「AI に質問に答えるだけで、ホームページが数分でできる」という広告を見て、制作会社に頼まずに自社で作れないかと考えている。あるいは、社長から「AI で作れば安く済むのでは」と言われ、何ができて何ができないのかを説明する必要がある。会社のホームページの作り直しを担当する人から、こうした相談を受けることが増えました。
Contents
AI でホームページはどこまで作れるか AI で足りること・足りないことの一覧 自作してよい条件・制作会社に頼むべき条件 AI ツールを使うときの注意点:著作権・誤情報・独自性 著作権:AI の出力でも、既存の作品に似ていれば侵害になりうる 誤情報:AI は事実を確かめずに、もっともらしい文章を作る 独自性:一般論だけのページは、検索でも比較でも埋もれる 入力する情報と、ツールへの依存 AI でホームページを作る手順 よくあるご質問 無料の AI ツールだけで会社のホームページを作れますか? AI で作ったホームページは、Google の評価が下がりますか? AI で作ったサイトを、あとから制作会社に直してもらえますか? AI が作った文章や画像に著作権はありますか? まとめ
AI で会社のホームページの「形」(ページの枠組み・デザイン・文章の下書き)は作れますが、誰に何を伝えるかの設計、載せる事実の確認、公開後の更新と改善は AI では代わりにならないため、中小 BtoB 企業では「AI で下書きし、人が設計と確認を行う」分担にするのが現実的です。
この記事では、2026年10月時点で AI がホームページ制作のどこまでを担えるか、AI で足りること・足りないことの一覧、自作してよい条件と制作会社に頼むべき条件、AI ツールを使うときの著作権・誤情報・独自性の注意点、AI で作る場合の手順と公開前のチェックリストを、発注する側の視点で整理します。ツールの機能は、各社の公式ヘルプで確認できたものだけを書いています。
AI でホームページはどこまで作れるか
2026年10月時点では、質問に答えるとページ構成・デザイン・文章の案をまとめて作るツールが提供されており、「最初の 1 版を作る」作業は AI でかなり短くできます。
ホームページ制作に使える AI は、大きく 3 種類に分けられます。
種類 できること 例(公式ヘルプで確認した機能) 向いている使い方
ホームページ作成サービスの AI 機能 事業の情報を入力すると、ページ・セクション・配色・レイアウトの案を作る。文章の生成・編集や画像の編集もできる Wix の AI サイトビルダー(チャットの質問に答えるとサイトの案を作成)、Studio の Text AI・Image AI・SEO Writing Assist 数ページのサイトを、まず形にする
対話型の生成 AI 構成案、原稿の下書き、言い換え、要約、翻訳 ChatGPT、Gemini、Claude、Copilot など 原稿づくりの補助、ページ構成のたたき台
コードを生成する AI 指示文から HTML・CSS などのコードやページの試作品を作る (ツールにより機能が大きく異なる) 制作者が試作や部品づくりに使う
Wix のヘルプでは、AI サイトビルダーはチャットで事業について質問し、回答をもとにページやセクション、フォントと配色、レイアウトを含むデザインを作ると説明しています。作り直しや微調整もできますが、既存のサイトの編集には使えず、AI で作ったサイトを別のテンプレートに切り替えることもできないとしています(Wix ヘルプセンター:AI で生成されたサイトを作成する )。Studio は、指示文で文章を作成・編集する Text AI、画像を言葉で編集する Image AI、スマートフォン向けの表示を自動で設定する機能、ページの文章から title と description を自動で作る SEO Writing Assist などを提供しており、AI 機能には実行回数の上限があると案内しています(Studio Help:Studio’s AI features )。
AI で足りること・足りないことの一覧
AI が得意なのは「もっともらしい案を速く出すこと」で、苦手なのは「自社にしかない事実と判断」と「公開後に続ける作業」です。
作業 AI で足りること AI では足りないこと(人がやること)
文章の下書き 見出しごとの文章、言い換え、敬語の統一、要約、英訳の下書き 自社の強み・実績・数字・判断の理由を書き加える。業界で通じる言葉に直す
デザイン案 配色・書体・レイアウトの候補を短時間で複数出す 自社のロゴ・ブランドの方針に合わせる。写真の選び方まで含めて「らしさ」をそろえる
コード(実装) ページの試作、部品のコード、ツールによる自動のスマートフォン対応 フォームの送信先・スパム対策・セキュリティの確認、表示速度の調整、公開後の動作確認
情報設計(ページ構成・導線) 一般的なページ構成の案(トップ・サービス・会社概要・問い合わせなど) 誰がどの順で何を確認して問い合わせるかを決め、必要なページと問い合わせまでの道筋を設計する
