「展示会で名刺を配ったが、その後サイトを見てもらえたのか分からない」「紹介で知った人が社名で検索したとき、自社のサイトはきちんと出ているのか」。BtoBの中小企業の経営者や、営業・広報の担当者から、社名での検索(指名検索)についてこうしたご質問をいただきます。
結論から言うと、BtoBの中小企業が指名検索を増やす現実的な方法は、広告で名前を広めることではなく、名刺・営業メール・展示会・紹介など今ある接点で「社名と一言の説明」をそろえ、社名で検索したときに自社サイトが一番上に出て同じ説明が書かれている状態にすることで、増えたかどうかはSearch Consoleの社名を含む検索とGA4の流入元(UTM)で月ごとに確かめます。
この記事では、指名検索と一般検索の違い、BtoB企業で指名検索を見る理由、Search Consoleで社名を含む検索を抽出する手順、接点ごとの施策表、社名で検索されたときの受け皿の整え方、名刺やメールのリンクに付けるUTMのルール(当社の例)、優先順位の付け方を解説します。画面の名称は2026年10月時点のものです。
指名検索とは:社名やサービス名での検索
指名検索とは、会社名・サービス名・製品名など特定の会社を指す言葉で検索されることで、検索した人がすでにその会社を知っている、または思い出したことを表します。
反対に、「精密板金 短納期」「採用サイト 制作 費用」のように、会社名を含まず、課題や商品の種類で調べる検索を一般検索(非指名検索)と呼びます。
| 項目 | 指名検索 | 一般検索 |
| 検索語句の例 | 「◯◯工業」「◯◯工業 見積もり」「◯◯工業 アクセス」「(製品名) カタログ」 | 「精密板金 埼玉」「倉庫 保管 小ロット」「訪問看護 ◯◯市」 |
| 検索する人の状態 | 名刺・紹介・展示会・AI検索の回答などで会社を知り、確かめに来ている | 課題を解決できる会社を、まだ探している |
| 表示されるページ | 主にトップページ、会社概要、問い合わせ、アクセス | サービスページ、事例、記事 |
| 問い合わせとの距離 | 近い。最後の確認をしていることが多い | 比較の前の段階であることが多い |
| 主に関係する段階 | 想起(思い出す)と信頼(最後の確認) | 検索と比較 |
指名検索には、社名だけでなく、略称、英字表記、読み方の違い(例:「まるまる工業」)、打ち間違い、「社名+採用」「社名+評判」「社名+料金」のような組み合わせも含まれます。数え始める前に、どこまでを指名検索とするかを決めておくと、月ごとの比較がぶれません。
BtoB企業で指名検索を見る理由
BtoBの中小企業で指名検索を見るのは、紹介・展示会・営業・AI検索など検索以外の場面で会社を知った人が社名で検索して確かめることが多く、その数が「思い出された回数」を表すからです。
BtoBの発注担当者は、名刺交換した会社や紹介された会社を、社名で検索してサイトを確かめてから連絡します。AI検索の回答で知った会社を、社名で検索し直す人もいます。このため指名検索の数には、営業活動・紹介・AI検索での紹介が、どれだけ思い出してもらえたかが表れます。見込み客が会社を選ぶ「想起・検索・比較・信頼」の4段階のうち、想起を測る指標として、当社は指名検索の数を最初に見る指標に置いています(選ばれるまでの4段階「想起・検索・比較・信頼」)。
ただし、指名検索の数は結果の指標で、それだけを増やすことが目的ではありません。社名で検索した人がサイトで迷ったり、名刺や紹介で聞いた説明とサイトの説明が違ったりすれば、問い合わせにはつながりません。数を増やす施策と、検索した人の受け皿を整える施策は、セットで進めます。
また、指名検索の数には、社員や取引先がふだん社名で検索した分も含まれます。急な増減があったときは、求人の掲載やメディアでの紹介など、社内外の出来事と照らし合わせて読みます。
Service
WEBブランディングのご相談はフェニックスデザインへナレッジベースを運営するフェニックスデザインが、今のサイトの数字を見るところから対応します。URLを入れるだけの無料簡易診断から。
Search Consoleで社名を含む検索を抽出する手順
指名検索の数は、Search Consoleの「検索パフォーマンス」で、クエリ(検索語句)を社名の表記で絞り込むと確認できます。
- Search Consoleを開き、左のメニューから「検索パフォーマンス」の「検索結果」を選ぶ
- グラフの上で「合計クリック数」「合計表示回数」「平均 CTR」「平均掲載順位」を表示し、期間を選ぶ(月ごとの推移を見るなら3か月以上)
- 「+ 新規」から検索キーワード(クエリ)のフィルタを追加し、「カスタム(正規表現)」を選ぶ
- 社名の正式名称・略称・英字表記・読み方を「|」(または)でつないで入力する。例:◯◯工業|まるまる工業|marumaru
- 表の「クエリ」で、抽出された検索語句と表示回数・クリック数・掲載順位を確認する
