コーポレートサイト制作

ホームページリニューアルの稟議書の書き方|項目テンプレートと費用対効果の示し方

公開 読了 約16分

ホームページのリニューアルを社内で進めるには、稟議書(社内企画書)で「なぜ今、いくらかけて、何が良くなるのか」を決裁者に説明する必要があります。ところが、制作会社の見積書をそのまま添付しただけでは、「本当に今必要なのか」「その金額は妥当か」「効果が出なかったらどうするのか」と差し戻されることが少なくありません。

リニューアルの稟議書は、目的・現状の課題・施策・費用・期間・効果の見込み・リスク・比較した選択肢の8項目を1枚にまとめ、効果は「問い合わせ1件の価値 × 増える件数」で金額に直して示すと、決裁者が判断しやすくなります。

この記事では、稟議書の項目テンプレートと記入例、費用対効果の計算式と試算の表、決裁者がよく聞くことへの答え方、リスクと選択肢の書き方、診断レポートを根拠資料に使う方法を、発注する側の視点で解説します。

稟議書で決裁者が確認したいこと

決裁者が稟議書で確認したいのは、デザインの良し悪しではなく「投資する理由」「金額の妥当性」「失敗したときの影響」の3点です。

  • 投資する理由:今のサイトで何が起きていて、放置すると何を失い続けるのか
  • 金額の妥当性:何にいくらかかるのか、ほかの方法より良いのか、公開後にいくらかかり続けるのか
  • 失敗したときの影響:効果が出ない、公開が遅れる、検索からの流入が減るといったリスクと、その対策

担当者が書きがちなのは「デザインが古い」「スマートフォンで見づらい」といった見た目の話ですが、決裁者にとっての判断材料は、売上・採用・取引先からの信頼にどう関わるかです。見た目の問題も「スマートフォンからの問い合わせがほとんどない」のように、事業の数字に結び付けて書きます。

稟議書の項目テンプレートと記入例

稟議書には次の8項目を、この順番で書きます。先に目的と課題を示し、費用はその後に出すと、金額だけで判断されにくくなります。

項目書くこと記入例(例:従業員60名の部品メーカー)
1. 目的サイトで増やしたい成果を1つに絞って書く例:ホームページ経由の見積もり依頼を増やし、新規取引先の開拓につなげる
2. 現状の課題GA4・Search Console の数字と、営業・採用担当者の声。数字には期間と出どころを付ける例:直近12か月の問い合わせは月平均1.5件(GA4・問い合わせ記録)。製品名での検索ではほとんど表示されていない(Search Console)。スマートフォンでは製品一覧の表が崩れる。営業担当者は「サイトを見て連絡してきた新規客はほとんどいない」と回答
3. 施策何を作り、何を直すか。課題と1対1で対応させる例:製品別ページと加工事例ページの新設、図面を添付できる見積もりフォーム、スマートフォン対応、検索と計測の設定
4. 費用制作費・公開後の月額と年額・社内の作業時間を分けて書く例:制作費150万円(税別)、保守 月3万円(税別)、サーバー・ドメイン 年3万円程度、社内の作業 担当者1名で月10時間程度
5. 期間制作期間、社内確認の期間、公開希望日とその理由例:12月に発注し、翌年4月に公開(5月の展示会の前に公開するため)。制作3.5か月と社内確認を含む
6. 効果の見込み計算式と前提の数字、確認する指標と確認する時期例:問い合わせを月1.5件から月3件へ。1件の価値18万円(粗利で計算)として、年間324万円の粗利の増加を見込む。公開3か月後と6か月後に確認
7. リスクと対策起こりうることと、事前に打つ対策例:公開直後の検索順位の変動 → 旧URLからの転送と公開後1か月の監視。原稿の遅れ → 担当と締切を設計の段階で決める
8. 比較した選択肢何もしない・部分改修・全面リニューアル、依頼先の比較例:部分改修(50万円)では製品ページの不足を解消できないため、全面リニューアルを選ぶ。3社の見積もりを同じ条件で比べ、内訳と公開後の費用からB社を推薦する

1枚目にこの8項目の要約を置き、2枚目以降に見積書、相見積もりの比較表、現状の数字の資料を添付すると、決裁者は1枚目だけで判断の骨格をつかめます。書くときは、次の点に気を付けます。

  • 専門用語は言い換える:「CV」は「問い合わせ」、「CTA」は「問い合わせボタン」、「SEO」は「検索で見つけてもらうための対策」
  • 確認した事実と見込みを分けて書く:「〜と思われる」で事実と見込みを混ぜない
  • 役割を書く:社内の窓口、原稿の事実確認をする人、最終的に承認する人、制作会社の担当者
  • 名義を書く:ドメイン・サーバー・管理画面のアカウントを自社名義で持つこと

