ホームページ制作の見積書を見ると、デザイン費やコーディング費と並んで「ディレクション費」という項目が載っていることがあります。金額が総額の1〜3割を占めることもあり、「何に対する費用なのか」「削っても問題ないのか」が分からず、社内で説明できないという担当者の方は少なくありません。
Contents
ディレクション費とは:制作を目的どおりに進めるための費用 ディレクション費に含まれる作業 ディレクション費の相場と金額の決まり方 ディレクション費を削ると起きること 見積書でディレクション費を確認する質問 当社の工程とディレクションの対応 よくあるご質問 ディレクション費が載っていない見積もりは、その分安いのですか? ディレクション費は値引きしてもらえますか? 修正回数を超えた分はディレクション費に含まれますか? 発注する側にもディレクターのような担当者は必要ですか? まとめ
ディレクション費は、制作会社のディレクターがヒアリング・要件定義・進行管理・品質管理などを行い、サイトを目的どおりに完成させるための費用で、公開されている制作会社の解説では総額の10〜30%程度とされることが多く、金額よりも「どの作業が含まれ、発注側に何が残るか」で判断します。
この記事では、ディレクション費に含まれる作業、相場と金額の決まり方、工数が増える要因、削ると起きること、見積書で確認する質問、当社の工程との対応を、発注する側の視点で解説します。
ディレクション費とは:制作を目的どおりに進めるための費用
ディレクション費とは、Webディレクターが発注者と制作者のあいだに立ち、サイトの目的・範囲・品質・スケジュールを管理する作業に対して支払う費用です。
ホームページ制作には、デザイナー、エンジニア、ライター、カメラマンなど複数の担当者が関わります。ディレクターは、発注者から目的や要望を聞き取って仕様に落とし込み、各担当者に指示を出し、進み具合と仕上がりを確認します。完成したページには直接表れない作業ですが、ここが弱いと「見た目は整ったが目的に合っていない」「公開が何か月も遅れた」といった問題が起きやすくなります。
見積書での呼び方や載せ方は会社によって違います。
呼び方:ディレクション費、進行管理費、プロジェクト管理費、企画・設計費など
載せ方:独立した1行で載せる、「企画・設計」とまとめて載せる、各作業の単価に含めて項目を立てない
項目がない見積もりでも、ディレクションの作業がないとは限りません。逆に、同じ「ディレクション費」でも中身が会社ごとに違うため、名前ではなく作業の一覧で確かめます。
ディレクション費に含まれる作業
ディレクション費に含まれるのは、主に「決める作業(企画・要件定義・設計)」「進める作業(進行管理・連絡・指示)」「確かめる作業(品質管理・テスト・公開)」の3種類です。
作業 内容 主な成果物 発注者の関わり
ヒアリング・現状分析 事業・顧客・競合、今のサイトの数字や課題を聞き取り、整理する ヒアリングシート、課題の一覧 ヒアリングへの参加、資料や計測ツールの権限の共有
要件定義・企画 目的、対象とする人、ページの範囲、機能、作業の分担を決める 要件定義書、提案書 内容の確認と合意
情報設計 サイトマップ、ページの骨組み、問い合わせまでの導線を決める サイトマップ、ワイヤーフレーム 確認と承認
スケジュール・進行管理 工程表を作り、進み具合を確認し、遅れに対応する 工程表、進捗の報告 確認の期限を守る
打ち合わせ・連絡 会議の準備と進行、議事録、質問への回答 議事録、課題管理表 参加、決定事項の確認
制作チームへの指示 デザイナー・エンジニア・ライター・カメラマンへの指示と調整 指示書、撮影の段取り 発注者からは見えにくい
素材・原稿の管理 必要な原稿・写真・ロゴを洗い出し、期限までに集める 素材の一覧 素材の提供
品質管理・テスト 要件どおりか、誤字、端末ごとの表示、フォームの送信を確認する 確認リスト、テストの結果 テスト環境での最終確認
公開・引き渡し 公開日の調整、旧URLからの転送の確認、操作マニュアルの用意 公開の手順、操作マニュアル 公開日の決定
制作会社によっては、要件定義や情報設計を「設計費」として別の項目にし、ディレクション費は進行管理と品質管理だけを指すこともあります。見積書を比べるときは、この表のどの作業がどの項目に入っているかを各社にそろえて確認します。
Service
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ディレクション費の相場と金額の決まり方
ディレクション費は、総額に一定の割合を掛けるか、ディレクターの工数(人日)に単価を掛けて決めるのが一般的で、公開されている解説では総額の10〜30%程度とされています。
決め方 計算のしかた 例 確認すること
総額に対する割合 制作費の合計 × 一定の割合 例:制作費200万円 × 15% = 30万円 その割合にした理由、含まれる作業