- 同じ正規表現で「一致しない」を選ぶと、社名を含まない一般検索だけを見られる
- 「比較」で前月や前年の同じ期間と並べ、数字を月次の記録表に写す
正規表現のフィルタはRE2という書き方を使い、初期設定では大文字と小文字を区別せず、語句の一部に一致すれば抽出されます(Search Console ヘルプ:パフォーマンス レポートの高度なフィルタリング)。社名に「日本」「総合」のような一般的な言葉が含まれる場合は、一般検索まで拾わないように、社名の固有の部分で絞ります。
| 抽出したいもの | 正規表現の例 | 注意点 |
| 社名(表記ゆれを含む) | ◯◯工業|まるまる工業|marumaru | 「株式会社」は付けずに検索されることが多いため、固有の部分だけにする |
| サービス名・製品名 | (製品名A)|(製品名B) | 一般的な言葉と同じ製品名は、社名と組み合わせて絞る |
| 社名+採用 | (◯◯工業|marumaru).*(採用|求人) | 採用目的の検索は、取引の検討とは分けて記録する |
| 社名を含まない検索 | 社名の正規表現で「一致しない」を選ぶ | サービスページや記事が担う一般検索の推移を見る |
Googleは2025年11月に、Search Consoleの検索パフォーマンスで、ブランド名を含む検索とそれ以外を分けて見られるフィルタを導入すると発表しています(Google 検索セントラル ブログ)。どの検索をブランド名に含めるかはGoogleが自動で分類するため(Web担当者Forumの解説)、自社が数えたい範囲と一致するとは限りません。このフィルタが表示されない場合や、「社名+採用」のように範囲を自分で決めたい場合は、上の正規表現で抽出します。
月次の記録表の例
次のような項目で記録すると、施策や出来事の前後を比べやすくなります。
| 記録する項目 | 見る場所 | 見方 |
| 指名検索の表示回数・クリック数 | Search Console(社名の正規表現で抽出) | 前月・前年同月と比べる |
| 社名での掲載順位 | Search Console(クエリ別) | 社名で1位に表示されているか |
| 一般検索のクリック数 | Search Console(「一致しない」で抽出) | 指名検索とは別に推移を見る |
| 名刺・メール・資料からの訪問 | GA4(UTMのキャンペーン別) | 接点ごとにどれだけ来ているか |
| 問い合わせ数とその流入元 | GA4のキーイベント | 指名検索や各接点から来た人の問い合わせを分けて見る |
| 問い合わせ時に聞いた「当社を知ったきっかけ」 | 問い合わせの内容、初回の打ち合わせ | 紹介・展示会・AI検索など、数字に出にくい接点を記録する |
当社が制作や運用で使っている指標の一覧と考え方は、当社の特徴の「成果の測り方」に載せています。
指名検索を増やす:接点ごとの施策表
指名検索を増やすには、名刺・営業メール・展示会・SNSなど会社がすでに持っている接点ごとに、社名と一言の説明を同じ言葉で載せ、あとで検索して確かめるきっかけを残します。
一言の説明とは、「何の会社が、誰に、何をするか」を1文で表したものです。例:「試作1個から量産まで対応する、埼玉県の樹脂成形の会社」。この1文を接点ごとに変えずに使うと、紹介する人も説明しやすく、検索した人もサイトで同じ説明を見て安心できます。
| 接点 | よくある状態 | やること | 測り方 |
| 名刺 | 社名とURLだけで、何の会社か書かれていない | 一言の説明を入れる。QRコードにはUTM付きのURLを入れる | GA4で名刺のQRコードからの訪問 |
| 営業メール・メール署名 | 署名が人によって違う。リンク先がトップページだけ | 署名の会社の説明を全員でそろえ、関連するページ(事例・料金)へのUTM付きのリンクを入れる | GA4でメールからの訪問、その後の指名検索 |
| 提案書・見積書(PDF) | 会社紹介のページが古い | 会社紹介に一言の説明とURLを入れ、PDF用のUTMを付ける | GA4でPDFからの訪問 |
| 展示会・セミナー | ブースの社名が小さく、配布物にURLがない | 社名と一言の説明を大きく掲示し、配布物にQRコードや「社名で検索」の案内を入れる。終了後はお礼のメールで事例や資料を案内する | 開催後2〜4週間の指名検索の変化 |
| 紹介・既存顧客 | 紹介してくれる人が説明に困る | 紹介してくれる人に、一言の説明と事例ページのURLを渡す | 問い合わせ時の「知ったきっかけ」 |
| SNS(X・Facebookなど) | プロフィールの説明がサイトと違う | プロフィールに同じ一言の説明とUTM付きのURLを載せ、記事や事例の紹介を続ける | GA4でSNSからの訪問 |
| Googleビジネスプロフィール | 住所・カテゴリ・説明がサイトと違う | 社名・住所・説明をサイトの会社概要とそろえ、「ウェブサイト」にUTM付きのURLを入れる | GA4でビジネスプロフィールからの訪問 |
