高校生を採用したいが学校訪問だけでは手が回らない、求人票を出しても応募が来ない――という企業は少なくありません。高卒採用は大学生や中途の採用と仕組みが違い、ハローワークと学校を通じて求人を出し、決められた日程とルールの中で選考を進めます。採用サイトを作るときも、このルールを知らないと、募集を始める時期や応募の受け方を誤るおそれがあります。
Contents
高卒採用の現状:求人倍率は3倍台後半から4倍台 高校生の就職活動の仕組み 令和9年3月卒業者の採用スケジュール 応募・推薦の社数のルールは都道府県で違う 採用サイトに関わる高卒採用のルール 先生・保護者・生徒が見るところと載せる情報 高卒向け採用サイトの構成と書き方 当社の採用サイト制作でできること よくあるご質問 7月1日より前に、採用サイトに高校生向けの情報を載せてもよいですか? 高校生から採用サイトのフォームで直接応募を受けてもよいですか? 1人1社制はいつまでですか? 高卒向けに独立した採用サイトは必要ですか? 職場見学では、どんな話をしてよいですか? まとめ
高卒採用の採用サイトは、応募の窓口ではなく、進路指導の先生・保護者・生徒が求人票だけでは分からないことを確かめる場所として作り、高校生への募集の案内は7月1日以降に、ハローワーク名と求人番号を載せ、応募は学校を通じて受けると書くのが基本です。
この記事では、厚生労働省と労働局の公表資料(2026年10月に確認)をもとに、高卒採用の最新の求人倍率、令和9年3月卒業者の採用スケジュール、都道府県で違う応募・推薦の社数、採用サイトに関わる決まりと、先生・保護者・生徒に向けて載せる情報を解説します。
高卒採用の現状:求人倍率は3倍台後半から4倍台
高校生向けの求人は求職者の3倍以上あり、その約6割は従業員99人以下の事業所から出ているため、中小企業は求人票だけでは比べられて選ばれにくく、会社を確かめてもらう情報を用意する必要があります。
対象 時点 求人数 求職者数 求人倍率
令和8年3月卒業者 令和8年3月末 約49万9千人 約12万1千人 4.12倍(就職内定率 98.9%)
令和9年3月卒業予定者 令和8年7月末 約45万9千人 約12万7千人 3.60倍
令和8年7月末の高校生向けの求人を事業所の規模別に見ると、29人以下が約14万4千人、30〜99人が約13万9千人で、あわせて全体の約6割です。産業別では製造業が約14万7千人と最も多く、全体の約3割を占め、建設業が約8万5千人で続きます(厚生労働省:令和8年度 高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況(7月末現在) 、令和7年度 同 求人・求職・就職内定状況(令和8年3月末現在) )。ここでの求職者数は、学校やハローワークの紹介を希望する生徒の数です。
求人倍率が高いということは、生徒1人の前に多くの求人票が並ぶということです。先生と生徒は求人票を見比べて応募先を選ぶため、求人票の項目だけでは伝わらない仕事の中身、職場の雰囲気、育成の仕組みを、採用サイトで確かめられるようにしておく意味があります。
高校生の就職活動の仕組み
高校生の就職は、企業がハローワークで確認を受けた求人票を学校に出し、生徒が先生や保護者と相談して応募先を決め、学校が企業に推薦する、という学校を通じた流れが基本です。
求人票 :企業は6月1日からハローワークに求人を申し込み、選考の期日などの確認を受けた求人票で学校に申し込みます。この手続きによらない求人には、学校は推薦を行わないとされています(文部科学省・厚生労働省:令和9年3月新規中学校・高等学校等卒業者の就職に係る推薦及び選考開始期日等並びに文書募集開始時期等について(通知) )。
求人票の閲覧 :求人票は学校に届くほか、ハローワークの「高卒就職情報WEB提供サービス」でも見られます。ID とパスワードは生徒本人に付与され、保護者以外の第三者には見せないこととされています(同通知)。
職場見学 :応募の前に、夏休みなど学事日程に影響の少ない時期に行います。生徒が職業への理解を深めるためのもので、採用選考の場ではありません。
応募書類 :「全国高等学校統一用紙」を使います。生徒が作る履歴書は、求人者が手書き・パソコン入力・どちらでも可のいずれかを選び、作成方法によって選考で有利・不利が生じないようにするとされています(同通知)。
推薦と選考 :学校が生徒を推薦し、企業は選考の結果を学校を通じて伝えます。企業が生徒の家庭を訪問することはできません。
