オウンドメディアを始めたものの、何を書けば問い合わせにつながるのか分からないまま数本で更新が止まった、あるいは記事は増えたが検索から読まれていない――こうした状態の多くは、記事を書き始める前の戦略設計が抜けていることが原因です。
オウンドメディアは、「目的と測る数字」「読者と検索キーワード」「記事群の設計」「体制と公開計画」を先に決めてから記事を作り、公開後は記事ごとの数字を見て書き直すという順番で進めると、少ない本数でも問い合わせにつながります。
この記事では、立ち上げ前に決める前提、作り方の8つのステップ(コラム記事を1本作る手順を含む)、問い合わせを増やすための戦略、続けるための戦略を、当社が自社メディアの運営で使っている進め方をもとに解説します。オウンドメディアの意味や目的はオウンドメディアとはで解説しています。
オウンドメディアの戦略とは:誰に何を読ませ、どのページへ送るかの設計
オウンドメディアの戦略とは、誰に向けて、どの検索キーワードで、どんな記事を、どの順番で作り、読んだ人をどのページへ送るかを、記事を書く前に決めておく設計図のことです。
戦略がないまま記事を書き始めると、思いついたテーマの記事が並ぶだけで、記事同士のつながりも、サービスページへの導線もできません。戦略として決めておく項目は次のとおりです。
| 決める項目 | 内容 | まとめる資料の例 |
| 目的と数字 | 何のために運営し、どの数字で成果を判断するか | 最終目標(KGI)と中間指標(KPI)の一覧 |
| 読者 | どんな立場の人が、どんな課題を持って検索するか | ペルソナ、検討段階ごとの疑問 |
| キーワードと記事群 | どの検索キーワードに、どの記事で答えるか | キーワードマップ(テーマ別・優先順位・案内するページ) |
| 置き場所と仕組み | どこに置き、どのCMSで運営するか | サイト構成、カテゴリ設計 |
| 体制と計画 | 誰が何を担当し、どの頻度で公開するか | 役割分担表、編集カレンダー、制作ルール |
| 計測と改善 | いつ、何を見て、どう直すか | 月次レポートの項目、書き直しの基準 |
立ち上げ前に決める3つの前提
記事の計画に入る前に、成果が出るまでの期間、運営の体制、自社だけが書ける情報の3つを決めておくと、途中で止まりにくくなります。
成果が出るまでの期間を見込んでおく
オウンドメディアは、広告と違って読者に見つけてもらうまでに時間がかかります。当社の経験では、1つのテーマにつき8〜12本の記事をそろえるとテーマ全体での順位が安定しやすく、月4本のペースで3か月程度が1つの目安です。社内で予算を確保するときは、最初の数か月は成果が小さいことを前提に、半年〜1年の計画として説明しておきましょう。
運営の体制を決める
| 体制 | 向いている会社 | 注意点 |
| すべて社内で運営 | 書ける人材と時間があり、専門知識も社内にある | 担当者の通常業務が忙しくなると更新が止まりやすい |
| 企画・確認は社内、制作は外部 | 専門知識は社内にあるが、書く時間がない | 自社の事例や数字を外部に渡す仕組みと、確認の担当者が必要 |
| 企画から制作・計測まで外部 | 立ち上げのノウハウがなく、早く形にしたい | 自社の一次情報が入らない記事にならないよう、取材と事実確認の時間を確保する |
どの体制でも、テーマを決める人、自社の情報を提供する人、公開前に事実を確認する人は社内に必要です。
自社だけが書ける情報を洗い出す
検索結果の上位にある記事と同じ一般論を書いても、選ばれる理由になりません。自社の事例、これまでに扱った案件の数字、現場で使っている判断基準、営業がお客様からよく受ける質問など、自社だけが持つ情報を最初に洗い出しておきます。Googleも、独自の情報や分析があるか、専門性が示されているかを、コンテンツを評価する観点として示しています(Google検索セントラル:有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成)。
Service