| 業界団体・取引先・メディアの紹介 | 古い事業内容や旧住所のまま | 一言の説明を渡して更新を依頼する(UTMは付けない) | GA4の参照元のドメイン |
| 求人媒体 | 会社紹介がサイトと別の言葉になっている | 会社紹介の文章を一言の説明にそろえる | 「社名+採用」の検索 |
| サイトの記事・事例 | 会社と関係の薄い一般論の記事が多い | 自社の事例・料金・進め方など、自社にしかない情報を書く | 記事から事例・料金ページへの移動、指名検索 |
| AI検索 | 社名を聞くと、古い情報や誤った説明が出る | 会社情報をサイト・ビジネスプロフィール・外部サイトでそろえ、一次情報を公開する | 決めた質問を定期的にAIに聞いて記録する |
社名で検索されたときの受け皿を整える
指名検索を増やす施策より先に、社名で検索したときに自社サイトが一番上に表示され、名刺や紹介で聞いた説明と同じことが書かれているかを確かめます。
- 社名(正式名称・略称・英字表記)で検索して、自社サイトが一番上に表示されるか
- トップページのtitleに、社名と「何の会社か」が入っているか(例:「◯◯工業|試作から量産まで対応する樹脂成形(埼玉県)」)
- 同じ名前の会社がある場合、地域や業種で見分けられる説明がtitleや会社概要にあるか
- 会社概要の社名・所在地・設立・代表者・事業内容が、名刺・登記・Googleビジネスプロフィール・求人媒体と同じ表記か
- 会社情報の構造化データ(Organization)が、会社概要と同じ値になっているか
- 「社名+料金」「社名+事例」「社名+アクセス」で検索したときに、該当するページが表示されるか
- 社名で検索して来た人が、トップページから問い合わせや資料請求に迷わず進めるか
- 社名で検索したときに表示される外部サイト(求人媒体・業界団体・地図)の情報が古くないか
会社概要の項目と書き方はホームページの会社概要の書き方で、AI検索で会社が正しく説明されるための条件はAI検索時代のブランドとは何かで解説しています。当社も自社サイトのリニューアルで、会社概要の所在地の表記を法人番号公表サイトの本店所在地と一致させ、会社情報の構造化データを会社概要の表と同じ値にしました。
名刺やメールのリンクにUTMを付けて流入元を分ける
名刺のQRコード・営業メール・PDFの資料から来た人は、そのままではGA4で流入元が分からないことが多いため、リンクにUTMパラメータを付けて接点ごとに分けて記録します。
QRコードやメールソフト、PDFから開かれた訪問は、参照元の情報が残らず、GA4で「直接(Direct)」に混ざることがあります。すると、名刺から来た人なのか、URLを直接入力した人なのかを区別できません。URLの末尾に「?utm_source=…&utm_medium=…&utm_campaign=…」を付けておくと、GA4の「レポート」→「集客」→「トラフィック獲得」で、表の項目を「セッションの参照元 / メディア」や「セッションのキャンペーン」に切り替え、接点ごとの訪問とキーイベントを見られます。
Googleアナリティクスのヘルプでは、パラメータを付けるときは utm_source(参照元)・utm_medium(メディア)・utm_campaign(キャンペーン)の3つを使うこと、値は大文字と小文字が区別されることが説明されています。URLは、Googleが提供するCampaign URL Builderでも作れます(Google アナリティクス ヘルプ:カスタム URL でキャンペーン データを収集する)。
当社では、自社サイトのリニューアルにあわせて、次のルールを決めて使っています。
| 使う場所 | utm_source | utm_medium | utm_campaign |
| 営業メール(初回) | sales-mail | email | outreach |
| 営業メール(フォロー) | sales-mail | email | follow |
| メール署名 | signature | email | signature |
| 名刺・紙資料のQRコード | meishi | qr | offline |
| 提案書・見積書のPDF | proposal | pdf | proposal |
| 月次レポートのメール | monthly-report | email | report |
| Xのプロフィール | x | social | profile |
| Xの投稿(記事の紹介) | x | social | post |
| Googleビジネスプロフィールの「ウェブサイト」 | google | organic | gbp |
- utm_sourceは「どこから」、utm_mediumは「手段」、utm_campaignは「何の施策か」を表し、値は小文字の英数字とハイフンにそろえる
- 新しい用途のURLを作るときは、表に1行追加してから使い、担当者ごとに別の書き方をしない