工数 × 単価 ディレクターの作業日数(人日) × 1人日あたりの単価 例:12人日 × 4万円 = 48万円 人日の内訳(打ち合わせの回数、設計、テスト)
一式・他の項目に含める 独立した金額を出さない 例:「企画・設計一式」に含める 含まれる作業の一覧、ディレクターは誰か
単価の目安として、制作会社 LIG の解説では1人日4万円程度を業界で見られる平均的な水準として例示し(LIG:ディレクション費の相場と内訳 )、Web幹事の解説では日当4万〜6万円としています(Web幹事:見積書にある「ディレクション費」とは )。どちらも、総額に対する割合は10〜30%程度としています。いずれも2026年10月時点の公開情報で、調査にもとづく統計ではないため、目安として見てください。
割合や工数が大きくなるのは、次のような場合です。発注側の進め方で減らせるものもあります。
要因 工数が増える例 発注側でできる工夫
制作期間 期間が長いほど、進行管理と打ち合わせが増える 公開日を決め、確認の期限を守る
関わる人数 決裁者や部署が多く、意見の取りまとめが必要 社内の窓口と最終決定者を1人ずつ決める
打ち合わせの回数 定例会議が多い、決まったことが会議のたびに変わる 確認は資料で行い、会議は判断が必要なときに絞る
設計の深さ 競合調査、ペルソナ設計、キーワード調査、コンセプトづくり 目的に必要な範囲を最初に決める
外部の協力者 撮影、翻訳、システム会社、別の制作会社との調整 調整の窓口を制作会社に任せるか、自社で持つかを決める
素材の用意 原稿や写真が集まらない、何度も差し替わる 原稿と写真の担当と締切を最初に決める
旧サイトからの移行 記事の移行、旧URLからの転送の対応表づくり 残すページと削除するページの一覧を社内で作る
反対に、ディレクション費が総額の5%前後や0円の見積もりは、ディレクションの一部が省かれているか、発注側が担う前提になっている可能性があると LIG の解説は指摘しています。安いこと自体が問題なのではなく、省かれた作業を誰が行うのかを確認することが大切です。
ディレクション費を削ると起きること
ディレクション費を削ると見積もりの総額は下がりますが、その作業が発注側に移るか、手戻りと追加費用で後から取り返すことになりやすくなります。
削られやすい作業 起きること 結果として負担するもの
ヒアリング・要件定義 目的やページの範囲があいまいなまま進み、デザインの段階で「思っていたものと違う」になる 作り直しの費用と期間
情報設計 問い合わせまでの導線や、どの検索語句でどのページを見てもらうかが決まらない 公開後も問い合わせが増えず、改修の費用がかかる
進行管理 素材の回収や確認の期限が管理されず、公開が遅れる 社内担当者の管理の手間
品質管理・テスト 誤字、表示の崩れ、フォームの不具合が公開後に見つかる 社内での確認作業、取引先からの信頼
打ち合わせの記録 決定事項が残らず、「合意した・していない」の食い違いが起きる 追加費用をめぐるやり取り
社内にWeb制作の経験がある担当者がいて、要件と進行を自社で管理できる場合は、ディレクションを薄くして費用を抑える選択もあります。その場合は、発注側が担う作業を見積もりの前提として書面に残しておきます。契約書で確認しておく項目はホームページ制作の契約で確認すること で解説しています。
見積書でディレクション費を確認する質問
ディレクション費が妥当かどうかは、次の7つの質問への答えを各社からもらい、同じ表に並べると判断できます。
ディレクション費に含まれる作業は何ですか(ヒアリング、要件定義、情報設計、進行管理、テスト、公開のうちどれですか)。
金額は総額に対する割合と、工数×単価のどちらで計算していますか。工数なら何人日ですか。
打ち合わせは何回で、オンラインと対面のどちらですか。議事録はもらえますか。
デザインと実装の修正は何回まで含まれ、超えた場合の扱いはどうなりますか。
担当のディレクターは誰で、公開まで担当は変わりませんか。
発注側に残る作業(原稿・写真の用意、社内の意見の取りまとめ、テスト環境での確認)は何ですか。
公開後のレビューや保守は、この見積もりに含まれますか。別の契約ですか。
ディレクション費だけが高い・安いと判断するのではなく、デザインや実装の項目と合わせて総額と中身で比べます。規模ごとの制作費の目安はコーポレートサイトの制作にかかる費用 で解説しています。
当社の工程とディレクションの対応
当社では、ヒアリングから公開後のレビューまで同じ担当者が進行を受け持ち、ディレクションにあたる作業を6つの工程に組み込んで、工程ごとに成果物を確認いただいてから次に進めています。
工程(期間の目安) ディレクションとして行うこと お渡しするもの 貴社にお願いすること
01 ヒアリング・現状診断(1〜2週) 事業・顧客・競合を伺い、アクセス解析・検索順位・導線・表示速度・セキュリティから課題に優先順位をつける ヒアリングシート、現状診断レポート、課題と優先順位の一覧 ヒアリング(1〜2時間)への参加、GA4・Search Console・サーバーの閲覧権限の共有