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オウンドメディアの作り方:8つのステップ
オウンドメディアは、目的の設定から公開後の改善までを、次の8つのステップで作ります。
- 目的と目標の数字を決める
- 市場と競合を調べる
- 読者(ペルソナ)と検討段階を決める
- キーワードマップと記事群を設計する
- コンセプト・カテゴリ・置き場所を決める
- 体制・編集カレンダー・制作ルールを決める
- 記事を作って公開する
- 公開後に計測し、書き直す
ステップ1:目的と目標の数字を決める
「問い合わせを増やす」「採用の応募を増やす」など主な目的を決め、期限と数値をつけた目標にします。目標は、期限(いつまでに)、具体的な数字(何をどれだけ)、達成できる水準かの3点で確認します。最終的な目標(KGI。例:記事を経由した問い合わせ月5件)と、そこに至る中間の指標(KPI。例:対策キーワードでの表示回数、記事からサービスページへの遷移数)を分けて設定すると、途中の進み具合を判断できます。指標の考え方はオウンドメディアのPV数の目安と伸ばし方も参考にしてください。
ステップ2:市場と競合を調べる
自社が扱うテーマで、どの会社やメディアが検索の上位にいるかを調べます。狙うキーワードで検索し、少なくとも上位10件程度の記事を読んで、どんな疑問に答えているか、何が足りないかを書き出します。そのまま真似るのではなく、自社の経験や数字で上回れるところと、競合が扱っていない疑問を探すことが目的です。
ステップ3:読者(ペルソナ)と検討段階を決める
記事を読んでほしい人の立場(業種・役職・会社の規模)、抱えている課題、情報を調べる場面を具体的に決めます。そのうえで、読者が課題に気づいてから発注するまでの検討段階ごとに、どんな言葉で検索するかを整理します。
| 検討段階 | 読者の状態 | 検索キーワードの例 | 記事の型 |
| 知る(情報収集) | 課題に気づき、基本を調べている | 「○○とは」「○○ 必要性」 | 定義・目的・メリットの解説 |
| 比べる(比較・検討) | 方法や依頼先を比べている | 「○○ 費用 相場」「○○ 選び方」 | 費用、選び方、比較表、事例 |
| 決める(依頼・購入) | 依頼先を絞り込んでいる | 「○○ 制作会社 地域名」「社名+評判」 | サービスページ、料金、導入事例 |
| 使う(導入後) | 導入後の運用で困っている | 「○○ 効果が出ない」「○○ 運用方法」 | 原因と改善、運用の手順 |
情報収集の段階のキーワードは検索する人が多い一方ですぐには問い合わせにつながりにくく、比較・検討の段階のキーワードは検索する人が少なくても問い合わせに近い、という違いがあります。
ステップ4:キーワードマップと記事群(クラスター)を設計する
キーワードマップとは、テーマごとに対策するキーワード、記事の役割、優先順位、記事から案内するページを一覧にしたものです。1本ずつ思いつきで書くのではなく、テーマごとの記事群(クラスター)として設計し、記事同士を内部リンクでつなげます。たとえば当社が「採用サイト制作」のテーマで設計している記事群は、次のような構成です。
| 検討段階 | 記事のテーマ | 対策キーワード |
| 知る | 採用サイトとは・必要性 | 採用サイト 必要性 |
| 知る | 費用の相場 | 採用サイト 制作費用 |
| 知る | 事例・参考サイト | 採用サイト 事例 |
| 比べる | 必須コンテンツ | 採用サイト コンテンツ |
| 比べる | 制作会社の選び方 | 採用サイト 制作会社 |
| 比べる | 自作とプロの違い | 採用サイト 自作 |
| 使う | 応募が来ない原因 | 採用サイト 応募 来ない |
| 使う | 効果測定の方法 | 採用サイト 効果測定 |