- 外部サイトの紹介記事・業界団体の名簿・取引先のサイトからのリンクには付けない(GA4では参照元のドメインで分かれるため、紹介してくれる相手には素のURLを渡す)
- 自社サイト内のリンクには付けない(外から来た本来の流入元の記録と混ざるため)
あわせて、社内や関係者がサイトを見た分を計測から除く仕組みも用意しました。社員の閲覧が混ざると、接点ごとの訪問数を正しく比べられないためです。
BtoB中小企業の現実的な打ち手と優先順位
BtoBの中小企業では、費用のかからない受け皿の整備と、今ある接点での一言の説明の統一から始め、記録できる状態にしてから展示会や記事・事例などの施策を増やします。
| 順番 | 施策 | 主な作業 | 効果を確かめる時期の目安 |
| 1 | 社名検索の受け皿を整える | title・会社概要・外部の会社情報の表記をそろえ、構造化データを入れる | 修正の数週間後から |
| 2 | 一言の説明を決め、接点に載せる | 名刺・メール署名・SNS・Googleビジネスプロフィール・求人媒体を同じ言葉にする | 1〜3か月 |
| 3 | UTMのルールを決めて付ける | 名刺のQRコード・メール・PDFのリンクを作り直す | 翌月から記録できる |
| 4 | 展示会・紹介のあとの受け皿を用意する | 配布する資料と、そこから案内する事例・資料ダウンロードのページを用意する | 開催や紹介のたびに |
| 5 | 自社にしかない記事・事例を増やす | 事例・料金・進め方・技術の解説など、一次情報を書く | 3〜6か月 |
| 6 | 社名での検索広告を検討する | 社名で検索したとき、他社の広告が上に出ている場合に限って検討する | 出稿している間 |
反対に、BtoBの中小企業で優先しなくてよいのは、不特定多数に名前を広める大規模な広告です。対象となる企業が限られるBtoBでは、名前を知ってもらうことより、知った人が検索して確かめたときに選ぶ理由が伝わることのほうが成果に近いからです。また、指名検索の数を見かけ上増やすために社内の人に社名で検索してもらうような方法は、記録の意味をなくすだけで、成果にはつながりません。
よくあるご質問
指名検索はどのくらいあれば多いと言えますか?
業種や会社の規模、社名が一般的な言葉かどうかで大きく変わるため、他社と比べられる共通の基準はありません。自社の数字を月ごとに記録し、施策や出来事の前後で増えているかを見ます。
GA4の「直接(Direct)」は指名検索と同じですか?
違います。社名でGoogle検索して来た訪問は「オーガニック検索」に入り、「直接(Direct)」はURLの直接入力やブックマーク、参照元の情報が残らないリンク(QRコード、メールソフト、PDFなど)からの訪問です。指名検索はSearch Consoleで、名刺やメールからの訪問はUTMを付けてGA4で見ます。
社名で検索すると、同じ名前の別の会社が上に出ます。どうすればよいですか?
title・会社概要・Googleビジネスプロフィールに、地域・業種・何の会社かを社名と一緒に書き、検索した人が見分けられるようにします。名刺やメールでは、QRコードやUTM付きのリンクを使い、検索しなくても自社サイトに来られるようにしておきます。
社名での検索広告は出したほうがよいですか?
社名で検索したときに自社サイトが一番上に表示され、他社の広告が出ていなければ、優先度は高くありません。他社の広告が社名検索の上に表示される場合や、新しいサービス名を立ち上げた直後などに検討します。
指名検索が増えたのに、問い合わせが増えません。何を見直せばよいですか?
社名で来た人がトップページで何の会社か分かるか、料金・事例・進め方まで読まれているか、問い合わせのフォームで迷っていないかを、GA4のページ別の数字で確かめます。指名検索が増えているのは思い出されている証拠なので、比較と信頼の段階で必要な情報が足りていない可能性があります。
まとめ
- 指名検索は社名・サービス名での検索で、紹介・展示会・営業・AI検索などで会社を思い出された回数を表します。
- Search Consoleでは、クエリのフィルタで社名の表記を正規表現でまとめて抽出し、一般検索と分けて月ごとに記録します。
- 増やす方法は、名刺・メール・展示会・SNS・ビジネスプロフィールなど今ある接点で、社名と一言の説明をそろえることです。
- 社名で検索されたときの受け皿(title・会社概要・表記の統一)を先に整え、名刺やメールのリンクにはUTMを付けて流入元を分けます。
当社のSEO・AI検索(AIO)対策では、順位・表示回数・AI検索での引用とあわせて、指名検索と問い合わせを月次レポートで記録し、会社情報の統一まで行います。内容と料金はSEO・AI検索(AIO)対策のページでご確認ください。
関連記事:Webブランディングとは/GA4のキーイベントの設定/構造化データ Organization の書き方