事実確認 (AI は事実を検証しない) 会社概要・料金・実績・制度・法令を、登記や公式情報と一字一句照らし合わせる
写真・画像 イメージ画像の生成、画像の編集 社員・工場・設備など、実在の写真を用意する。生成画像が既存の作品に似ていないか確かめる
SEO・計測の設定 title・description の案の作成 検索される言葉の調査、Search Console・GA4 の設定、問い合わせの計測の定義
運用(更新・改善) お知らせの下書き、改善案の候補出し 数字を見て直す場所を決め、更新を続ける。担当者の異動があっても止めない体制をつくる
この表のとおり、AI で短くなるのは主に「作る」工程で、「決める」「確かめる」「続ける」工程は人の仕事として残ります。会社のサイトの成果を左右するのは後者です。
Service
コーポレートサイト制作のご相談はフェニックスデザインへ ナレッジベースを運営するフェニックスデザインが、今のサイトの数字を見るところから対応します。URLを入れるだけの無料簡易診断から。
自作してよい条件・制作会社に頼むべき条件
サイトの目的が「会社が実在することを確認してもらう」なら AI ツールでの自作で足り、「問い合わせや応募を増やす」なら設計と計測を含めて制作会社に頼むほうが確実です。
判断の観点 AI ツールで自作してよい 制作会社に頼むべき
サイトの目的 名刺や会社案内を見た人が、実在と連絡先を確かめる 検索から見込み客を集め、問い合わせ・資料請求・応募につなげる
ページ数 5 ページ前後(トップ・事業内容・会社概要・問い合わせ) サービス別ページ、導入事例、よくある質問、採用情報など 10 ページ以上
伝える内容 事業内容が 1 つで、説明が短く済む 事業が複数ある、他社との違いを根拠つきで説明する必要がある
機能 問い合わせフォーム 1 つ 資料ダウンロード、図面の添付、外部システムとの連携、多言語
社内の体制 原稿を書き、事実を確認し、公開後も更新する担当者がいる 担当者が兼務で時間がとれない、更新が止まりがち
検索での見つけられ方 社名で検索して出てくれば足りる 「業種名+地域」「サービス名」など、社名以外の言葉で見つけてもらいたい
自作する場合も、制作会社に頼む場合も、最初に「誰に・何を伝え・何をしてもらうか」を決める作業は同じです。AI で作ったサイトを公開してから、問い合わせが来ない理由が設計にあったと分かり、作り直すことになる例は少なくありません。自作・ツール・制作会社それぞれの作り方と費用はホームページの作り方と費用・コストダウンの方法 で整理しています。
AI ツールを使うときの注意点:著作権・誤情報・独自性
AI で作った文章や画像も、公開すれば自社の発信として責任を負うため、著作権・事実の正しさ・他社との違いの 3 点は人が確認してから公開します。
著作権:AI の出力でも、既存の作品に似ていれば侵害になりうる
文化庁の「AI と著作権に関する考え方について」の概要では、AI で生成したものを公開・利用する段階の著作権侵害は、通常の著作権侵害と同じく、既存の著作物との「類似性」と、それをもとにしたかという「依拠性」で判断するとしています。AI の学習に使われた作品であれば、利用者がその作品を知らなくても、通常は依拠性があると推認されるとも整理されています(文化庁:「AI と著作権に関する考え方について」概要(PDF) )。
また、簡単な指示だけで AI が生成したものは著作物と認められにくく、人が創作的に手を加えた部分が保護の対象になるとされています。AI に作らせたロゴやキャッチコピーをそのまま使うと、似たものを他社に使われても権利を主張しにくくなります。ロゴは特に、既存の商標と似ていないかの確認も含めて、専門家に相談してください。
誤情報:AI は事実を確かめずに、もっともらしい文章を作る
Google は、生成 AI は事実を検証するのではなく可能性の高い言葉の並びを予測するため、不正確な情報が含まれることがあるとし、公開前の事実確認を求めています。その対象には本文だけでなく、title、meta description、構造化データ、画像の代替テキストも含まれます(Google 検索セントラル:生成 AI コンテンツの使用に関するガイダンス )。会社のサイトでは、設立年・資本金・所在地・許認可の番号・取引実績・料金の誤りが、取引先の信用に直結します。
独自性:一般論だけのページは、検索でも比較でも埋もれる
同じガイダンスでは、利用者への価値を加えずに大量のページを作ると、大量生成コンテンツに関するスパムポリシーに違反するおそれがあるとしています。AI に「当社の強み」を書かせると、「丁寧な対応」「高い技術力」のような、どの会社にも当てはまる言葉が並びがちです。取引先が比較するときに見るのは、対応できる加工の範囲、ロット、納期、事例、料金の目安といった具体的な事実です。
入力する情報と、ツールへの依存
