コーポレートサイト制作

多言語サイト制作の進め方:英語ページの作り方・翻訳の品質・URL設計と費用

公開 更新 読了 約16分

海外の取引先から問い合わせを受けたい、展示会で知り合った海外の担当者に会社を確かめてもらいたい、海外の代理店に製品を紹介してほしい。こうした理由で、英語サイトや多言語サイトを検討する中小企業、とくに製造業の会社は少なくありません。一方で、「日本語サイトを全部翻訳すべきか」「自動翻訳で足りないのか」「制作会社と翻訳会社のどちらに頼めばよいか」で迷い、検討が止まってしまうこともよくあります。

中小企業の多言語サイトは、まず英語で、海外の取引先が判断に使うページ(事業・製品、設備・品質、会社概要、お問い合わせ)に絞って作り、言語ごとに別の URL で公開して hreflang で Google に伝え、翻訳は機械翻訳だけで済ませず人が確認する、という進め方が現実的です。

この記事では、多言語サイトのメリットと向いている会社、作る前に決めること、作り方の3つの選択肢の比較、翻訳するページの選び方、翻訳の品質を確保する方法、URL の設計と hreflang、問い合わせと公開後の運用、費用の考え方、依頼先の選び方を、発注する側の立場で解説します。

多言語サイトを作るメリットと向いている会社

多言語サイトの主なメリットは、海外の取引先が会社と製品を自分の読める言語で確かめられるようになり、言葉の壁で候補から外れる機会を減らせることです。

  • 海外の展示会や紹介で知った担当者が、社名で検索して会社の実在、規模、設備を確かめられる
  • 代理店や商社が、海外の顧客に製品を紹介するときの資料として URL を使える
  • 英語で製品名や加工方法を検索している海外の設計者・購買担当者に、見つけてもらえる可能性が生まれる
  • 問い合わせの前に仕様や対応範囲を読んでもらえるので、最初のやり取りが具体的になる

一方で、外国語で問い合わせに返信できない、輸出や海外への出荷に対応する予定がない、という段階では、作っても成果につながりにくくなります。海外との取引がすでにある、またはこれから始める計画がある会社ほど、作る意味が大きくなります。

多言語サイトを作る前に決めること

多言語サイトは、作る前に「誰に・何を・どの言語で伝え、問い合わせが来たら誰が答えるか」を決めておかないと、公開しても使われないサイトになります。

決めること内容例
目的新しい引き合い、既存の取引先への情報提供、代理店・商社への紹介、海外での採用など例:海外の購買担当者からの見積もり依頼を受ける
対象と言語どの国・地域の、どんな立場の人に読んでほしいか。言語は国ではなく読む人で決める例:まず英語。取引の多い国があれば、その国の言語を後から足す
載せる範囲日本語サイトの全ページか、一部か例:事業・製品、設備・品質、会社概要、お問い合わせ
問い合わせへの対応外国語のメールに誰が何日以内に返信するか。見積もりや輸出の手続きに対応できるか例:海外営業の担当者が2営業日以内に英語で返信する
更新の担当日本語のページを直したとき、ほかの言語を誰がいつ直すか例:製品の仕様を変えたら、同じ月のうちに英語版も直す
成果の測り方外国語のページの閲覧と、そこからの問い合わせの数例:英語のフォームの送信完了を GA4 のキーイベントとして数える

とくに大切なのが問い合わせへの対応です。返信する人が決まらないまま英語のフォームを置くと、届いた問い合わせへの返事が遅れ、かえって信頼を損ないます。

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多言語サイトの作り方:3つの選択肢の比較

中小企業の英語サイトは、日本語サイトと同じサイトの中に言語別のページ(例:/en/)を作る方法が、費用・更新の手間・検索での扱いのバランスを取りやすい選択肢です。

項目① 同じサイト内に言語別のページを作る② 言語ごとに別のサイトを作る③ 自動翻訳の機能で表示を切り替える
仕組み日本語サイトと同じ CMS・デザインの型で、/en/ などの下に言語別のページを持つ別のドメインやサブドメインで、言語ごとに独立したサイトを持つページを開いたときに、翻訳ツールが文章を置き換えて表示する
初期費用中高(設計・デザインを言語ごとに用意することが多い)低
更新の手間日本語と同じ管理画面で更新できるサイトごとに更新と保守が必要翻訳は自動で変わるが、誤訳を個別に直しにくい
翻訳の品質人が確認した翻訳を載せられる同左。国ごとに内容を変えることもできる機械翻訳のまま。社名・製品名・専門用語の誤訳が残りやすい
検索での扱い言語ごとに URL があり、hreflang で関係を示せる同左。サイトごとに評価を積み上げる必要がある言語別の URL ができない方式では、翻訳した内容が検索結果に出ることは期待しにくい
向いているケース英語など1〜2言語を、日本語サイトと同じ内容の範囲で出す国ごとに事業・製品・担当が違う、現地法人がある参考として読めれば足りる補助的な用途