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令和9年3月卒業者の採用スケジュール
令和9年3月に卒業する高校生の採用は、6月1日に求人の受付、7月1日に学校への求人申込みと学校訪問、9月5日に応募書類の提出、9月16日に選考と内定が始まる日程で進みます。
日付 内容 採用サイトですること
6月1日 ハローワークによる求人申込書の受付開始 求人票と採用サイトの条件の表記をそろえ、高校生向けのページを準備する
7月1日 企業による学校への求人申込み・学校訪問の開始。高校生を対象とした文書募集(インターネットを含む)の開始 求人番号とハローワーク名を載せて、高校生向けの募集の案内を公開する
7月〜8月(夏休みなど) 応募前の職場見学 見学の時期・内容・申込みの方法(学校を通じて)を案内する
9月5日(沖縄県は8月30日) 学校から企業への応募書類の提出開始 選考の流れと日程、結果を知らせる時期の目安を載せる
9月16日 企業による選考開始・採用内定開始 内定から入社までの流れを載せる
10月以降(都道府県による) 2社目などの応募・推薦ができるようになる地域が多い 募集を続ける場合は「募集中」の表示と応募の方法を残す
この日程は、全国高等学校長協会、主要経済団体、文部科学省、厚生労働省で構成する高等学校就職問題検討会議が取りまとめたもので、令和9年3月卒業者の分は2026年2月16日に公表されました(厚生労働省:令和9年3月新規高等学校等卒業者の就職に係る採用選考期日等 )。日程は卒業年ごとに取りまとめられるため、翌年の採用は新しい公表を確かめてから採用サイトの更新の予定を組みます。
応募・推薦の社数のルールは都道府県で違う
高校生が同時に応募できる会社の数は全国一律ではなく、都道府県ごとの高等学校就職問題検討会議の申し合わせで決まり、推薦の開始からしばらくは1人1社とし、10月や11月から2社などに広げる都道府県が多い一方、推薦の開始から複数の応募を認める府県もあります。
都道府県 令和9年3月卒業者の応募・推薦(令和8年6月現在の申し合わせ等)
東京都 9月中は1人1社、10月1日以降は1人2社まで。都外の企業に応募する場合は、応募先の道府県の申し合わせを適用
神奈川県 9月中は1人1社、10月1日以降は1人2社まで
千葉県 9月中は1人1社、10月1日以降は1人原則2社まで
埼玉県 指定校求人と単願のみの公開求人に応募していない生徒は、当初から原則2社まで(求人者が複数応募を可能とした場合に限る)
北海道 10月31日までは1人1社、11月1日以降は1人2社まで
大阪府 当初から1人2社まで(指定校求人以外の公開求人で、求人者が複数応募を認めた場合に限る)
沖縄県 当初から1人3社まで
47都道府県の申し合わせは、ハローワークの高卒就職情報WEB提供サービスに一覧と都道府県ごとの資料が掲載されています(都道府県高等学校就職問題検討会議における申し合わせ等(令和9年3月卒業者の応募・推薦について) 、埼玉県の申し合わせ事項 )。採用する側は次の点を確認しておきます。
自社の求人に応募する生徒に、どの都道府県の申し合わせが適用されるか。東京都・埼玉県・千葉県などの申し合わせには、都県外の企業に応募する場合は応募先の都道府県の申し合わせを適用すると書かれています
埼玉県や大阪府のように、求人ごとに複数応募を認めるか単願のみとするかを企業が選べる地域では、選んだ扱いを採用サイトにも同じように書く
2社目の応募ができる時期以降も募集を続けるなら、採用サイトに「募集中」と応募の方法を載せ続ける
採用サイトに関わる高卒採用のルール
高卒採用のルールのうち採用サイトに直接関わるのは、インターネットでの募集を始められる時期と条件、応募の受け方、職場見学の扱い、応募書類と質問の決まりで、どれも「学校を通じて、求人票と同じ内容で」が前提です。
ルール 内容 採用サイトでの対応
文書募集の時期と条件 高校生を対象とした文書募集(インターネットを使った募集を含む)は卒業年の前年の7月1日から。ハローワークの確認を受けた求人で求人票の内容と異ならないこと、ハローワーク名と求人番号を載せること、応募の受付は学校またはハローワークを通じて行うことが条件 7月1日より前は会社と仕事の紹介にとどめる。7月1日以降は求人番号とハローワーク名を載せ、条件は求人票と同じ表記にする