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費用対効果は「問い合わせ1件の価値」で示す

費用対効果は、問い合わせ1件がどれだけの粗利につながるかを先に計算し、それに増える件数を掛けて金額にすると、投資額とそのまま比べられる形になります。

計算するもの計算式例
問い合わせ1件の価値平均受注額 × 粗利率 × 受注率例:300万円 × 30% × 20% = 18万円
年間の効果見込み増える問い合わせ件数(月) × 12か月 × 1件の価値例:1.5件 × 12 × 18万円 = 324万円
初年度の投資額制作費 + 公開後の費用(12か月分)例:150万円 + 39万円(保守36万円・サーバーとドメイン3万円) = 189万円
投資回収の目安初年度の投資額 ÷(増える件数(月) × 1件の価値)例:189万円 ÷ 27万円 = 約7か月
5年間の総額制作費 + 公開後の費用(年額) × 5年例:150万円 + 39万円 × 5 = 345万円

売上ではなく粗利で計算するのは、売上で計算すると効果を大きく見せすぎてしまい、決裁者の信頼を失いやすいためです。取引が何年も続く業種では、平均受注額の代わりに「1社あたりの年間取引額 × 平均の取引年数」を使います。

見込みは1つの数字にせず、控えめ・標準・積極の3つを並べます。上の例で計算すると次のようになります。

シナリオ増える問い合わせ(月)年間の効果(粗利)投資回収の目安
控えめ0.5件108万円約21か月
標準1.5件324万円約7か月
積極3件648万円約3.5か月

例:「控えめのシナリオでも2年以内に回収できる」と示せれば、決裁者は最悪の場合を含めて判断できます。数字はすべて例です。自社の受注率や粗利率は営業・経理の担当者に確認し、前提として稟議書に書いておきます。

問い合わせ以外の効果は、無理に金額にせず「確認する指標」として書きます。

  • 採用:サイト経由の応募数、採用1人あたりにかかった求人媒体の費用
  • 営業:見積もりに必要な情報(図面・数量・納期)が最初の問い合わせでそろう割合
  • 信頼:社名での検索数、商談の場で「サイトを見た」と言われた件数

GA4 で問い合わせ完了などをキーイベントとして計測しておくと、公開の前後を同じ指標で比べられます。現状を計測していない場合は、メールや問い合わせの記録から過去12か月の件数を数え、「計測は公開時に整える」と書いておきます。

決裁者がよく聞くことと答え方

決裁者の質問は「なぜ今か」「なぜこの金額か」「効果が出なかったら」「社内の負担は」「公開後にいくらかかるか」にほぼ集約されるので、稟議書を出す前に答えと根拠資料を用意しておきます。

よく聞かれること答え方用意する根拠資料
なぜ今やる必要があるのか放置した場合に続く損失(問い合わせの機会、採用、セキュリティ)と、公開したい時期から逆算した着手時期を示す現状の数字、展示会や採用活動の予定、CMS・プラグインの更新状況
この金額は妥当か何にいくらかかるかの内訳と、同じ条件でそろえた複数社の比較を示す内訳つきの見積書、相見積もりの比較表
もっと安くできないか範囲を変えた案(ページを絞る、原稿の一部を自社で用意する、段階的に作る)と、削った場合に失うものを示す範囲別の見積もり
効果が出なかったらどうするのか確認する指標と時期、届かなかったときの改善の手順と予算を示す指標と確認時期の表、公開後の改善計画
社内の負担はどのくらいか担当者の作業(打ち合わせ、原稿の事実確認、写真の用意、テスト環境での確認)と時間の見込みを示す制作会社の工程表
公開後にいくらかかるのか保守・サーバー・ドメイン・改善の費用を、月額・年額・5年総額で示す公開後の費用の見積もり
経費として処理できるのか一般的な扱いを示したうえで、経理・顧問税理士に確認した結果を書く費用の種類ごとに分けた見積書

公開後にかかる費用の項目と金額はホームページの維持費(年間)の内訳と試算、会計処理の考え方はホームページ制作費の勘定科目と耐用年数で解説しています。個別の処理は顧問税理士に確認してください。

リスクと比較した選択肢の書き方

リスクは隠さずに起こりうることと対策をセットで書き、選択肢は「何もしない」を含めて並べると、決裁者は推薦案をほかの案と比べて選べます。

リスクの書き方

リスク起きる理由対策
検索からの流入が一時的に減るURLが変わり、Googleが新しいURLを認識するまで時間がかかる旧URLから新URLへの301リダイレクトを設定し、公開後1か月は Search Console で確認する
公開が遅れる原稿・写真がそろわない、社内の確認が長引く原稿の担当と締切を設計の段階で決め、確認する人を絞る
追加費用が発生する合意した後に構成やページを変える工程ごとに成果物を確認・承認し、見積もりに含まれない作業を書面で確認する
効果が見込みに届かない目的と導線の設計が不十分、公開後に改善しない指標と確認時期を決め、公開後の改善の予算をあらかじめ確保する
管理情報が分からなくなるドメイン・サーバー・管理画面の名義やアカウントが担当者個人や制作会社にある名義を自社にし、アカウントを台帳で管理する

