに得意分野と含む工程の差が大きい | 自社の目的・業種に近い実績があるか。担当者が最後まで変わらないか |
| フリーランス | 会社の管理費がかからない分、金額を抑えやすい | 1人で対応できる範囲、病気や繁忙期の代わりの体制、公開後の連絡先 |
| 広告代理店・営業会社が窓口 | 実際の制作を別の会社に委託し、窓口の手数料が上乗せされることがある | 実際に設計・制作するのはどこの誰か |
| 海外などへの外部委託が中心 | 人件費の安い地域に作業を委託して金額を抑える | 細かな修正のやりとりと確認の手順、納期の管理方法 |
大手の制作会社の見積もりが中小の制作会社より高くなりやすい理由の一つは、多くの人員を管理するための仕組みや管理者の費用が、1件ごとの制作費に含まれることです。反対に、窓口と実際の制作者が別の会社の場合は、同じ作業でも中間の費用の分だけ金額が上がります。
担当者の経験や専門性によっても単価は変わります。また、見積もりの相談に、実際に設計・制作を担当するディレクターが参加しているかも確認します。営業担当者だけで話を進めると、打ち合わせで「できます」と言われた内容が見積もりに含まれておらず、後から追加費用になることがあります。
理由3:品質基準(何をどこまで確認して公開するか)
同じページ数でも、対応する端末・ブラウザの範囲、表示速度やセキュリティの基準、公開前のテストの量によって工数が変わり、見積もりの金額に差が出ます。
Internet Explorerへの対応は、現在は原則不要
以前は、Internet Explorer(IE)で正しく表示させるための作業が、見積もりを押し上げる要因の一つでした。しかし、Windows 10向けのIE11デスクトップアプリのサポートは2022年6月15日に終了しています。Microsoftは、古いIE向けのシステムを使い続ける企業に対して、Microsoft EdgeのIEモードで開くよう案内しています(Microsoft のライフサイクル情報)。
そのため、一般の企業サイトでIE対応を見積もりに含める必要は、ほとんどありません。見積もりに「IE対応」が入っている場合は、社内システムとの連携など特別な理由があるのかを確認します。
2026年9月時点の日本のブラウザの利用シェアは、Chromeが約53%、Safariが約25%、Edgeが約15%、Firefoxが約3%です(StatCounter、パソコン・スマートフォン・タブレットの合計)。現在の確認の対象は、これらのブラウザの最新版と、iPhone・Androidのスマートフォンが中心です。
品質基準によって変わる作業
| 品質基準 | 確認する内容 | 見積もりで聞くこと |
| 対応端末・ブラウザ | パソコン・スマートフォン・タブレットでの表示、主要なブラウザの最新版での動作 | 確認する端末・ブラウザと画面幅の一覧 |
| 表示速度 | 画像の軽量化、読み込みの順番、Googleの計測ツールでの数値 | 表示速度の目標と、公開前に計測するか |
| セキュリティ | SSL(https化)、CMSのログイン保護、フォームのスパム対策、バックアップ | 公開時に行うセキュリティ対策の内容 |
| アクセシビリティ | 文字の大きさ、色のコントラスト、画像の代替テキスト、キーボードでの操作 | 配慮する項目と、準拠する基準があるか |
| 公開前のテスト | 全ページの表示確認、リンク切れ、フォームの送信と自動返信メール | テストの範囲と、テスト環境で発注側が確認できるか |
官公庁や公共団体のサイトでは、アクセシビリティの基準への対応を求められる場合があり、その分の検証作業が見積もりに加わります。どこまでの品質基準が必要かは、サイトの目的と利用者で決まります。必要のない基準で金額が上がっていないか、必要な基準が抜けていないかの両方を確認します。
理由4:公開後の対応(保守・改善を含むか)
制作費だけを比べると公開後の費用の違いが見えなくなるため、公開後の対応をどこまで含むかも、見積もりの差を生む原因になります。