すべての記事から、最終的にサービスページ(この例では採用サイト制作のページ)へ案内するように設計します。キーワードの候補は、Search Consoleで自社サイトが表示されている検索語句、Google広告のキーワードプランナー、検索窓に出る検索候補(サジェスト)、営業や問い合わせで実際に受けた質問から集めます。
ステップ5:コンセプト・カテゴリ・置き場所を決める
メディアのコンセプト(誰に、どんな情報を届けるメディアか)を一文で決め、記事を分類するカテゴリを、ステップ4のテーマに合わせて作ります。テーマを途中で大きく変えると記事の統一感が失われ、作り直しが必要になるため、最初によく検討します。置き場所は、記事からサービスページへ送ることが目的なら、自社サイトの中(例:/column/)に置くと導線を作りやすく、運営の手間も抑えられます。CMSは更新のしやすさと拡張性からWordPressが使われることが多く、記事ごとにタイトルや説明文、構造化データを設定できるようにしておきます。
ステップ6:体制・編集カレンダー・制作ルールを決める
役割分担、公開の予定、記事の書き方のルールを決めます。
- 役割:全体の責任者(テーマと優先順位を決める)、編集者(構成と原稿の確認)、執筆者、図やアイキャッチ画像の作成者、事実確認の担当者、数字を見て改善を決める担当者
- 編集カレンダー:記事ごとに、構成案・初稿・確認・公開の日付を決めます。社内の確認に時間がかかることを見込み、余裕を持たせます。
- 制作ルール:表記の統一、出典の書き方、社名や数字を出す基準、公開前の確認の流れ(誰が何を確認するか)
スケジュールの管理は、表計算ソフトやタスク管理ツールなど、社内で使い慣れたもので十分です。
ステップ7:記事を作って公開する(コラム記事の作り方)
1本のコラム記事は、次の順番で作ります。
- キーワードと検索意図を確認する:対策キーワードで検索し、上位の記事や検索候補から、読者が何を知りたいかを確かめます。たとえば「工場 暑さ対策」で調べる人には、すぐにできる対策を知りたい人と、設備の導入を比べたい人がいます。どちらに答える記事かを決めます。
- 構成案を作る:タイトル、見出し、各見出しで答えること、使う自社の情報、記事の最後に案内するページを決めます。構成案の段階で社内の確認を取ると、書き直しが減ります(記事構成の作り方)。
- 執筆する:各見出しの最初に結論を書き、手順は番号付きのリスト、比較は表にします。自社の事例や数字、判断基準を入れます。
- 校正と事実確認をする:誤字脱字だけでなく、数字や制度の情報が正しいか、会社として出してよい内容かを確認します。
- 入稿して公開する:タイトルと説明文、見出し、画像の代替テキスト、関連記事やサービスページへの内部リンクを設定して公開します。
生成AIを調査や下書きの補助に使うこともできますが、Googleのスパムに関するポリシーでは、作り方を問わず、読者への価値を加えずに検索順位の操作を主な目的として大量のページを作る行為を「大量生成されたコンテンツの不正使用」としています(Google検索セントラル:スパムに関するポリシー)。自社の情報の取材と事実確認は、人が行う工程として残しましょう。
ステップ8:公開後に計測し、書き直す
公開して終わりにせず、1か月・3か月・半年といった区切りで、記事ごとに次の数字を確認します。
- Search Console:記事ごとの表示回数、クリック数、平均掲載順位、表示されている検索語句
- GA4:記事からサービスページへの遷移数、資料ダウンロードや問い合わせの件数
- ヒートマップツール:記事のどこで読むのをやめているか
表示はされているのにクリックが少ない記事はタイトルと説明文を、順位が上がらない記事は内容の不足を、読まれているのに問い合わせにつながらない記事は案内の位置と内容を見直します。同じテーマの記事が重なってきたら、統合して1本にまとめます。当社が自社メディアで行った棚卸しの手順は古い記事のリライト・統合の進め方で紹介しています。
問い合わせを増やすための戦略
記事から問い合わせを増やすには、読者の検討段階に合った「次の一歩」を記事の中に用意し、サービスページまでの道筋を途切れさせないことが必要です。