Google は、URL の変更を伴うサイト移転では再クロールの間に掲載順位が変動することがあり、リダイレクトは一般に少なくとも1年は残すよう案内しています(Google 検索セントラル:URL の変更を伴うサイト移転)。稟議書には「一時的な変動はありうる」と書いたうえで、対策と確認の手順を示します。

比較した選択肢の書き方

選択肢費用の考え方向いている状況稟議書での書き方の例
何もしない追加の費用はかからない問い合わせが来ていて、情報が新しく、社内で更新できている例:現状のままでは問い合わせは月1.5件のまま。CMSの更新が止まっている点も残る
部分改修直すページと機能の分だけ課題が特定のページや導線に限られている例:フォームと製品一覧だけを直す案は50万円。ただし製品別ページの不足は解消しない
全面リニューアル設計からやり直すため最も大きい事業内容とサイトが合っていない、スマートフォンに対応していない、社内で更新できない例:推薦案。課題の4つすべてに対応できる
月額の運用改善制作費をかけず、毎月の費用で直していく土台は使えるが、数字を見て直す人がいない例:スマートフォン非対応という土台の問題が大きいため今回は見送り、公開後に検討する

依頼先を比べるときは、ページ数・原稿・写真・修正回数・公開後の費用といった前提条件をそろえてから見積もりを並べます。全面刷新か部分改修かの判断基準と、見積書の項目の読み方は、記事末尾の関連記事で解説しています。

診断レポートを稟議の根拠資料に使う方法

稟議で通りにくいのは「担当者の感覚」に基づく提案なので、第三者が数字で現状を診断した資料を添付すると、「なぜ今か」「何から直すか」の根拠になります。

当社の SEO・AI検索 診断レポート(20万円・税別、納期2週間)は、全ページの巡回、GA4・Search Console の分析、AI検索での回答の検証、競合比較を行い、8カテゴリの点数と優先順位付きの改善ロードマップを PDF と報告会(60分)でお渡しするものです。他社が制作・保守しているサイトも対象です。レポートの内容は、稟議書の項目に次のように対応します。

稟議書の項目使えるレポートの内容
現状の課題エグゼクティブサマリー(総合スコアと8カテゴリの点数)、表示速度・AI検索での表示状況の計測結果
なぜ今か(放置した場合のリスク)重大な課題トップ5(放置すると機会損失が続くもの。重大度と影響範囲つき)
施策と効果の見込み重点施策の提案(効果の大きい順に3〜6件。現状・提案内容・期待できる効果)
期間と段階的な予算改善ロードマップ(すぐ対応/1〜3か月/中長期に分けた表)
比較した選択肢指摘ごとに分けた「自社でできること」と「依頼した方がよいこと」

使い方は次の順番です。

  1. 無料簡易診断(URLを入れるだけ・0円)で、トップページと主要ページの点数と「まず直したい3つ」を確認する
  2. 全体を数字で確かめる必要があれば、リニューアル本体の稟議の前に、調査費として診断レポートの決裁を取る
  3. 報告会で「直すだけで済むのか、作り直しが必要なのか」を確認する
  4. レポートの点数・重大な課題・ロードマップを稟議書の「現状の課題」「施策」「期間」に書き写し、レポートを添付する
  5. 公開後の効果の確認では、レポートで点数を付けた項目を同じ基準で比べる

診断レポートは1回限りの料金で完結し、月額プランや制作の契約は必須ではありません。報告会のあとに、自社で直す、月次の運用改善(月8万円〜)、部分改修・リニューアル(10万円〜)から選べるため、「作り直すかどうか」を決める前の段階で使えます。架空の製造業A社を例にしたサンプル(29ページ)と、料金表と制作ガイドをまとめた資料(社内の検討・稟議にそのまま使える形式)は、資料ダウンロードから無料で入手できます。

稟議書を出す前のチェックリスト

提出する前に、次の10項目がすべて埋まっているかを確認すると、差し戻しを減らせます。

確認すること確認の目安
目的1つに絞られ、確認する指標と目標値が書かれている
現状の数字期間と出どころ(GA4・Search Console・問い合わせ記録)が書かれている
施策課題と対応している(課題のない施策、施策のない課題がない)
費用制作費、公開後の月額・年額、社内の作業時間に分かれている
効果の見込み計算式と前提(受注率・粗利率)があり、3つのシナリオで示している
期間公開希望日とその理由、社内確認の期間が入っている
リスク起こりうることと対策がセットで書かれている
選択肢何もしない場合を含めて比べ、推薦する理由が書かれている
添付資料見積書、相見積もりの比較表、現状の資料がそろっている
名義と会計処理ドメイン・サーバーを自社名義にすること、会計処理を経理・税理士に確認したことが書かれている