Google は、言語ごとに別の URL を使うことを推奨し、Cookie やブラウザの設定によって同じ URL のまま言語を切り替える方法は避けるよう案内しています(Google 検索セントラル:多地域、多言語のサイトの管理)。自動翻訳のサービスやプラグインの中には、言語ごとの URL を作り、翻訳文を人が修正できるものもあります。その場合は①に近い使い方ができるので、導入前に「言語別の URL が作られるか」「翻訳文を修正できるか」「利用料はいくらか」を確認します。

どのページを翻訳するか

最初から日本語サイトの全ページを翻訳する必要はなく、海外の取引先が判断に使うページに絞ると、翻訳と更新の負担を抑えながら必要な情報を届けられます。

ページ優先度翻訳するときの注意
トップ高何をしている会社かを一文で。日本語の挨拶文をそのまま訳さない
事業・製品・加工技術高材質・サイズ・公差などの仕様と単位の表記を、海外で通じる形にそろえる
設備・品質・認証高認証や規格は正式な名称と番号で書く
会社概要高社名・所在地・代表者名の英語表記を、名刺や登録の表記と統一する
お問い合わせ高外国語のフォームと、返信までの目安を用意する
事例中海外の取引先に近い業界・用途の事例から訳す
お知らせ低〜中展示会への出展など海外向けの情報に絞る。更新を続けられないなら置かない
採用情報低海外からの採用を予定していなければ不要
プライバシーポリシーフォームを置くなら検討英語版を用意するか、日本語版を正本とすることを明記する

当社が制作した鍛造メーカーのコーポレートサイトでも、英語版は日本語版の全ページを翻訳せず、海外の取引先が必要とする事業紹介・会社案内・お問い合わせに絞って用意し、翻訳と更新の負担を抑えました。日本語版の情報設計そのものは製造業のホームページ制作:引き合いを増やすページ構成で解説しているので、英語版はその中から優先度の高いページを選ぶと考えると進めやすくなります。

翻訳の品質を確保する方法

翻訳の品質は「誰が翻訳し、誰が確認するか」で決まるため、方法ごとの違いを知ったうえで、社名・製品名・技術用語の用語集を先に作って渡すことが大切です。

方法費用の傾向品質の特徴向いているページ
機械翻訳のみ低意味は通じても、専門用語や社名・製品名の誤訳、不自然な表現が残りやすい社内で内容を確かめるための下訳
機械翻訳+人による修正(ポストエディット)中修正の深さによって品質に差が出る仕様の説明、お知らせ
翻訳者による翻訳+別の人の確認高最も安定する。業界の用語に詳しい翻訳者を選べるとよいトップ、会社概要、主要な製品のページ

翻訳を頼む前に、発注する側で次の準備をしておくと、費用の上乗せと納期の遅れを防げます。

  1. 翻訳するページと範囲を決め、翻訳しない部分(画像の中の文字、ボタン、リンクの文言など)も指示する
  2. 日本語の原稿を確定させてから依頼する。途中で原稿が変わると、訳し直しの費用がかかる
  3. 翻訳する文章を Word や Excel にまとめ、文脈が分かるように元のページの URL を添える
  4. 用語集を作る(社名、製品名、工法名、材質の規格、部署名、役職名の英語表記)
  5. 翻訳後に社内の技術者が専門用語を確認する期間を、スケジュールに入れておく

社名と所在地の英語表記は、国税庁の法人番号公表サイトに登録すると公表できます(登録した場合のみ公表されます。国税庁:法人番号公表サイトの利用案内)。登録している場合は、サイト・名刺・英文の会社案内の表記をそれにそろえます。日本語の会社概要で表記をそろえる考え方はホームページの会社概要の書き方で解説しています。

翻訳会社を選ぶときは、翻訳サービスの国際規格である ISO 17100 や、機械翻訳のポストエディットの規格である ISO 18587 に沿った工程で作業しているかも、判断材料の一つになります。また、英語は日本語と文の長さが変わり、メニューやボタンに収まらないことがあるため、デザインの段階で英語の原稿を入れて確認します。

URL の設計と hreflang の設定

多言語サイトは言語ごとに別の URL を用意し、各言語のページが自分自身とほかの言語のページを hreflang で示し合う形にすると、Google が検索する人の言語に合ったページを表示しやすくなります。