02 ブランディング設計(2〜3週) 強み・選ばれる理由・競合との違いを整理し、以降のデザインと文章の判断基準を文書にする ブランディング設計書 ヒアリングシートの記入、設計書の確認・承認
03 情報設計・ワイヤーフレーム(2週) サイトマップとページ構成を決め、問い合わせ・資料請求の位置、フォーム項目、計測する指標を定義する サイトマップ、ワイヤーフレーム、対策キーワード一覧、CTA・計測の定義 確認・承認、掲載する情報(実績・数字・制度など)の提供
04 デザイン(2〜4週) トップページで方向性を合意してから下層ページへ進め、写真・原稿をそろえる デザインデータ(PC・スマートフォン)、画像、原稿 トップ → 下層の2段階の確認・承認、写真・ロゴなどの素材の提供
05 実装・SEO・計測設定(2〜4週) テスト環境での確認を進め、計測の設定と公開日を調整する WordPressサイト、操作マニュアル、GA4・Search Console・タグマネージャーの設定 テスト環境での全ページ確認、原稿の事実確認、公開日の決定
06 公開・運用改善(継続) 公開30日後にアクセスと問い合わせの初期データを確認してレビューを行う 公開30日後のレビュー資料 レビューへの参加
打ち合わせは、コーポレートサイトの標準的な進行でヒアリング、ブランディング設計の確認、構成の確認、デザインの確認、公開前の確認の5回程度で、オンラインでも対面でも行えます。原稿は、ヒアリングをもとに当社で下書きを作り、貴社に事実確認をお願いする進め方が標準です。合意した後の変更は、影響する範囲に応じて追加の費用と期間をご相談のうえ対応します。工程ごとの詳細は制作の流れ に掲載しています。
料金は、コーポレートサイト制作のライト60万円〜、スタンダード120万円〜、ブランディング200万円〜(いずれも税別)です。見積もりの金額は「ページ数と構成」「ブランディング設計の深さ」「原稿・写真・図解の用意」「機能と連携」の4つで変わり、お見積りにはそれぞれの内訳を記載するため、予算に合わせるときにどこを調整すればよいかが分かります。サービスごとの料金は料金プラン でご確認いただけます。
よくあるご質問
ディレクション費が載っていない見積もりは、その分安いのですか?
必ずしも安いとは限りません。ディレクションの作業をデザインや実装の単価に含めている場合や、「企画・設計一式」にまとめている場合があります。項目がないときは、ヒアリング・要件定義・進行管理・テストを誰がどの項目で行うのかを確認します。
ディレクション費は値引きしてもらえますか?
単価の値引きより、工数を減らす工夫のほうが、必要な作業を残したまま金額を下げられます。たとえば、社内の窓口と最終決定者を1人に決める、原稿と写真の締切を守る、修正の依頼を1回にまとめる、会議の回数を絞るといった方法です。工数×単価で計算している見積もりなら、何を変えると何人日減るかを確認できます。
修正回数を超えた分はディレクション費に含まれますか?
見積もりによって扱いが違います。修正回数の上限と超えた場合の費用は、ディレクション費とは別に「修正の条件」として見積書や契約書に書かれていることがあるため、どこに含まれるかを契約前に確認します。合意した後の構成変更やページの追加は、影響する範囲に応じて別途の費用になることがあります。修正の伝え方と追加費用になりやすい範囲は、記事末尾の関連記事で解説しています。
発注する側にもディレクターのような担当者は必要ですか?
必要です。社内の意見をまとめる、原稿や写真を集める、最終決定者の判断をもらうといった作業は、制作会社のディレクターには代われません。社内の窓口を1人決めておくと、確認の往復が減り、ディレクションの工数も抑えやすくなります。
まとめ
ディレクション費についての要点は次のとおりです。
ディレクション費は、ヒアリング・要件定義・情報設計・進行管理・品質管理など、サイトを目的どおりに完成させるための管理と判断の費用
公開されている解説では総額の10〜30%程度が目安で、金額は総額に対する割合か、工数×単価で決まる
期間・関わる人数・打ち合わせの回数・設計の深さ・外部の協力者・素材の用意・移行の有無で工数が増える
削ると作業が発注側に移るか、手戻りと追加費用につながりやすい。省く場合は発注側の作業を書面に残す
見積書では、含まれる作業、計算方法、打ち合わせの回数、修正回数、担当者、発注側に残る作業を確認する
見積書の中身や、ディレクションにどこまで含まれるかを具体的に確認したい方は、無料相談 からお問い合わせください。目的と現状を伺い、内訳つきの見積もりと公開後の費用の目安をお出しします。
関連記事:ホームページ制作の見積書の見方 /Webサイト制作の見積もりが制作会社ごとに違う理由 /制作中の修正依頼の進め方