WordPressなどのCMSで作るサイトは、公開後も本体とプラグインの更新、バックアップ、障害時の対応が必要です。制作費に公開後の一定期間のサポートを含める会社、保守を別の月額契約にする会社、保守を行わない会社があり、どれを選ぶかで制作費の見え方が変わります。
また、「初期費用0円」「制作費を抑えて月額で支払う」といった料金体系では、制作費の一部が月額に含まれています。制作費が安く見えても、最低契約期間、その期間に支払う総額、解約したときにサイトやドメインを使い続けられるかを確認しないと、ほかの見積もりと比べることができません。保守の月額に含まれる作業と含まれない作業はWordPress保守の外注費用と「含まれない作業」で解説しています。
高い見積もり・安い見積もりの確認ポイント
見積もりが高いか安いかは総額だけでは判断できないため、高い見積もりでは「何に工数をかけているか」を、安い見積もりでは「何が含まれていないか」を確認します。
高い見積もりで確認すること
- 調査・設計・原稿作成など、金額を押し上げている工程は何か。自社の目的に必要な工程か
- 自社で用意できる原稿・写真・素材を、制作会社が作る前提になっていないか
- 最初の公開に必要なページと、公開後に追加できるページを分けられないか
- 使う予定のない機能や、目的に関係しない演出が含まれていないか
安い見積もりで確認すること
- ヒアリング、構成案、ワイヤーフレームなどの設計の工程があるか
- 原稿・写真・ロゴは誰が用意する前提か
- デザインと実装の修正は何回まで含まれ、超えた場合はいくらか
- SEO・計測の基本設定(title・description、GA4・Search Console)が含まれるか
- 公開後の更新・保守の方法と費用、修正を頼むときの料金
- サイトのデータやデザインデータの引き渡しの有無、ドメイン・サーバーの契約の名義
見積もりを比べて制作会社を選ぶ手順
見積もりは、依頼する前に目的と条件を文章にまとめ、同じ条件で複数の会社に依頼し、公開後の費用を含めた総額で比べます。
- サイトの目的と成果の指標を決める:問い合わせを増やす、採用応募を増やす、取引先に信頼してもらう、などです。目的が決まると、必要な工程と不要な工程が分かります。
- 自社で用意できるものを整理する:原稿、写真、ロゴ、事例の情報、社内の担当者が使える時間を確認します。用意できない部分は、制作会社に依頼する作業になります。
- 同じ条件を書いた依頼文で3社前後に依頼する:目的、ターゲット、必要なページ、予算の幅、公開希望日をまとめた提案依頼書(RFP)を各社に渡します。書き方は提案依頼書の重要性と作成ポイントをご覧ください。
- 見積もりを同じ表に書き写して比べる:工程・成果物・修正回数・公開後の費用を行にして、各社の見積もりを並べます。項目名が違っても、中身をそろえて比べます。
- 実際に作る担当者と話す:見積もりの説明を、設計・制作を担当するディレクターから受けます。提案が自社の目的から始まっているか、質問に具体的に答えられるかを確認します。
- 公開後を含めた総額で判断する:制作費に、3年間など一定の期間の保守などの月額費用を足して比べます。
6番目の総額の比べ方は、次のようになります(サーバー・ドメインの実費は両社とも同じとして除いています)。
| 例 | 制作費 | 公開後の月額(保守など) | 3年間の総額 |
| A社 | 120万円 | 月1.5万円 | 120万円+54万円=174万円 |
| B社 | 60万円 | 月4万円 | 60万円+144万円=204万円 |
例:上の表では、制作費はB社の方が60万円安いものの、3年間の総額ではA社の方が30万円安くなります。金額だけでなく、月額に含まれる作業(更新の作業時間、改善の提案、障害時の対応)も並べて比べます。
当社の見積もりの考え方
当社は、料金が変わる要因と、その金額に含まれる作業を公開し、見積書には項目ごとの内訳と公開後の費用の目安をあわせて記載しています。
見積もりの金額は、主に「ページ数と構成」「ブランディング設計の深さ」「原稿・写真・図解の用意」「機能と連携」の4つで変わります。内訳を記載しているため、予算に合わせるときに、どこを調整すればよいかが分かります。コーポレートサイト制作の料金の目安は次のとおりです。