URL の方式例良い点注意点
サブディレクトリexample.co.jp/en/設定が容易で、保守の手間が少ない。日本語サイトと同じ管理画面で扱えるサーバーは1つ。URL だけでは対象の国が分かりにくい
サブドメインen.example.co.jp設定が容易で、サーバーを分けられるURL だけでは言語か国かが分かりにくい
国別のドメインexample.de など対象の国がはっきりする費用と管理の負担が大きく、1つの国にしか使えない。取得に条件があるものもある
URL パラメータexample.co.jp/?lang=en—Google は推奨していない

中小企業の英語サイトでは、今のドメインの中に /en/ を作るサブディレクトリの方式が扱いやすい選択です。なお、Google は国別のドメイン(.jp など)を、サイトが対象とする国を判断する要素の一つとしています。特定の国での検索を強く狙う場合は、ドメインの選び方から検討します(Google 検索セントラル:多地域、多言語のサイトの管理)。

hreflang は、同じ内容のページに別の言語版があることを Google に伝える設定です。Google の説明(Google 検索セントラル:ページのローカライズ版について Google に知らせる)で押さえておきたい点は次のとおりです。

  • 指定の方法は、HTML の head 内の link 要素、HTTP ヘッダー、XML サイトマップの3つで、Google にとってはどれも同じ扱い。どれか1つで設定すればよい
  • 各言語のページは、自分自身を含むすべての言語版を列挙する。ページどうしが互いを指していない場合、その指定は無視される
  • URL は https:// から始まる完全な形で書く
  • 言語コードは ISO 639-1(例:ja、en)、地域を付ける場合は ISO 3166-1 Alpha 2(例:en-US)の形式。国コードだけの指定はできない
  • 対応していない言語の利用者に見せるページは x-default で指定できる
  • Google はページの言語を hreflang や lang 属性ではなく本文から判断する。1つのページに複数の言語の文章を並べない

たとえば、日本語と英語の製品ページがある場合は、次の組み合わせを両方のページに書きます。

hreflang の値指す URL(例)
jahttps://example.co.jp/products/forging/
enhttps://example.co.jp/en/products/forging/
x-defaulthttps://example.co.jp/en/products/forging/

あわせて、閲覧者の言語や地域を判定して自動で別の言語のページに転送することは避け、各ページに言語を切り替えるリンクを置いて、利用者が自分で選べるようにします。WordPress の多言語化プラグインには hreflang を自動で出力する機能を持つものもありますが、公開後にページのソースで正しく出力されているかを確認してください。

問い合わせと公開後の運用

外国語のページを公開したら、問い合わせに返信する担当と期限、日本語のページを直したときの反映のルールを決めておくことが、多言語サイトを続けるうえで欠かせません。

  • 外国語のフォーム:会社名、氏名、メールアドレス、国、用件(見積もり・技術的な質問・代理店の相談・その他)、内容、ファイルの添付。電話番号は国番号から入力できる形にするか、任意にする
  • 自動返信メール:受け付けたこと、返信までの目安(営業日・日本時間)を外国語で書く
  • 返信の準備:よくある質問への返信の文例を作り、見積もり・サンプル・支払い条件など、答えられる範囲を社内で決めておく
  • 迷惑メールへの対策:外国語のフォームを公開すると、海外からの営業メールや自動送信のスパムが届くこともあるため、対策を入れておく。対策の選び方は問い合わせフォームのスパム対策で解説しています
  • 更新のルール:製品の仕様、会社情報、認証など、変わったら外国語のページも直す項目を決める。古い情報のまま残すより、載せる情報を変化の少ないものに絞るほうが安全
  • 計測:外国語のページの閲覧数と、そこからの問い合わせを GA4 で確認する

多言語サイトの費用の考え方

多言語サイトの費用は、「翻訳の分量と方法」「言語の数」「言語別のページを持つための設計・実装」「公開後の更新」で決まるため、見積もりでは制作費と翻訳費を分けて確認します。

費用の要素内容費用を抑える方法
翻訳の分量文字数や単語数で決まるのが一般的翻訳するページを絞る。原稿を確定してから頼む
翻訳の方法機械翻訳、ポストエディット、翻訳者による翻訳と確認ページの重要度によって方法を使い分ける
言語の数言語ごとに翻訳・確認・表示のテストが増えるまず英語だけで始める
設計・実装言語の切り替え、言語別のページの仕組み、hreflang、外国語のフォーム日本語サイトと同じデザインの型を使う
画像・図の中の文字画像に入った文字は、翻訳と画像の作り直しが必要文字はできるだけ画像に入れず、テキストで載せる
有料のツール多言語化プラグインや翻訳サービスの利用料契約前に年間の費用と更新の条件を確認する
公開後の更新日本語を直したときの翻訳と反映外国語のページに載せる情報を絞る