当社の料金と期間(費用欄の参考)

当社のコーポレートサイト制作は、5ページ前後のライト60万円〜、10ページ前後のスタンダード120万円〜、15ページ以上のブランディング200万円〜(いずれも税別)で、スタンダードの場合はヒアリングから公開まで2.5〜4か月が標準です。

写真撮影やサーバー・ドメイン費用などは別途お見積りです。公開後は、サーバー(月額1,000〜3,000円程度)とドメイン(年額1,500〜5,000円程度)の実費のほか、任意でサイト保守(月額2万円〜)と運用改善(月額8万円〜)がかかります。お見積りは、30分の無料相談、2〜3日の現状確認・構成案の作成を経て、通常1週間以内に内訳つきでお出しし、公開後の費用の目安もあわせてお伝えします。支払いは契約時50%・公開時50%が標準です。相見積もり中でも構いません。プランごとの内容はコーポレートサイト制作のページに掲載しています。

よくあるご質問

稟議書と企画書は何が違いますか?

企画書はリニューアルの中身(目的・構成・進め方)を説明する資料で、稟議書はその実施と支出について社内の承認を得るための文書です。書式は会社によって違いますが、この記事の8項目を企画書にまとめ、稟議書には要約・金額・支払い時期・発注先を書いて企画書を添付する形にすると、両方を一度に用意できます。

見積もりは何社から取ればよいですか?

3社前後が目安です。比べた選択肢として示すためには複数社が必要ですが、多すぎると説明を聞いて比べる手間が大きくなります。各社に同じ条件(目的・ページ数・原稿と写真の担当・公開希望日)を渡し、返ってきた見積もりを1つの表に書き写して比べます。

受注率などの数字が社内にない場合はどうすればよいですか?

過去1〜2年の問い合わせと受注の記録から、おおよその受注率と平均受注額を出します。記録が少ない場合は、営業担当者の見立てを「仮の前提」と明記して使い、控えめなシナリオを中心に判断してもらいます。公開後に実際の数字で見直すことも稟議書に書いておきます。

予算が通らなかった場合はどうすればよいですか?

範囲を分けて段階的に進める案に組み直します。たとえば、1期目は製品ページと問い合わせフォーム、2期目に事例と採用ページ、というように効果の大きいところから進めます。診断レポートの改善ロードマップ(すぐ対応/1〜3か月/中長期)は、分け方の根拠として使えます。

補助金を使う場合、稟議書に何を書けばよいですか?

制度名、補助率と上限、交付決定の時期を書き、交付決定より前に発注・契約しないことをスケジュールに反映します。補助金は事業が終わって報告したあとに支払われるのが一般的なため、いったん全額を支払う資金計画も書いておきます。条件は公募回ごとに変わるので、最新の公募要領で確認してください。

まとめ

ホームページリニューアルの稟議書の要点は次のとおりです。

  • 目的・現状の課題・施策・費用・期間・効果の見込み・リスク・比較した選択肢の8項目を、この順番で1枚にまとめる
  • 費用対効果は「平均受注額 × 粗利率 × 受注率」で問い合わせ1件の価値を出し、増える件数を掛けて金額にする
  • 見込みは控えめ・標準・積極の3つで示し、投資回収の目安と5年間の総額を添える
  • 決裁者の質問(なぜ今か・なぜこの金額か・効果が出なかったら・社内の負担・公開後の費用)に答える根拠資料を用意する
  • リスクは対策とセットで書き、「何もしない」を含めた選択肢を比べる

稟議の根拠になる現状の数字や、直す優先順位を第三者の資料でそろえたい場合は、SEO・AI検索 診断レポートをご利用ください。全ページの巡回と GA4・Search Console の分析をもとに、8カテゴリの点数と改善ロードマップを2週間でお渡しします。

関連記事:ホームページリニューアルの費用相場と内訳/コーポレートサイトのリニューアルの進め方/ホームページ制作の見積書の見方

フェニックスデザイン株式会社WEB制作会社が運営するナレッジベース編集部

コーポレートサイト・採用サイト・サービスサイトの制作と、公開後の運用保守・集客改善の現場で得た知見をもとに、発注する側の視点で記事を制作・更新しています。運営会社の所在地・事業内容は会社案内、制作の考え方はブランディング×マーケティング論をご覧ください。

この記事は 2026年10月26日 に公開し、2026年10月26日 に内容を確認・更新しました。