| プラン | 料金(税別) | 規模・内容の目安 |
| ライト | 60万円〜 | 5ページ前後。簡易なコンセプト・キャッチコピー設計、WordPress実装、SEO基本設定、GA4・Search Console設定 |
| スタンダード | 120万円〜 | 10ページ前後。ブランディング設計書、サービス別ページ・事例・FAQ、構造化データ・表示速度の最適化、公開30日後のレビュー |
| ブランディング | 200万円〜 | 15ページ以上。ブランドワークショップ・競合調査・ペルソナ設計、公開後3か月の改善伴走 |
写真撮影、原稿作成、サーバー・ドメイン費用は別途お見積りです。公開後は、サーバー(月額1,000〜3,000円程度)とドメイン(年額1,500〜5,000円程度)の実費のほか、任意でサイト保守(月額20,000円〜)をご契約いただけます。
ヒアリングから公開後のレビューまでは少人数の社内チームが一貫して担当し、各工程の終わりに成果物を確認いただいてから次に進みます。お見積りは、30分の無料相談、2〜3日の現状確認・構成案の作成を経て、通常1週間以内に内訳つきでお出しします。相見積もり中でも構いません。料金の全体は料金プランに掲載しています。
よくあるご質問
見積もりは何社から取ればよいですか?
3社前後が目安です。1社だけでは金額と内容が妥当か判断できず、多すぎると説明を聞いて比べる手間が大きくなります。各社に同じ条件を書いた依頼文を渡すと、比べやすい見積もりが集まります。
一番安い見積もりを選んでも問題ありませんか?
目的に必要な工程がそろっていれば問題ありません。安い理由が、テンプレートの活用や自社で原稿を用意する前提など、納得できるものかを確認します。設計や計測の設定、公開後の保守が含まれていない場合は、その分を自社で行うか、別に費用がかかることを踏まえて判断します。
今でもInternet Explorerへの対応は必要ですか?
一般の企業サイトでは、ほぼ不要です。Windows 10向けのIE11デスクトップアプリのサポートは2022年6月15日に終了しています。現在は、Chrome・Safari・Edge・Firefoxの最新版と、iPhone・Androidのスマートフォンでの表示を確認するのが一般的です。
大手と中小の制作会社では、何が違いますか?
主な違いは体制と管理の費用です。大手は職種ごとの専任者や管理の仕組みがあり、大規模なサイトや多くの部署の調整が必要な案件に向いていますが、その分の費用が金額に含まれます。中小は少人数で設計から実装まで担当することが多く、会社ごとに得意分野の差が大きいため、自社の目的に近い実績があるかを確認します。
見積もりを依頼する前に準備しておくものは何ですか?
サイトの目的、ターゲット、必要と考えるページ、予算の幅、公開希望日、自社で用意できる原稿・写真の範囲をまとめておきます。今のサイトがある場合は、アクセス数や問い合わせ件数など分かる範囲の数字もあると、制作会社が必要な工程を判断しやすくなります。
まとめ
Webサイト制作の見積もりが会社ごとに違うのは、工程の範囲、制作体制、品質基準、公開後の対応の4つが違うためです。要点は次のとおりです。
- 見積もりの金額は工数と単価で決まり、会社によって数倍の差がつくのは珍しくない
- 安い見積もりでは、調査・設計、原稿・写真、SEO・計測の設定、保守のうち何が含まれていないかを確認する
- IE11のサポートは2022年6月15日に終了しており、一般の企業サイトでIE対応を見積もりに含める必要はほとんどない
- 同じ条件を書いた依頼文で3社前後に依頼し、見積もりを同じ表に書き写して比べる
- 制作費だけでなく、公開後の月額を含めた3年間などの総額で判断する
当社の見積もりの内訳や、他社の見積もりとの比べ方について相談したい場合は、無料相談からお問い合わせください。目的と現状を伺い、内訳つきのお見積りと公開後の費用の目安をお出しします。
関連記事:Web制作会社の選び方と依頼前の準備/コーポレートサイトの制作費用の相場/コーポレートサイト制作の期間とスケジュール