「日本語サイトの何倍」といった目安は、翻訳する範囲と方法で大きく変わるため、総額だけでなく内訳で比べてください。当社のコーポレートサイト制作では、多言語対応(英語・中国語など)は内容に合わせて個別にお見積りし、翻訳などの有料の外部サービスを使う場合も事前にご案内します。期間の目安として、日本語と英語の2言語に IR と採用を含む構成では、ヒアリングから公開まで4〜6か月が目安です。プランごとの料金は料金プランでご確認いただけます。

依頼先の選び方:確認するチェックリスト

多言語サイトの依頼先は、制作と翻訳を誰が担当するか、翻訳の確認が見積もりに含まれるか、公開後の更新に対応できるかで比べます。

確認する項目確認のしかた
制作と翻訳をまとめて頼めるか、別々に頼む必要があるか提案書の体制、見積書の項目
翻訳の方法と、翻訳後に別の人が確認する工程が含まれるか見積書の内訳
業界の専門用語を正しく訳せるか原稿の一部を試しに訳してもらう(翻訳トライアル)
言語別の URL、hreflang、言語の切り替えの設計が提案に含まれるか提案書、サイトマップ
英語の原稿を入れた状態でデザインを確認できるか制作の流れ
外国語のフォームと自動返信を用意できるか機能の一覧
公開後に日本語を直したとき、翻訳と反映をどう頼めるか、費用はどう決まるか保守・運用の契約
海外からの問い合わせの翻訳や返信の支援が必要な場合、対応できるか提案時に確認

見積もりの金額だけで選ぶと、翻訳後の確認が含まれていない、公開後の更新が想定されていない、といった違いを見落としがちです。同じ条件で比べられるよう、翻訳するページの一覧と用語集を用意してから見積もりを依頼すると比較しやすくなります。

よくあるご質問

自動翻訳のプラグインだけで多言語サイトにできますか?

参考として読めれば足りる用途なら使えますが、取引先に会社や製品を判断してもらうページには向きません。社名・製品名・専門用語の誤訳が残りやすく、言語別の URL ができない方式では、翻訳した内容が検索結果に出ることも期待しにくいためです。トップ、会社概要、主要な製品のページは、人が確認した翻訳を載せることをおすすめします。

英語以外の言語も必要ですか?

取引の多い国や、読んでほしい担当者が使う言語で決めます。まず英語で始め、特定の国からの問い合わせや取引が増えた段階で、その国の言語を追加する進め方が、費用と更新の負担を抑えやすい方法です。当社のコーポレートサイト制作でも、英語・中国語などの多言語対応ができます。

日本語サイトのリニューアルと同時に作るべきですか?

同時に設計すると、URL の構成、デザインの型、CMS の仕組みを最初からそろえられるので効率的です。ただし翻訳は日本語の原稿が確定してからにします。すぐに英語版を作らない場合でも、後から /en/ を追加できる構造にしておくと、将来の費用を抑えられます。

hreflang を設定しないとどうなりますか?

hreflang は必須ではありませんが、同じ内容の言語版どうしの関係を Google に伝え、検索する人の言語に合ったページを表示してもらうための手段です。言語別のページを作るなら、あわせて設定しておくことをおすすめします。

まとめ

多言語サイトは、目的と問い合わせへの対応を決めたうえで、必要なページから英語で始めるのが、中小企業にとって無理のない進め方です。

  • 作る前に、目的・対象と言語・載せる範囲・問い合わせへの対応・更新の担当を決める
  • 作り方は、同じサイト内に言語別のページ(/en/ など)を作る方法が扱いやすい
  • 最初は事業・製品、設備・品質、会社概要、お問い合わせに絞って翻訳する
  • 翻訳は機械翻訳だけで済ませず、用語集を作って人が確認する
  • 言語ごとに別の URL を用意し、hreflang を相互に設定し、自動の転送は避ける
  • 費用は翻訳と制作を分けて、内訳で比べる

当社のコーポレートサイト制作は、英語・中国語などの多言語対応に対応しています。日本語サイトのサイトマップとページ構成を決める段階で、外国語版に載せるページの範囲もあわせてご相談いただけます。詳しくはコーポレートサイト制作のページをご覧ください。

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フェニックスデザイン株式会社WEB制作会社が運営するナレッジベース編集部

コーポレートサイト・採用サイト・サービスサイトの制作と、公開後の運用保守・集客改善の現場で得た知見をもとに、発注する側の視点で記事を制作・更新しています。運営会社の所在地・事業内容は会社案内、制作の考え方はブランディング×マーケティング論をご覧ください。

この記事は 2022年8月22日 に公開し、2026年10月26日 に内容を確認・更新しました。