応募の受け方 応募は学校またはハローワークを通じて受け付ける 「応募は在籍する高校の先生を通じて」と書き、中途採用向けの応募フォームを高校生の応募の窓口にしない
職場見学 参加の有無を採否の判断に含めず、応募書類などの書類を求めない。選考に直結する質問や、内定と受け取られる話をしない 「職場見学は選考とは関係ありません」と書き、見学の申込みは学校を通じて受ける
応募書類 全国高等学校統一用紙を使い、企業はそれ以外の用紙の提出を求めない 独自のエントリーシートや作文の提出を求めない
公正な採用選考 出身地、家族の職業、家庭環境・経済状況など、就職差別につながるおそれのある質問や調査をしない よくある質問や見学の案内、フォームにこうした項目を入れない
採否の通知 決まりしだい直ちに、学校と、学校を通じて応募者に文書で通知する(採否は極力7日以内) 選考の流れに、結果を知らせる時期の目安を書く
家庭訪問 企業が生徒の家庭を訪問することはできず、内定後も行わない 保護者に伝えたい情報は採用サイトの保護者向けのページで伝える
表の内容は、上記の文部科学省・厚生労働省の通知と、東京労働局・ハローワークの案内(令和9年3月 新規学校卒業者の募集・採用 )で確認できます。都道府県によって申し合わせの細かな内容は異なるため、自社の所在地の労働局の案内もあわせて確認し、どこからが募集にあたるか迷う表現は、掲載の前に管轄のハローワークに相談してください。
先生・保護者・生徒が見るところと載せる情報
高卒採用の採用サイトは、応募先を一緒に考える進路指導の先生と保護者も読むため、生徒本人が気にする仕事と職場の雰囲気に加えて、先生と保護者が気にする定着・育成・待遇・会社の安定性を、それぞれ探しやすく載せます。
読む人 気にすること 載せる情報
進路指導の先生 生徒が長く働けるか、育ててもらえるか 高卒で入社した社員の定着の状況、研修の流れと期間、資格取得の支援、学校訪問や求人票についての問い合わせ先
保護者 安心して勧められる会社か 事業の内容と将来の計画、創業からの年数、福利厚生、寮や住宅手当、通勤の手段、休日と残業の実績、安全への取り組み
生徒本人 どんな仕事で、どんな人と働くか 仕事の写真、一日の流れ、年の近い先輩の声、休日、初任給、職場見学で見られる場所
数字は、新卒向けの求人申込書にある「青少年雇用情報」の欄(新卒者等の採用者数と離職者数、平均継続勤務年数、研修の有無と内容、月平均所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数など)と定義をそろえると、求人票と採用サイトの内容が食い違いません(厚生労働省:青少年雇用情報シートの書き方のポイント )。
高卒向け採用サイトの構成と書き方
高卒向けの採用サイトは、中途・大卒向けとは入口を分けて高校生向けのページを作り、仕事・先輩・育成・数字・職場見学・求人情報・保護者と先生向けの案内・よくある質問を、高校生が読める言葉で並べます。
ページ・項目 載せる内容 書き方の注意
高校生向けトップ 会社が何をしているか、高校生へのメッセージ 業界になじみがない前提で、扱う製品やサービスを身近な例で説明する
仕事紹介と一日の流れ 最初に担当する仕事、使う道具や機械、一日の時刻と作業 専門用語は言い換える。日勤・交替勤務など勤務の形を書く
先輩の声 高卒で入社した1〜3年目の社員のインタビュー 入社の決め手、入社前の不安、最初に苦労したこと
育成・キャリア 入社後の研修、取れる資格、数年後の役割 入社1か月・1年・3年の目安で示す
数字で見る会社 定着、平均勤続年数、残業、休日、有給休暇の取得 時点と対象を書き、求人票の青少年雇用情報とそろえる
職場見学の案内 時期、所要時間、見られる場所、服装 選考ではないことと、申込みは学校を通じることを書く
求人情報 7月1日以降:求人番号、管轄のハローワーク名、職種、勤務地、初任給 応募は在籍する高校の先生を通じて、と明記する
保護者の方へ 会社の概要、福利厚生、安全への取り組み 子どもを送り出す立場の疑問に答える
進路指導の先生へ 求人票の送付や学校訪問の相談の窓口 問い合わせ先を先生向けとして分ける
よくある質問 普通科でも応募できるか、資格は必要か、寮はあるか、残業はあるか 出身地や家族のことなど、適性と能力に関係のない事柄は扱わない