記事を読んだ直後に問い合わせる人は多くありません。いきなり問い合わせることをためらう人のために、資料ダウンロード、無料の診断、導入事例、メールマガジンなど、気軽に選べる行動を用意します。行動を促すボタンやリンク(CTA)は、記事の最後だけでなく、関連する説明の直後にも置きます。
| 記事の型 | 読者の状態 | 置くCTAの例 |
| 「とは」「必要性」の解説 | 基本を調べ始めた | 関連する詳しい記事、チェックリストの資料ダウンロード |
| 費用・選び方・比較 | 依頼先を比べている | 料金ページ、制作の流れ、導入事例 |
| 事例・導入の流れ | 依頼を具体的に検討している | 無料相談、見積もりの依頼 |
| 運用の悩み・改善 | 今のやり方で困っている | 無料診断、改善サービスのページ |
CTAの文言は「詳しくはこちら」ではなく、「料金表をダウンロードする」「自社サイトを無料で診断する」のように、押した後に何が起きるかが分かる言葉にします。
続けるための戦略
オウンドメディアを続けるためには、小さな成果を早めに出せるキーワードから始め、目標と予定を見える形にし、社内から記事の材料が集まる仕組みを作ることが有効です。
- 競合の少ないキーワードから始める:強い競合が上位を占めるキーワードは、成果が出るまで時間がかかります。最初は、検索する人は少なくても自社の専門性が生きる具体的なキーワードから始め、成果を確認しながら範囲を広げます。
- 目標と予定を見える形にする:「3か月で採用サイトのテーマの記事を8本そろえる」のように、本数と期限を決めて共有します。
- 社内から材料が集まる仕組みを作る:営業がよく受ける質問、現場で起きた事例、社内で話題になった改善を、記事の候補として集める場所を決めておきます。
- 数字を定期的に共有する:月に1回、記事別の表示回数や問い合わせへの貢献を関係者に共有すると、社内の協力を得やすくなります。
よくあるご質問
オウンドメディアは何本くらい記事があれば成果が出ますか?
対策するキーワードの競合状況によりますが、1つのテーマにつき8〜12本の記事に役割を持たせてそろえると、テーマ全体での順位が安定しやすくなります。本数を増やすことより、テーマごとに必要な記事を設計してそろえることが大切です。
記事は社内で書くべきですか、外部に依頼すべきですか?
テーマの決定、自社の事例や数字の提供、事実確認は社内で行い、キーワード調査、構成、執筆、入稿は外部に任せる分担が、少人数の会社では現実的です。外部に依頼する場合も、自社の一次情報を取材して記事に入れてもらえるかを確認しましょう。
コーポレートサイトの中に作るべきですか、別のサイトにすべきですか?
記事を読んだ人をサービスページや問い合わせに送ることが目的なら、自社サイトの中に置くほうが導線を作りやすく、管理も1つにまとまります。自社の商品から離れた幅広い話題で読者を集めるブランドメディアなら、別のサイトにする選択肢もあります。
生成AIで記事を作ってもよいですか?
調査や下書きの補助として使うことはできます。ただし、AIが書いた一般論だけでは他の記事との違いが生まれず、価値を加えない大量生成はGoogleのポリシー違反になり得ます。自社の事例や数字、判断基準を取材して入れ、公開前に人が事実を確認しましょう。
まとめ
オウンドメディアの成果は、記事を書く前の戦略設計と、公開後の書き直しで決まります。
- 戦略とは、誰に、どのキーワードで、どの記事を作り、どのページへ送るかを、書く前に決める設計図
- 立ち上げ前に、成果が出るまでの期間、運営体制、自社だけが書ける情報を決めておく
- 作り方は、目的と数字 → 市場と競合 → 読者と検討段階 → キーワードマップ → 置き場所 → 体制とルール → 記事制作 → 計測と書き直し の8ステップ
- 問い合わせを増やすには、検討段階に合った次の一歩(CTA)を記事の中に用意する
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