顧客名や未公開の数字、契約の内容は、AI に入力しないことを社内で決めておきます。社内ルールの作り方はChatGPTで作った文章は使える?著作権・SEO・社内ルールの注意点 で解説しています。また、ホームページ作成サービスで作ったサイトは、そのサービスの外へ持ち出せないことがほとんどです。サービスの選び方はSTUDIOとWordPressの比較 を参考にしてください。
AI でホームページを作る手順
AI に任せるのは「下書き」と「作業」で、目的・事実・最終判断は人が持つ、という順番を守ると失敗が減ります。
目的と閲覧者を決める(人) :誰に見てもらい、見た後に何をしてほしいか(問い合わせ・資料請求・応募)を 1 文で書きます。
載せる事実を集める(人) :会社概要、事業内容、実績、対応地域、料金の目安、よくある質問を、社内の資料から一覧にします。
構成と下書きを作る(AI) :手順 1・2 のメモを渡して、ページ構成の案と見出しごとの下書きを作ります。
自社の言葉に直し、事実を確認する(人) :数字・固有名詞・制度を元の資料と照らし合わせ、取引先が比較に使う具体例(対応範囲・事例・料金の目安など)を書き足します。
ツールでページを作る(AI と人) :AI の作ったデザイン案から選び、ロゴ・写真・配色を自社の方針に合わせます。
公開前に確認する(人) :下のチェックリストで確認します。
計測を設定して公開し、更新を続ける(人) :Search Console と GA4 を設定し、月に 1 回は問い合わせ数と見られているページを確認します。
公開前の確認項目 確認すること
会社情報 社名・所在地・設立・代表者・資本金が、登記や名刺と一字一句同じか
事実と数字 実績の件数、料金、許認可の番号、制度の説明が正しいか。AI が書いた出典は実在するか
文章の類似 特徴的な文を検索し、他社のサイトと似た文章になっていないか
画像 実在しない社員や設備に見える生成画像を使っていないか。素材の利用条件を守っているか
フォーム テスト送信で、自動返信と社内への通知メールが届くか
検索での見え方 ページごとに title と description が違うか。独自ドメインで公開しているか
スマートフォン 実機で表示が崩れていないか、ボタンが押しやすいか
名義と権限 ドメインとツールのアカウントが自社の名義か。管理者を 2 名以上にしているか
よくあるご質問
無料の AI ツールだけで会社のホームページを作れますか?
作ること自体はできます。ただし、たとえば Studio や Wix では、独自ドメインで公開するには有料プランが必要で、無料プランではサービスのドメインの下で公開することになります。取引先に見せる会社のサイトは、自社の独自ドメインで公開するのが基本なので、有料プランの費用は見込んでおきます。
AI で作ったホームページは、Google の評価が下がりますか?
AI を使ったこと自体が問題になるわけではありません。Google のガイダンスは、生成 AI をトピックの調査や構成づくりに役立つものとしたうえで、読む人への価値を加えずに大量のページを作ることをスパムポリシー違反のおそれがあるとしています。自社の事実と具体例を加え、内容を確認したページだけを公開します。
AI で作ったサイトを、あとから制作会社に直してもらえますか?
直せますが、ホームページ作成サービスで作ったサイトはほかの CMS へ移せないことが多く、制作会社に頼む段階で作り直しになる場合があります。その場合でも、AI で整理した原稿や会社情報の一覧は、そのまま新しいサイトの材料として使えます。
AI が作った文章や画像に著作権はありますか?
文化庁の整理では、簡単な指示で AI が生成しただけのものは著作物と認められにくいとされています。人が具体的に表現を指示したり、生成物に創作的な加筆・修正をしたりした部分は、著作物になりえます。個別の判断が必要な場合は、弁護士などの専門家に確認してください。
まとめ
AI で、ホームページの形と下書きは短時間で作れるようになりました。一方で、会社のサイトの成果を決める設計・事実確認・公開後の運用は、人が担う作業として残ります。
AI で短くなるのは「作る」工程。「決める・確かめる・続ける」工程は人が行う
名刺代わりの 5 ページ前後なら AI ツールでの自作で足り、問い合わせや応募を増やすなら設計と計測を含めて頼む
AI の出力でも既存の作品に似ていれば著作権侵害になりうる。事実の誤りと、他社と同じ言葉の並びにも注意する
公開前に、会社情報・数字・類似・画像・フォーム・名義を確認する
AI で作ったサイトが検索や AI 検索にどう見えているかを確かめたい場合は、URL を入れるだけの無料簡易診断 で、表示速度・検索での見え方・会社情報の構造化データなどの点数と、まず直したい 3 つをお送りします。問い合わせを増やすための設計から任せたい場合は、コーポレートサイト制作 をご覧ください。当社はヒアリングをもとに原稿の下書きを作成し、貴社に事実確認をお願いする進め方を標準にしています。
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