文章は、専門用語や難しい漢字を言い換え、1文を短くし、スマートフォンで読みやすい段落の長さにします。会社案内のパンフレットや学校訪問で渡す資料、職場見学の配布物に採用サイトの QR コードを載せると、先生や保護者があとから確かめやすくなります。工場の写真や交替勤務の一日の流れの作り方は製造業の採用サイトの作り方 、先輩の声の質問は社員インタビューの質問例 、採用サイト全体に載せるものは採用サイトに必須のコンテンツ で解説しています。
当社の採用サイト制作でできること
当社の採用サイト制作では、新卒採用の場合、事業の社会的な意味、先輩社員のキャリア、育成制度、選考フローを順に伝え、学生と保護者の両方が読める文章にします。
職種ごとの仕事内容と一日の流れ、数字で見る会社、制度の紹介を設計し、新卒・中途の入口を分けた構成にできます。募集要項とお知らせは WordPress の管理画面から更新でき、募集の停止・再開もその場で切り替えられるため、7月1日の公開や募集の終了に合わせて自社で直せます。費用の目安は、5ページ前後のライトプランが50万円〜、8ページ前後で中途・新卒を併用するスタンダードプランが80万円〜(いずれも税別)、期間はスタンダードプランで2〜3か月です。採用スケジュールが決まっている場合は、逆算して工程をご提案します。
よくあるご質問
7月1日より前に、採用サイトに高校生向けの情報を載せてもよいですか?
会社や仕事の紹介を載せることはできます。高校生を対象にした募集の案内は、7月1日以降に、ハローワークの確認を受けた求人であること、ハローワーク名と求人番号を載せること、応募の受付を学校またはハローワークを通じて行うことを満たして載せます。どこからが募集にあたるか迷う表現は、掲載の前に管轄のハローワークに確認してください。
高校生から採用サイトのフォームで直接応募を受けてもよいですか?
高校生を対象にした文書募集では、応募の受付は学校またはハローワークを通じて行うことが条件です。採用サイトのフォームを高校生の応募の窓口にせず、「応募は在籍する高校の先生を通じて」と書いてください。職場見学の申込みも、学校を通じて受けます。
1人1社制はいつまでですか?
都道府県ごとの申し合わせで決まります。令和9年3月卒業者では、東京都・神奈川県は9月中は1人1社で10月1日以降は2社まで(千葉県は原則2社まで)、北海道は11月1日以降に2社まで、埼玉県は条件を満たせば推薦の開始から原則2社まで、沖縄県は当初から3社までです。都県外の企業に応募する場合は応募先の申し合わせを適用するとする地域もあるため、自社の所在地の申し合わせを確認してください。
高卒向けに独立した採用サイトは必要ですか?
高校生の採用が年に数名なら、既存の採用サイトやコーポレートサイトの採用ページに高校生向けのページを加える形で足りる場合が多いです。高校生を毎年まとまった人数採用する場合や、中途・大卒と仕事や条件の伝え方が大きく違う場合は、入口を分けた専用のページ群を作ると、先生と保護者にも探しやすくなります。
職場見学では、どんな話をしてよいですか?
仕事の内容、職場や設備の説明、先輩との会話、生徒からの質問への回答は問題ありません。一方で、参加の有無を採否に含めること、履歴書などの書類を求めること、本人の状況を聞くなど選考に直結する質問、内定と受け取られる話はしないこととされています。
まとめ
高卒採用は、ハローワークと学校を通じた仕組みと、毎年取りまとめられる日程の中で進みます。令和9年3月卒業者の採用は、6月1日の求人受付、7月1日の求人申込みと文書募集の開始、9月5日の応募書類の提出、9月16日の選考開始の順で、応募・推薦の社数は都道府県の申し合わせで決まります。
高校生向けの求人倍率は3倍台後半から4倍台で、求人の約6割は99人以下の事業所。求人票だけでは伝わらないことを採用サイトで補う
高校生への募集の案内は7月1日以降。ハローワーク名と求人番号を載せ、応募は学校を通じて受ける
職場見学は選考ではなく、応募書類は全国高等学校統一用紙。採用サイトでも独自の書類や選考に関係しない質問を求めない
先生・保護者・生徒で気にすることが違うため、定着・育成・待遇・安定性と、仕事・職場の雰囲気の両方を載せる
数字は求人票の青少年雇用情報と定義をそろえ、条件は求人票と同じ表記にする
高校生・保護者・先生が読める採用サイトの設計から、7月1日の公開に合わせた制作の工程づくりまでご相談いただけます。詳しくは採用サイト制作 のページをご覧ください。
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